CSV先進企業を目指すキリンが3月から、環境中の廃棄プラスチック問題を解決するために発足した国際的非営利団体「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」)に参加すると発表した。
キリンによれば、AEPWは、プログラムやパートナーシップを通じて、4つの戦略的分野 「インフラの構築・整備」、「イノベーション」、「教育と啓発活動」、「清掃活動」の解決に重点的に取り組んでいるという。
キリンがこのアライアンスに参加する動機は何であろうか。
このAEPWにあまりいいイメージがない。昨年10月のロイターの記事の影響があるのかもしれない。
国際アライアンスのメンバーのほとんどがプラスチック業者や石油産業の企業だとロイターは指摘し、国際アライアンスと石油・化学企業が約束した廃プラ対策投資は5年間で総額20億ドル余りで、年換算では4億ドルで、売上高に占める比率は極めて小さいという。 今後5年間で石化プラントの新設を多数計画しているのに対し、プラスチックスのリサイクルに対する投資が、あまりに少額であるとも指摘する。
海洋投棄されるプラスチックごみは現在の1100万トンから2040年には2900万トンに増加するとロイターはいう。
投棄の総量は6億トン、シロナガスクジラ300万頭の重量に達する計算だ。
「廃棄プラスチックをなくす国際アライアンス」は国際的な懸念の高まりを受けて、発展途上国で清掃作業を行っている小規模なNGOと協力関係を結ぶと発表した。
国際アライアンスのジェイコブ・デュアーCEOは「一夜では変わらないと分かっている。われわれにとって重要なのは、私たちのプロジェクトが終着点ではなく出発点だと見なされることだ」と話した。 (出所:ロイター)
そのAEPWが、JICA国際協力機構と廃棄プラスチック対策に関する連携協力覚書を締結したという。
JICAによれば、地球規模でプラスチック廃棄物管理を改善し、循環型経済の形成に貢献することを目的にしているという。
1.世界的な廃棄プラスチック問題に関する意識啓発や理解促進
2.地域レベルの廃棄物管理に関する改善策の検討及び支援
3.循環型経済に関する戦略立案、知見や好事例の共有(出所:JICA)
この発表に合わせ、AEPWのジェイコブ・デュアーCEOは、「このパートナーシップにより、AEPWは特にアジア太平洋地域において、開発途上国の経済的・社会的発展にJICAの取り組みを活用することとなります。JICAとの協力を通じて、これらの国々における廃棄プラスチック管理の革新的でインパクトある解決策を模索していきたい」とコメントしたという。
そのJICAは、海洋プラスチックごみ問題解決に向け、途上国と連携し、多様な取り組みを実施しているという。
大洋州にある島国マーシャルの首都マジュロは、JICAの支援を通じ、2018年から「容器デポジット制度」を導入しました。
ペットボトル等の容器に対して輸入時にデポジットを徴収し、デポジット代を上乗せした金額で消費者に販売。消費者は、使用済み容器を指定場所へ持ち込むと、デポジット代の一部を受け取ることができます。
この制度の導入後、マジュロでは空き容器の回収が進みました。街中での不法投棄減少を通じて、プラスチックごみの海洋流出の減少が期待されます。 (出所:JICA)
AEPW「Alliance to End Plastic Waste」(廃棄プラスチックをなくす国際アライアンス)の活動がいよいよ本格稼働するということなのだろうか。
いぶしがった見方ばかりではいけないのかもしれない。何か動きが出てくるのかもしれない。
CSVを標榜するキリンが参加するということは、何か意図があってのことなのだろう。