7月からレジ袋が有料化になる。コロナの感染拡大の影響もあって、当初の想定は少し違う形での発進になるのかもしれない。
東京新聞は、米国の一部州でレジ袋の禁止を延期していることを伝え、推奨されるエコバックには付着したウィルスから感染が広がる懸念をあると指摘する。
米東部ニューハンプシャー州は3月、コロナ対策のために食料品店でプラ製か紙製のレジ袋のみ使用を認めると発表した。東部メーン州もプラ製レジ袋を禁止する法律を留保し、発効時期を来年1月に延期した。
繰り返し使うエコバッグの場合、そこに付着したウイルスから感染が広がる懸念があるという。 (出所:東京新聞)
感染予防に考慮しつつ、レジ袋からエコバックへの切り替えも必要になりそうだ。
「エコバッグを洗ったことのない人が51%にのぼり、毎日洗っている人は全体の3%」との報道もある。「使用したら洗う」、そのほうが、コロナばかりでなく、食中毒防止にも役立つという。
新型コロナなどの感染リスクを考えると使い捨てのレジ袋が便利というの意見も出てきそうだ。
レジ袋有料化 意識を変える機会
レジ袋の有料化は、経産省の省令改正によるものだった。元々、使い捨てプラスチックスの乱用防止だったり、プラ問題の解決がその背景にあった。
朝日新聞は、当時の社説で「レジ袋有料化 脱プラへ確実な一歩に」と指摘していた。
留意すべきは、「脱レジ袋」がうまく進んでも、プラごみ問題の真の解決ははるかに遠いということだ。
年間900万トンの国内のプラごみのうち、レジ袋は数%にすぎない。日々のくらしは、食品や日用雑貨の容器、各種食器、包装材など、多様な使い捨てプラ製品であふれている。これを減らすには、企業による代替品の開発や仕様の見直しに加え、消費者が多少の不便を受け入れることが欠かせない。
その意味でも今回の有料化の意義は小さくない。これを、日常生活全般を見直し、意識を変える機会とするべきだ。 (出所:朝日新聞)
CLOMA「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」とは
昨年6月、G20サミットで「2050年までに海に流れ込むプラごみをなくす」という国際合意がまとまった。日本主導でまとめたということであれば、国をあげて取り組む責任を負ったということなのかもしれない。
経産省は昨年「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」を立ち上げた。
300社超える企業と団体がこのアライアンスに参加、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、官民連携で、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進する。
5月、その「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」がアクションプランを公表した。
【キーメッセージ】
CLOMAは、海洋プラスチックごみの削減に貢献するため
2050年までに容器包装等のプラスチック製品100%リサイクルを目指します。
【キーアクション】
1. プラスチック使用量削減
2. マテリアルリサイクル率の向上
3. ケミカルリサイクル技術の開発・社会実装
4. 生分解性プラスチックの開発・利用
5. 紙・セルロース素材の開発・利用
(資料出所:クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス公式サイト)
CLOMAとサーキュラー・エコノミー
「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」の会長に就任した花王の澤田道隆社長のインタビュー記事が「METI Journal (経産省のウェブサイト)」に投稿された。
澤田会長は、現状のプラスチックスリサイクルの問題を焼却による「サーマルリカバリー」が中心になっていることがあげ、「包装容器プラスチック全体の再利用を目指すためには、素材に関する知見、会員者間の多面的な連携および産業界や行政との協力関係が重要であり、CLOMAはそれを促進する組織としての役割を担っています」とCLOMAの役割を説明する。
「サーキュラー・エコノミー」の概念には当然賛同します。ただ、問題は、どのレベルで、どこまで実践できるかだと思います。
本気で取り組むには技術との連携なくしてなしえません。
日本においてはCLOMAが中心となり、産業界を含めた産官学連携により、かなりのレベルは達成できると考えます。
モノマーまで戻せるケミカルリサイクルができれば、その可能性はより高まるはずです (出所:METI Journal )
ようやくアクションプランがまとまり、始まったばかりの「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」の活動、今後の展開に期待してみたい。
生分解性プラスチックスの課題
ただ、一点気になることがある。
キーアクションの4に上がる「生分解性プラスチックスの開発・利用」だ。
生分解性機能がどうしても必要なプラスチックスがあるのも事実だが、レジ袋のように不必要なものに利用拡大されることは本末転倒な結果になりかねない。
アクションプランにも、生分解性プラの回収方法が課題との記載があり、認識はされているようだが、生分解性の利用拡大は慎重に検討する必要があろう。
レジ袋メーカの思惑が先行しないように監視していくことも求められるのだろう。
生分解性の課題
生分解性プラスチックのコンポスト化あるいはバイオガス回収
~判りやすい生分解、使いやすい生分解~【課題】:
・生分解性を活かせる使い方と処理方法
・既存の回収リサイクルだけでは適用が難しい
【目標】:
・回収が困難な用途への適切な活用
・コンポストからの再生物の資源化を進める
まとめ
「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」が、国のサーキュラーエコノミー推進の一翼を担うことになっていくのだろうか。
欧州でサーキュラーエコノミーを推進する、英エレンマッカーサー財団には数多くのグローバル企業が参加する。消費財メーカーばかりでなく、金融ではブラックロック、IT業界もグーグル、マイクロソフトも参加している。単純比較すれば、規模感で大きく見劣りする。
CLOMAの活動の中に国際協調との項目もある。協力する機関が偏ることなく、先行する機関とうまく協力体制を築いて欲しい。欧州は欧州、日本は日本という論理は通用しないはずだ。
「関連文書」