脱炭素、カーボンニュートラルという価値観が徐々に身近なものになってきたのだろうか。
日本経済新聞によれば、米国では普段の購買行動に「カーボンニュートラル」という選択肢が、ちらほらと入りはじめているという。
この先、同じような商品、サービスが並んでいたら、「カーボンフットプリント」を参考に、地球にやさしいプロダクトを選ぶのが当然の流れとなるだろうという。
新たに加わる「カーボンフットプリント」という価値観
先日上場したスニーカーの米オールバーズが、カーボンフットプリントを表示して、商品を販売している。グーグルは、ユーザーが検索や地図、旅行、家といった領域で温暖化ガスの排出量が少ない選択肢を取れるよう、サポートする機能をリリースするという。
例えば「グーグルフライト」で飛行機を検索すると移動に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量も表示。料金や時間だけでなく、より地球に優しいという観点からフライトを選択できるようになっている。「グーグルマップ」では、CO2排出が少ないルート(燃費がよいルート)を提案してくれる。グーグルを経由してショッピングする場合は、よりエネルギー効率のよい家電が提案されるようになる。(出所:日本経済新聞)
ほんの先頃までは、ものづくりにおける価値観は、「QCD」品質、コスト、デリバリーにあると言われていたが、これに「カーボンフットプリント」が加わったということなのかもしれない。
「カーボンフットプリント」とは、商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を追跡した結果、 得られた全体の量をCO2量に換算して表示することをいう。
住宅用低炭素コンクリートが登場
北海道苫小牧市の會澤高圧コンクリートが、コンクリートの製造時に液化CO₂を噴射して取り込み、ナノレベルの鉱物を生成させ、CO₂の排出が多いとされるセメント量を削減し、同じコンクリート強度を引き出すテクノロジーを導入したという。
加カーボンキュアのCO₂鉱物化(固定化)技術を国内初実装 | AIZAWA
これを活用して住宅用杭基礎材H型PCパイルを販売するそうだ。価格は従来品と変えないという。
カーボンネガティブ発電所
広島県広島市の「西風新都バイオマス発電所」が「CO2回収装置」を導入し、排出されるCO2の一部を回収し、構内に設置する農業ハウスで利活用し、完全自己消費型カーボン・ネガティブ発電所を実現すると、この発電所を運営する太平電業が発表した。
西風新都バイオマス発電所にCO2回収装置を導入|お知らせ|ニュース|太平電業株式会社
太平電業が導入する装置は、三菱重工エンジニアリング製で、1日あたり0.3トンのCO2が回収可能だという。この新しい装置は、2022年6月からの稼働を予定しているそうだ。
再生可能エネルギーに分類されるバイオマス発電において、そこで排出される二酸化炭素を回収し、農業に活かすとは面白い取り組みになりそうだ。
身近なところで二酸化炭素の資源化が進むか
「カーボンフットプリント」を正確に把握できるようになれば、それが商品選択の物差しになるばかりでなく、その製造工程におけるCO2削減の目標となり、低減活動の起点になるということなのだろうか。
地球温暖化の敵と目される二酸化炭素を活用した事例が身近で増えれば、安心が一つ増えていくような気がする。こうした事例からすれば、脱炭素は決して高いハードルということはないのだろう。
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