コロナ渦、ウクライナ情勢、世界的なインフレ、こうした諸問題が引き金になって、また新しい世界が移り変わっていくのでしょうか。
高水準となるインフレ
中国はコロナ渦の最中にあり、ウクライナ危機の収束は見通せず、モノの流れが途絶えがちになっています。こうした状況がインフレ率を40年ぶりの高水準に押し上げているそうです。受け入れようが、受け入れまいが、現実の世界がそこにあります。
グローバル化反転で貧しくなる世界-希少性が相場押し上げる時代に - Bloomberg
「世界経済を結び付け、世界中に大量の商品を届けてきたグローバル化が恐ろしいペースで巻き戻されている」と、ブルームバーグがいいます。
現下の状況が長引けば長引くほど、期待とは裏腹に地政学リスクは高まり、デカップリング(切り離し)によって、モノの不足が常態化することになっていくのでしょうか。
失われてしまいそうな豊かさ
ブルームバーグによれば、WTO 世界貿易機関のエコノミストが「分断は続く」と予測し、「これまで広く行われていた低コスト、限界費用での大規模な生産ができなくなる」との見方を示しているそうです。貿易は中国がWTOに加盟する前の水準に戻り、コストを伴う再編されたグローバリゼーションを予想しているといいます。
こうした予測にもとづけば、「豊かさが大きく失われ、生産性も低下する世界」があるといいます。インフレが加速し、物価動向の不安定化も示唆されるそうです。
投資家の観点からすれば、成長とインフレに対する厄介な見通しに満ちた世界が株式・債券市場を鼓舞することはほとんどない。
これまでのところ、2022年の勝ち組は希少性が相場を押し上げている商品市場と、商品を生産または取引する企業だ。世界的な緊張が高まる中、防衛関連企業の株価も好調だ。(出所:ブルームバーグ)
化石燃料や希少金属の流通が減れば、価格は上昇します。穀物や食用油の輸出が途絶えれば、同様に価格が高騰します。そうした商品を扱う企業に富が集中する。あまり好ましい状況ではありません。
かつてのグローバル化に戻るためには、世界融和が欠かせませんが、それはどうみても実現不可能ということなのでしょうか。そうであればこの痛みに耐えるしかないのでしょうか。
丸井、二項対立を避けるために
丸井が、途上国のマイクロファイナンスに参画できるデジタル社債を発行するそうです。たいへん人気になっているといいます。
「マイクロファイナンス」とは、貧困者向けの小口金融の総称で、マイクロクレジットのほか、マイクロインシュアランスなど、様々なサービスがあるといいます。
共創による社会貢献の新たなカタチはじめます~社会貢献と資産形成を両立する選択肢を提供~(丸井グループ)
丸井はこの新しいしくみを以下のように説明しています。
途上国の応援と資産形成を同時に実現できる、「応援投資」という、新たな選択肢をお客さまに提供できることになりました。
「応援投資」は、“誰かの未来を応援したい”という社会貢献に取り組みたい気持ちと、“預金より高い利息収入”という資産形成を両立することをめざす新しい仕組みです。(出所:丸井グループ)
その丸井は、『ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る』というビジョンを掲げ、その実現の鍵は、誰も置き去りにしない『インクルージョン』という考え方であるといいます。
このデジタル社債の利率は1%(金銭0.3%、エポスポイント0.7%)、リスク資産のような高配当は期待できませんが、昨今の社債の中では高利率といいます。マイクロファイナンスを通して、誰かを手助けすることによって、自分も豊かになれるのであれば、善いことではないでしょうか。
どうせ新しい世界に向かうのであれば、こうしたことが原理原則になっていけばいいのかもしれません。
デジタル債とは
それによれば、個人投資家と発行体を直接つなぐことができるとして注目されるセキュリティートークン債のことをいうそうです。社会貢献などESG(環境、社会、企業統治)分野に個人が資金を向ける有力なツールになると期待されているといいます。
ESGへの個人マネー、デジタル債が橋渡し-丸井Gは人気殺到 - Bloomberg
ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って発行プロセスを電子化するデジタル債は、証券会社を介さない発行や発行の小口化、特定の投資家層への販売、ポイントなど金銭以外での利払いなどができるという特徴がある。(出所:ブルームバーグ)
個人投資家を動かす上で重要なのが、金銭的なリターンだけでなく、投資を決める「動機」や「共感性」、そこで世界中で認知度が急速に高まっているESGがテーマとして注目され、ESG債をデジタル債で発行する動きが出てきているそうです。
「参考文書」
丸井グループソーシャルボンドを発行!社会貢献しながら資産づくりも実現できる“応援投資”。お預かりしたお金は世界の社会貢献と成長に活用させていただきます。