Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

過剰包装解消を高校生が企業に嘆願 企業はどう対応するのだろうか

 

 近ごろは、中学校の社会の入試問題に、「プラスチックスごみ問題」が出題されているようだ。

 NHKが、2019年の女子学院中学校の入試問題を事例に「プラスチックスごみ問題」を解説する。

 

問題

プラスチックごみについての説明として、正しいものを3つ選び、記号で答えなさい

ア 使い捨てのプラスチック製ストローを廃止する方針を打ち出した飲食店チェーンがあり、廃止の動きは世界的に加速している。

イ 2018年のG7サミットでは、海のプラスチックごみ削減を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」にすべての参加国が署名した。

ウ 中国は、日本や米国、欧州などからプラスチックごみを資源ごみとして輸入していた。

エ 海に流れたプラスチックの多くは、波や紫外線で砕け5ミリ以下に小さくなり、その後、短時間で溶けてなくなる。

オ 魚がプラスチックごみを飲み込むと、食物連鎖により人体に悪影響を与える可能性が指摘されている。

カ 一人当たりのプラスチックごみ排出量で、日本は世界の国々の中で下位である。 (女子学院中学校 2019年) 

(出所:NHK


大人たちはどれだけ正確に答えることができるのだろうか。

   ※正解は、NHKの記事内にあります。

 

www3.nhk.or.jp

 

 

 

 ア 「使い捨てのプラスチック製ストローを廃止する方針を打ち出した飲食店チェーンがあり、廃止の動きは世界的に加速している」。 

 

 早々にストロー廃止を宣言したマクドナルド。オーストリアマクドナルドも、プラスチック製のストローなどを紙製に切り替えているという。

 使用済みのストローと海に漂うプラスチックごみを原料にして水着を作り、このことを消費者にアピールしているという。

 


Machhaltigkeit: Unsere Strohhalme gehen baden

 

adgang.jp

 

 NHKは、「2018年にアメリカの大手コーヒーチェーンが、全面廃止の方針を発表しました。国内でも大手外食チェーンが廃止し、トウモロコシが原料のものに切り替えました。ということで、選択肢のアは正しい内容です」と解説する。

 

☆ 

 

 「海に流れたプラスチックの多くは、波や紫外線で砕け5ミリ以下に小さくなり、その後、短時間で溶けてなくなる」。

 

 FRaUは、「マイクロプラスチックweek」を始めた茅ケ崎の女性の活動を紹介する。

マイクロプラスチックとは、紫外線や波の影響で劣化していったプラスチックのうち、『大きさが5ミリ以下のサイズ』になったものの呼称です。つまりはペットボトルやビニール袋がどんどん小さく分かれたものです。

 これは消え去ることはなく、微細なプラスチックごみに吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれ、生態系に及ぼす影響が懸念されています。なにより心配なのは、食品への間接的な影響です。

 そういうマイクロプラスチックは海の中にあるという印象を持っていました。しかし、身近な海岸に、しかも海水だけでなく砂浜にもこんなに打ちあがっていたとは。ただただ驚き、恐ろしさを感じずにはいられませんでした。(出所:FRaU

 

gendai.ismedia.jp

 

 選択肢エは誤りで、その理由を「プラスチックは非常に安定した丈夫な構造をしていますので、自然界で分解するというのは、例えば分子のレベルまでだとしても、数千年とか1万年かかかるはずです。ですから溶けてなくなるというのはないです。そのままプラスチックとしてずっと海に残っています」とNHKは解説する。

 

海面近くで見つかるプラスチックは全体の1%以下で残りの99%はどこに、どれだけあるのか、わかっていないということです。 (出所:NHK

 

 子どものころよく行った茅ケ崎の海岸がマイクロプラスチックスに汚染されていることに驚く。

 子ども時代の記憶なので曖昧だけど、砂浜にこんなにマイクロプラスチックスはなかったように思う。身近な問題になっていると改めて感じる。

 

 

 

 BuzzFeedは、一人の高校生(16歳)が、亀田製菓やブルボンなど製菓会社2社に対し「プラスチックごみが増えるお菓子の過剰包装をやめてほしい」との意見と賛同する署名を届けたと伝える。

 

 「お菓子の過剰包装をやめてほしい」と賛同者を募ったChange.orgのキャンペーンページに、彼女の言葉がある。

私も母親とプラスチックゴミの整理をしている時、「コロナで家で食事をせざるを得ないから、家から出るゴミが多くなっちゃって困っちゃう。ほとんどがパッケージのゴミだし、家族も多い分、何回もゴミ袋を変えなきゃいけないのは面倒だし、こんなに大量のゴミが出るとショックだな。」と話をし、パッケージのゴミを少なくすることでこんな負担も減らせるのではないかな、と考えました。

無駄のないエコな消費のために、家庭での工夫も呼びかけられてはいます。しかし、やはり、商品自体のプラスチックの過剰包装をやめることで、より効果的なプラスチック削減になるのではないのでしょうか

