Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ジップロックのリサイクルで傘のシェアリング、ユーグレナはペットボトル全廃へ

 

 使い終わったZiploc(ジップロック®)からできた傘のシェアリングが始まるという。

 傘のシェアリングサービスを行うアイカサ(Nature Innovation Group)とジップロックを販売する旭化成ホームプロダクツ、リサイクルを推進するテラサイクル、ビームスの4社のコラボレーションで、この「Ziploc RECYCLE PROGRAM」が実現したという。

 

 Ziploc RECYCLE PROGRAMとは

 アイカサによれば、『Ziploc RECYCLE PROGRAM』は、使用済みジップロック®や廃棄品を回収し、別のプラスチック製品に作り替えることで廃プラスチック問題の解決に貢献する活動だという。

旭化成ホームプロダクツを中心とした4者協同のプログラムで、回収とリサイクルをテラサイクルが、傘のデザイン監修をBEAMS COUTUREが、傘シェアリングサービス運用をアイカサが行います。

まずは、生産過程で出る端材や廃棄品を使用したリサイクル傘を制作し、2020年9月より西武池袋線池袋駅飯能駅での運用を中心に都内で開始します。 (出所:アイカサ公式ページニュースリリース

 

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www.i-kasa.com

 

 

 

8000万本も捨てられている傘

 アイカサによれば、日本では年間約8000万本もの使い捨て傘が廃棄されているという。この使い捨て傘の廃棄問題に着目し、ジップロック®をリサイクルした傘を、アイカサのシステムを利用し傘シェアリングサービスで運用するという。

 

使い終わったジップロックを再利用して傘に

 家庭などからのジップロック製品の回収は、テラサイクルが担う。専用ページに登録することで参加することができる。登録は昨日7月29日から始まっている。

 回収は2kgからのようだ。

 

 

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www.terracycle.com

  

工夫してみる

 旭化成ホームプロダクツの代表者は、「Ziploc RECYCLE PROGRAM」発足によせて、「テラサイクル様との連携は“循環させる工夫”、アイカサ様との連携は“シェアする工夫”、ビームス様との連携は“積極的に使いたくなる工夫”と、様々な工夫が込められている」という。「本プログラムによって、お客様に楽しんで頂きながら「持続可能な社会」「循環型社会」について考えるきっかけをご提供できればと思っています」とコメントした。

  ただ捨てられてしまうのなら、こうした形で再利用されれば、捨てられるプラスチックスが減ることにはなる。

 

 旭化成ホームプロダクツは、ジップロックの他に「サランラップ」などの食品保存に便利な商品を展開する。「脱プラ」への圧力をひしひしと感じるのだろう、「廃プラスチックの国内資源循環体制の整備が急務」という。

 国は「プラスチック資源循環」を進めたい、その象徴的なアクションのようにも見える。

 

 

  

業界の声

 経団連は、経済産業省環境省が進める「プラスチック資源循環」の合同会議の場に、「プラスチック資源循環に関する経団連の基本的考え方・取組」という資料を開示した。

 この中で、経団連プラスチックスが食品ロス削減に貢献していると指摘する。

 業界の声なのだろうか。

 

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(資料出所:経済産業省公式サイト「プラスチック資源循環に関する経団連の基本的考え方・取組」

 

 ユーグレナ 18歳のCFOの挑戦

 食品関連事業も手がけるミドリムシユーグレナは、6月、商品に使用される石油由来プラスチックの削減を目的に、「既存の飲料用ペットボトル商品の全廃」と「一部商品においてお客様がプラスチックストローの有無を選択可能にすること」を決定したと発表した。

 この施策は、ユーグレナの18歳の若きCFO (Chief Future Officer)小澤さんとユーグレナFutureサミットメンバーが主導して実現したという。

 ユーグレナとしては、これを最初のステップとし、2021年中に商品に使用される石油由来プラスチック量の50%削減に挑戦することを決定したという。

 

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(資料出所:ユーグレナ公式サイト)

 

www.euglena.jp

 

恥ずかしい経営はできない

「本当に今の経営は『人と地球を健康にする』という理念に沿っているのか」と、小澤CFOは取締役会で提言したという。

 BuzzFeed Newsによれば、ペットボトル商品はユーグレナの飲料売り上げの35%以上を占めていたという。商品のパッケージや大きさが変われば、スーパーなどで陳列の位置が変わり、売り上げに影響が出る可能性も否定はできない。

 

しがらみ抜きの理想が大人を動かす 

BuzzFeed Newsの取材に応じた担当社員の1人は「主力商品が環境に良くないという罪悪感は、薄々あった。しかし売り上げのインパクトが大きく、なかなか行動に移せなかった。そこを、CFOに後押ししてもらった」と語る。

永田副社長は「私達の理念から考えれば、ペットボトルの商品をCFOの提言の結果として実行するまで販売を継続していたこと自体が、情けない」と振り返る。

「2021年のプラスチック量半減は必ず達成する。信念を持って手を上げ参加してきた彼女たちは、私達に、恥ずかしい経営はできないという意志を与えている」 (出所:BuzzFeed News

 

先例を示す 当たり前に変える

 ユーグレナはプレスリリースで小澤CFOのコメントを発表した。

ユーグレナ社のCFOとしてサミットメンバーとともにディスカッションを重ねる中で、

環境問題を自分事化するのが難しいのであれば、『消費者が意識せずとも環境に配慮した行動をとれる仕組み』を企業が構築するべき

との考えに至り、ユーグレナ社にこのような仕組構築を提言しました。

その結果、ユーグレナ社では、環境問題に直結した身近な存在であるプラスチックを最初のステップと考え、既存のペットボトル商品全廃をはじめ石油由来プラスチック削減に向けた施策の決定や検討に繋がっています。

(出所:ユーグレナプレスリリース)

 

www.euglena.jp

 

「しかし、ユーグレナ社だけが環境に配慮した行動を起こしたとしても、世界は変わりません。環境に配慮した行動が他企業にも波及し、環境に配慮した行動が当たり前となる世界を実現していきたいです」。

 と小澤CFOはいう。

 

  プラスチックスの使用をやめるということは、もしかしたら実現できるのかもしれない。ユーグレナの小澤CFOがその先例を示してくれたようだ。  

 

 

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