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【カーボンプライシング】COP26後半戦の焦点は排出権取引の国際ルール化

 

 COP26も前半戦が終了し昨日はお休みであったようで、これから始まる後半戦では、国際ルールで合意できるかが焦点といいます。CO2排出権取引の国際的なルール化が最大の課題のようです。

COP26 前半終了 国際ルール 合意できるかが後半の焦点に | COP26 | NHKニュース

パリ協定6条のルールに合意することで、温室効果ガス排出削減の価値が見えることになり、技術を持つ企業にとってはビジネスの後押しとなる。一方で削減が容易ではない分野には、信頼できる削減量が提供されることになり、世界の気候変動対策を加速させることができる。(出所:NHK

 排出削減量に付加価値がつけば、それが動機になって、それによってビジネス拡大し、さらなる後押しになるという見方もあるようです。NHKによると、この仕組みにより、2030年までに世界全体の二酸化炭素の排出量をおよそ3割削減できるという試算もあるといいます。

 

 

インターナル・カーボンプライシングを活用し始める企業

 排出する二酸化炭素を「コスト」とみなし、独自に価格を付け、設備投資の判断に役立てる企業が増えているそうです。

「CO2はコスト」脱炭素へ動く企業 日立は1トン1万4千円:朝日新聞デジタル

 この仕組みは「インターナル・カーボンプライシング(ICP)」と呼ばれ、新しく導入する設備を選ぶ際、設備本体の価格だけでなく、CO₂排出量を金額換算して価格に上乗せすることで、排出量が少ない設備ほど導入しやすくなる狙いがあるといいます。

省エネ機器を導入する際にも、通常は電気代をいくら減らせるかを計算して投資に見合うかを判断するが、CO₂の削減量もコスト削減分として扱うため、投資がしやすくなる。(出所:朝日新聞

 朝日新聞によれば、日立製作所もこの仕組みを導入し、CO₂の価格を今年8月から1トンあたり1万4千円に設定しているといいます。主に省エネ機器の投資判断に活用しており、19年度のCO₂の削減量は1356トンにとどまっているため、価格を引き上げたそうです。今後は、省エネ機器だけでなく、再生可能エネルギーの導入も増やすそうです。

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水力発電を活用する化学品メーカデンカ

 総合化学品メーカのデンカは、2030年のCO2排出量を13年比で50%削減し、50年のカーボンニュートラルを目指しているといいます。

 現在は、自前の水力発電で社内で消費する電力の4割を賄い、その他は自前の火力発電や外部からの購入で対応しているそうです。

デンカが持つ自前の水力発電所、「電力確保」「環境負荷の軽減」ともう一つの役割|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 ニュースイッチによると、目標の達成に向けて、水力発電の規模拡大を進めるほか、火力発電の水素発電への転換や、CO2の分離・回収など新技術の開発に力を入れていくといいます。

 デンカの水力発電所は新潟県を中心に水力発電所16カ所に設置され、総出力は12万6000キロワット。ダム方式を採用せずに、河川の流れを滞らせずに一部を取水して活用する「流れ込み式」を活用し、環境への負荷低減も心がけているそうです。

 

 

 一般的な発電の中で、エネルギーの変換効率が一番よいとされるのが水力発電です。企業レベルでもっと再生可能エネルギーである水力発電の活用があっていいのかもしれません。

マイクロ水力発電の普及を進めるダイキン

 ダイキン工業の「マイクロ水力発電システム」を電波新聞が紹介する。

マイクロ水力発電システム普及に全力ダイキン、全国の水道施設などに提案 | 電波新聞デジタル

 このシステムの特徴は小型コンパクトで、水道施設や管水路に設置でき、小さな水流を電気へと変換することができる。従来の「大きな電気」とくらべると発電量はわずかですが、水道が通っているところであれば、山間地だけでなく、より街に近い様々な場所に取り付けられるので、たくさんの数を設置することが可能とダイキンは説明します。

大型の水力発電に加え、ミニ水力発電やマイクロ水力発電といった、小さな水力発電システムの普及も図ることで、今まで無駄にしていたエネルギーを有効利用できる。再生可能エネルギーの普及拡大は、日本全体が目指す50年「カーボンニュートラル」に向け、重要な取り組みといえる。(出所:電波新聞

 電波新聞によると、すでに全国の水道施設に、予定も含め46カ所への導入が決まっており、「25年には100カ所以上へと拡大したい」と意気込んでいるそうです。

カーボンプライシング

「CO2の排出権取引」や「ICP」など「カーボンプライシング」が定着することで、ビジネスが活性化、CO2のさらなる排出削減につなげていくべきなのかもしれません。排出量が減れば、費用が発生せず、一方で、より多く排出量を削減した場合にはインセンティブがつけば、よりわかりやすく排出量の削減に努めるようになっていくのかもしれません。

カーボンプライシングの基礎知識 | Nomura

 

「参考文書」

COP26の焦点「第6条」各国が対立する本当の理由 | グローバルアイ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース