小池都知事が再選となった。「小池氏は366万1371票を獲得。前回の約291万票を上回った」と日本経済新聞が伝える。次点との差が約280万票あったというのだから圧勝ということなのだろう。
コロナ対策、東京オリンピックなど政策の継続性が求められたのかもしれない。
今回の選挙で主要政党は独自候補の擁立を見送り、事実上、小池氏の信任投票だった。
初当選時と同様に政党推薦を受けず無所属で出馬した小池氏は、感染の拡大防止を理由に選挙期間中、街頭演説を行わずオンラインで選挙戦を展開した。
小池氏は新型コロナ対策では国に先駆けて外出自粛を要請し、協力金を設け経済対策に力を入れたことなどを強調。継続して事業者への支援を進めることなどを訴えた。 (出所:日本経済新聞)
都政の喫緊の課題は、やはりコロナ対策、足元増加する感染者の封じ込めということなのだろうけれど、「ウィズコロナ」、「ポストコロナ」を見据えた経済施策にも注目したいと思ったりする。
東京都 ゼロエミッションの街へ
昨年末、東京都は「気候危機行動宣言」と同時に、「ゼロエミッション東京戦略」を発表した。
その中で、重点的対策が必要な3つの分野として、「東京都気候変動適応方針」「プラスチック削減プログラム」「ZEV普及プログラム」を示した。
「ゼロエミッション」とは、国際連合大学が世界で初めて提唱した理念で、排出物を限りなくゼロにして循環型の持続可能な社会をめざすものだという。
東京都は、「プラスチック削減プログラム」の具体的施策「ワンウェイプラスチックの削減などプラスチックの持続可能な利用に向けた先駆的取組を都と共同して実施する事業者」として、「ループ」を採択した(提案者 LOOP Global Holdings LLC及びTerraCycle Japan合同会社」)。
日用品容器をリユースするECサイト「Loop」
WWD Japanが、その「Loop(ループ)」を紹介する。
日用品の容器をリユースできるECサイト「Loop」は、テラサイクルという会社によって運営され、
世の中から捨てるという考えをなくす
を目指しているという。
容器の所有権を消費者から企業に戻す
というコンセプトのもとアメリカとフランスで試験的に導入しました。
「ループ」では日常的に使う消費財の容器をメーカーとテラサイクルで共同開発します。消費者が専用のウェブサイトから商品を注文すると商品が自宅に配達され、使用後に空き容器専用のバッグに入れて返送します。再び商品を購入すると、洗浄して再充てんされた商品が届きます。
商品購入の際に商品の金額に加えてデポジット(預り金)を支払い、容器を返却するとデポジットが返金されるという仕組みです。
牛乳の宅配サービスをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。 (出所:WWD Japan)
イオンでも始まる「Loop」
WWD Japanによれば、キッコーマンや味の素、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパンなど食品や洗剤などの日用品メーカが参加、提携先は約20社程度でスタートするという。
オンラインサービスは5000世帯を対象に試験的に開始し、同時に大手スーパーのイオンの東京を中心とする17店舗でも展開します。
イオンの店頭には「ループ」の商品を集めた売り場が作られ、空き容器の回収ボックスが設置されます。 (出所:WWD Japan)
小池都知事再選で、「ゼロエミッション東京戦略」の実現が加速すればと思う。
ポストコロナを新しく作り直す「グリーンリカバリー」
欧州で始まった「グリーンリカバリー」の動きを、京都大学名誉教授の松下和夫氏がFriday デジタルとのインタビューで紹介する。
「コロナ後の社会で、なぜ「グリーンリカバリー」の考え方が重要なのでしょうか?」と問われた松下氏は、
「新たな感染症拡大を発生させないために「新しく作り直す」ことが必要だと説く。
「新型コロナにより、既存の経済システムを停止せざるをえなくなりました。壊れた組織を治す際に、単に元に戻すのではなく新しく作り直すチャンスと捉えるのが「グリーンリカバリー」です。
そこでは、お金と資源と人材を地域で循環させて、できるだけ自立して安定した暮らしを実現することを目指しています」 (出所:Friday デジタル)
「できるだけ新しい技術を活かしながら、環境に悪い旧来の手法を改めていく必要がある」とし、「より多くの雇用を地域で創出し、質の高い暮らしと人々の幸福に貢献する経済システムへの転換が必要です」という。
東京都の掲げた「ゼロエミッション東京戦略」との相通じるところがあるのかもしれない。
ゼロエミッション東京戦略 ~CO2排出実質ゼロを目指す~
「ゼロエミッション東京戦略」は、2019年5月に宣言した2050年にCO2排出実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」の実現に向けたビジョンと具体的な取組・ロードマップをまとめたものだ。
東京都は、2019年5月、U20東京メイヤーズ・サミットで、世界の大都市の責務として、平均気温の上昇を1.5℃に抑えることを追求し、2050年にCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」を実現することを宣言しました。 (出所:東京都環境局ホームページ)
コロナ対策を確実に実行していくことが最優先事項であろうけれども、そのアクションは常にこの戦略に従ったものであって欲しい。
小池都政、次の4年間に期待したい。
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