Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

二律双生 利便性と環境保護を両立させるスタートアップたち

 

 米国で、Zero Grocery(ゼロ・グローサリー)というサブスクリプションによる食品配達サービスが立ち上がったという。すべての商品をゴミ排出ゼロのパッケージで販売しているそうだ。

 

 もし、世界のプラスチックス廃棄物の90%が食料消費によるものであるなら、食料の消費方法を変えましょう

  

zerogrocery.com

 

 

 利便性と環境保護は両立しないと誰もがそう言う

 Zero Groceryはその概念と戦うという。 

Our mission The Zero mission is simple.

Everyone tells us that convenience and environmentalism don‘t go together. We are fighting against that notion. Zero proves that you can have what you want, when you want it, without ruining the planet. (出所:Zero Grocery)

 

 惑星を破壊することなく、必要なときに必要なものを手に入れることができることを証明します

 Zero Groceryのミッションだ。 

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理不尽と闘う 黒人でトランスジェンダーの女性

 必需品ばかりの買い物なのに1時間かけて瓶やボトルと格闘しなければならなかったという原体験が創業につながっていく。

 忙しい人たちが、ごみ排出ゼロの買い物を行う簡単にできる方法が必要だ...

 ゴミの排出量が削減されるのであれば割高でも購入したいと考えている消費者は必ずいるはずだ。

 創業者は、黒人でトランスジェンダーの女性だ。資金調達に並々ならぬ苦労があったようだ。

投資家から「イエス」と言われるまでに、250回を超える提案と理不尽なほど数多くの「ノー」を乗り越えなければならなかった。 (出所:TechCrunch)

jp.techcrunch.com


 TechCrunchによると、現在、ゼロ・グローサリーは米国で唯一のゴミ排出ゼロのオンライン食料品ストアとして運営され、急成長しているという。数千の顧客がゼロ・グローサリーのサービスを利用し、事業拡大に向け、300万ドル(約3億1600万円)の資金を調達したという。

ゼロ・グローサリーの会員料金は25ドル(約2600円)だ。これには、無料配達と空のコンテナの回収が含まれる。会員以外は7.99ドル(約842円)の配達料金を支払う。 (出所:TechCrunch)

 

 

 TechCrunchは、Zero Groceryの他にも、プラスチックフリーやゴミ排出ゼロ運動から生まれたスタートアップを紹介する。

数年分のゴミを集めたら1本の瓶に収まった」と、Instagramに投稿したローレン・シンガー氏が始めたビジネスや、瓶詰め惣菜をニューヨーク周辺の自動販売機で提供するFresh Bowl(フレッシュ・ボウル)など。

 フレッシュ・ボウルは、惣菜を再利用可能なコンテナで提供し、消費者はコンテナを返却するとデポジットの払い戻しを受け取ることができるしくみを作った。そのコンテナの約85%は再利用のために返却されているという。

便利さと持続可能性をどう両立させるかは消費者にとって難しい問題です

 こうした新しいサービスがこの難問を解決に導く。

 しかし、こうした成功は競争を生む可能性があり、同じ土俵で競合する企業がこれから次々に出てくることは間違いないとTechCrunchは指摘する。

 米国でも4月に、ゴミ排出ゼロの配達サービスLoop(ループ)が始まり、全米の顧客にリサイクル可能かつ再利用可能なパッケージコンテナを提供し始めたという。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

東京都 テイクアウト弁当にリユース容器

 東京都は12月から、Loop(ループ)などと連携し、弁当や総菜の容器を再利用する実証実験を始めるという。実験には三菱地所や森ビルが参画する。

 都によれば、大規模オフィスビル2か所で、飲食店のテイクアウト弁当にリユース容器を使用し、使い捨てプラスチックの削減を目指すビジネスモデルの検証を行うという。また、スーパーマーケットの惣菜にリユース容器を使用する事業についても実施予定だそうだ。

 

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(資料:東京都「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル(事業者の選定)」

 

 日本経済新聞によれば、洗浄しやすく、繰り返し使える耐久性のある容器を利用するという。実験では実際にうまく循環するかや利用者の使い勝手などを確かめるそうだ。

r.nikkei.com

 

 このプロジェクトに参加する三菱地所の「丸の内エコ弁プロジェクト」を思い出す。丸の内では使い終わった弁当容器を溶解、リサイクルしていたが、東京都のプロジェクトでは一歩進み、リユースになる。 

 

 

 東京都は、2030年までに17年比でプラごみの焼却量4割削減を目指しているという。

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 お金があれば問題は減るのか

 米国では、二律背反する問題を解決しようと、「志」をもったスタートアップが立ち上がり、資金を調達してビジネスの拡大しようとする。問題に取り組むスタートアップがそれだけ増えれば、問題解決に近づいていくのかもしれない。

 国内でも、量り売りのお店が増えたと聞く。しかし、東京都の事例のように、まだまだ自治体がこうした活動の主体なのであろうか。

 

 TechCrunchによると、Zero Groceryを創業したZuleyka Strasner(ズレイカ・ストラスナー)氏は、「仕事の大部分は、ベンダーが当社のテクノロジーを使用してプラスチックフリーのサプライチェーン内で生き残れるようにすることです」と語ったという。

 

 国内でも、こうしたことに挑戦するスタートアップが増えればいいのかもしれない。

 

「関連文書」 

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