Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

低炭素に挑む鉄鋼メーカ、カーボンフットプリントを開示するプラスチックス、その先に何があるか

 

 CO2の排出量が多い鉄鋼は、脱炭素の敵と目されがちだ。その鉄鋼メーカにおいて、CO2の排出削減に取り組んだ製品が市場に出回ることのなるという。

 神戸製鋼は、二酸化炭素の排出を削減した低炭素鋼の販売を開始すると発表したという。

神戸鋼、低炭素鋼を販売開始 第三者機関が認証、国内初:時事ドットコム

高炉からのCO2排出量を大幅に削減できる製鉄技術を活用していているという。このCO2削減効果について、特定の鋼材に割り当てる「マスバランス方式」を用いるそうだ。CO2の削減がプレミアになって、鋼材価格に反映されるということだろうか。

 

 

カーボンニュートラル鋼材  = 日本製鉄

 日本製鉄は、来年度からカーボンニュートラルスチールの供給を開始することを明らかにしたという。世界初で電炉一貫の最高級電磁鋼板の商業生産となるそうだ。年間70万トンからスタートするという。

日本製鉄、来年度からカーボンニュートラル鋼の供給開始 | ロイター

橋本社長は、カーボンニュートラルスチールは製造過程で炭素を発生させていないこと、発生した炭素はCCUS(二酸化炭素回収・貯留)で回収・貯蔵するものと説明。「使用する電気がカーボンニュートラルであれば、電炉で作ったものはカーボンニュートラルスチールだ」と説明した。(出所:ロイター)

 70万トンの生産というと、それなりの量に聞こえるが、全体の生産数量からすれば、まだまだの数字ということであろうか。

カーボンフットプリントの見える化 = 旭化成

 繊維を含めプラスチックス製品を数多く手がける旭化成が、自動車や家電製品等の部品材料として使用される機能樹脂の原料調達から生産までに排出した温室効果ガス排出量を把握し、カーボンフットプリントを算出する基盤を構築、そのデータ提供を始めたという。

機能樹脂製品における製品別カーボンフットプリントデータの提供開始 | 2022年度 | ニュース | 旭化成株式会社

 ナイロン樹脂「レオナ™」やポリアセタール樹脂の「テナック™」、変性PPE樹脂「ザイロン™」などの旭化成の機能樹脂製品は、グローバルな製造拠点で生産され、さまざまな拠点をまたぐ複雑なサプライチェーンが形成されているという。このため製造から販売に至るまで一貫した形で、最終製品別に経営情報やカーボンフットプリントを迅速に確認することは困難だったという。

 NTTデータと共同で開発したCO2量を可視化する新システムでは、世界に展開する工場ごとに、原料そのもののCO2量や電力などの加工プロセス、輸送に伴うCO2排出量をそれぞれ計算でき、国内外にまたがる製造プロセスごとの詳細なCO2排出量を算出できるという。デジタルの活用の好例ということであろうか。

 

 

カーボンフットプリントを表記するスニーカ

 素材から廃棄までのライフサイクルステージとプロジェクト全体の合計カーボンフットプリント「2.94kg CO2e」が表記されている新しいスニーカが、アディダスとオールバーズの双方の店舗で売られている。

(写真:オールバーズ)

 こうしたカーボンフットプリントの表記が標準となる日が来ることはあるのだろうか。

オールバーズ × アディダス 共創する、地球とランナーのために。「ADIZERO X ALLBIRDS 2.94 KG CO2E」コラボレーションモデルがさらに進化し、各ブランドの限定新色を展開|Allbirds合同会社のプレスリリース

 この新しいスニーカの発売に合わせ、オールバーズ サステナビリティ関連責任者のハナ・カジムラ氏は次のようにコメントしたという。

 

 

気候変動は手ごわい問題ですが、このプロジェクトでは2つのチームが協力すると、パフォーマンスと環境負荷軽減を同時に兼ね備えたシューズを作り出せた成功事例といえます。可能な限りカーボンフットプリントを抑えたシューズを作り出す開発プロセスをオープンにし、このようなコラボレーションを他社にも促すことが私たちの目標です。(出所:オールバーズ)

 原料、素材レベルからカーボンフットプリントが把握されれば、どんな商品においても、その情報開示を行うことは不可能なことではないのだろう。

 

「参考文書」

国内初 低CO₂高炉鋼材“Kobenable Steel”の商品化について|KOBELCO 神戸製鋼

旭化成が自社製品のCO2排出量を開示、世界の工場をカバーする仕組みとは | 日経クロステック(xTECH)