もちろんおいしさや形や品質の維持も大切なので、過剰なお菓子の包装やトレーなどのプラスチックゴミを減らす取り組みや、プラスチックにかわる材料・デザインを考えていただきたいです。

いつまでも美味しくお菓子を楽しめるように、そしていつまでも地球を健康に守っていけるように、私たち一人ひとりの力を合わせ、「今」を変えていきましょう! (出所:Change.org

 

www.change.org

  

「プラスチックの過剰包装、無くせませんか?」高校生の問いかけ。製菓会社2社は前向きな受け止め(BuzzFeedNews)

 

 亀田製菓、ブルボンともに、大人の対応をしたようだ。

 BuzzFeedによれば、その高校生は、亀田製菓オフィスを訪問、署名を提出し、担当者と面談したという。

亀田製菓さんが消費者の目線に立って包装のあり方や環境対策について考えていらっしゃると分かりました。エコパッケージに変更するまでの道のりやエコに対しての意識などを知れて、本当によかったです」と、面談後、その高校生が語ったという。

 

BuzzFeed Newsの取材に対し、1万8千筆の署名が集まったことについては、2社とも

「我々が行ってきた環境への取り組みがお客様に受け入れて頂ける自信につながった」(亀田製菓)、

「当社が継続して取り組んできた活動の意味がさらに大きく、深くなった」(ブルボン)と、前向きに捉えています。 (出所:BuzzFeed

 

 消費者は過剰包装にうんざりする。メーカ側は「安心・安全」に第一に、商品が陳列棚に並んだ時の見映えも考え、環境にも配慮し包装、梱包を設計する。

 

 梱包関係に関わった最後の仕事では、脱プラ梱包を目指したが、輸送に想定される製品への傷をどうしてもダンボール箱の構造だけの工夫では抑えることができず、ポリ袋で製品を包むことにした。悔しかったけど、それが一番効果があった。

 

 それより前、会社勤めしていた頃、工場から「受け手側のことも考えろよ」と言われた。 海外から納品する部品の梱包荷姿に対するクレームだった。

 「なんだこの過剰梱包、ごみばっかり増える。処理費用がかさむだけだ」。

 言われてみれば、パレットに積まれたダンボール箱はラップでぐるぐるにまかれている。箱の中には、部品を保護するために発泡スチロールにポリ袋と使われている。

 サビ防止や荷崩れ防止のためだったが、行き過ぎだったかもしれない。

 立場によって視点は異なる。

 当時はコストを武器に押し通したけど、今ではそれも許されなくなっているのかもしれない。

 

 高校生が感じた過剰包装の疑問について理解できる。先日、買った冷やし中華もトレーが使われていて不要だろと感じた。

 

 

 

 ブルボンは、署名受領後にニュースリリースを発行した。ブルボンが取り組む包装関連の環境対応を説明する。

 

近年、世界的な課題として取り上げられているマイクロプラスチックによる海洋汚染に対して社会で提起されている商品の過剰包装防止や使い捨てプラスチック製品の代替化などについて、当社でもそれぞれの立場で今まで以上にスピードを上げた対応が必要であると考えています。
商品を流通させるために、包装に求められる必要な要件を満たしながら実施可能な新技術や工夫を取り入れ、継続した低減活動を行っていくことがより一層求められていると感じています。これからも思いを一つにする共存の考えを深めながら継続して取り組んでまいります。
この度いただきました貴重なご意見は、当社が継続して取り組んできた活動の意味がさらに大きく、深くなったものと捉えています。 

(出所:ブルボン ニュースリリース「プラスチック包装削減のご意見と署名の受領について」

 

 亀田製菓は、Twitterで反応し、読売新聞に掲載したPR記事を使って、「2018年、トレーを抜いた「ECOパッケージ」化に成功しました」と、パッケージのエコ対応、パッケージの小型化を紹介する。

 

開発のきっかけは、某取引先代表からの一言

「米菓業界・米菓売り場は昔から全く変わっていない。

リーディングカンパニーの亀田製菓がエコ化を始めなければ、誰がやる」との叱咤激励でした。 (出所:読売新聞)

 

yab.yomiuri.co.jp

 

 取引先からの助言でなければ、動けなかったと読めてしまう。今回の高校生の提案もぜひ活かして欲しいと願う。この高校生も、亀田製菓のお菓子が好きな大切な顧客ではなかろうか。企業にとって、何よりも大切なことはこうした顧客の声やニーズのはずだ。

 

 ユーグレナのペットボトル全廃も18歳のCFOが先導したと聞く。ユーグレナの社員も疑問を感じつつもアクションできなかったが、CFOに背中を押されたという。

 

 環境問題を学んだ子どもたちが社会に出ていけば、大人たちと違った視点で、過剰梱包などの問題に取り組むことができるようになるのかもしれない。

 

 大人たちには、不要なしがらみや固定概念があったりするものだから。

 

 

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