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ESGは欺瞞と指摘するイーロン・マスク氏にも慢心の影か

 

 EV 電気自動車の米テスラが米S&P 500 ESG指数の構成銘柄から除外されたといいます。S&P ダウ・ジョーンズ・インディシーズは、テスラのESGスコアは過去1年間「非常に安定」しているものの、世界の同業他社のスコアが改善したことで順位を落としたと説明したとブルームバーグが報じています。

テスラ、S&P500ESG指数から外される-マスク氏はESG批判 - Bloomberg

S&Pダウ・ジョーンズはまた、労働環境や自動運転システムに関連した死亡・負傷事故への調査におけるテスラの対応を巡る懸念にも言及。低炭素戦略の欠如や業務遂行に関する規範もマイナスな要素となったという。(出所:ブルームバーグ

 電気自動車メーカにして再生可能エネルギー事業も手がけ、ESGのトップランナーかと思われたテスラにしても、その華々しさの影では、まだまだ多くの問題を抱えているようです。

 

 

 GIZMODOによれば、工場排出物の記録提出義務を長年怠り、大気浄化法違反の警告を再三受け、今年2月になって米環境保護庁(EPA)に違反金を支払うことで和解に漕ぎつけたといいます。また、マサチューセッツ大学アマースト校政治経済研究所が2019年のデータをもとに発表した有毒100大気汚染指数においても、テスラは昨年第22位で、エクソンモービル(26位)より大気汚染度が上だったそうです。

テスラがESG銘柄から脱落した理由とは? Twitter買収大丈夫? | ギズモード・ジャパン

今年3月に公開された四半期報告では、カリフォルニア州内の汚水処理をめぐって調査を受けていること、ドイツで使用済みバッテリー回収義務違反で罰金を払ったことも明らかになっています。(出所:GIZMODO)

(写真:テスラ)

 人種差別問題を巡っては、カリフォルニア州当局が2月、人種差別的な中傷などにさらされ、過酷な肉体労働を課せられたとするフレモント工場の黒人従業員の申告を受けて同社を提訴していたといいます。

米テスラ、元従業員が提訴 新たに「人種差別」か | ロイター

 この問題をS&Pダウ・ジョーンズが改めて指摘したということは、改善があまり進展していないということなのでしょうか。問題が深刻化する前に、適切に処置、対応すべきです。そうした意味で、ESG銘柄から外したことには意味があるのでしょう。

 

 

 この問題に対し、テスラCEOのイーロン・マスク氏が、ESGは「詐欺」とツイートし、批判しているといいます。

マスク氏は「S&P500によれば、エクソンがESGに関して世界の上位10社に入っている一方でテスラはリストに入らなかった」とし、「ESGは詐欺だ。いんちきな社会正義の戦士らの武器と化している」と記した。(出所:ブルームバーグ

 その主張が的を得ていることもあるのかもしれませんが、まずは問題を真摯に受け取めることも必要なことに思われます。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」といいます。過剰も不足もどちらもよくないということを意味します。出来ていることばかりでなく、出来ていないことにもきちんと向き合わなければならないのでしょう。

イーロン・マスク氏、性的不品行疑惑を否定 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

 完璧な人などいないのでしょうが、時として、慢心が失敗につながっていきます。みなの期待が大きいだけに、油断はあって欲しくないものです。

 

「参考文書」

カリフォルニア州、テスラを「人種差別とハラスメント」で提訴へ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)