米サンフランシスコ生まれのサステナブルブランド「Allbirds(オールバーズ)」が、カーボンフットプリントを算出できる「ライフサイクルアセスメント(LCA)ツール(英語版)」をウェブで公開した。
2020年4月から、製造過程から廃棄に至るまで排出されるカーボンフットプリントをすべてのアイテムに表示することをオールバーズは始めた。その算出に使用する「LCAツール」を公開、この取り組みをファッション業界に拡げたいという。
Don’t hide your pollution. Label it.
We know that sharing proprietary information might not make the most business sense. But the global climate crisis is bigger than business.
説明責任を私たちだけで流行させることはできないとオールバーズはいう。
そして、世界最大のファッションブランドに、カーボンフットプリントツールの使用を勧めるメールを書き、送り、協力を要請した。そのメール送付先には、ユニクロ、ZARA、ノースフェイス、ラルフローレン、NIKE、リーバイス、H&Mの他、ルイヴィトン、グッチ、エルメス、プラダ等々の名前があがる。
「三方よし」や「ステークホルダー資本主義」が叫ばれるようになり、従来型の資本主義が変曲点を迎えるているのかもしれない。秘密主義から「オープンソース」、業界で共有すべきことは積極的に開示、協力していく。従来の単なる利益競争は企業間のコラボを遠ざけていた。オールバーズの行動は気候危機のような社会課題解決には必要不可避なものになっているのだろう。そして、その上で、社会とも協調する。
そんな形に資本主義が再構築されれば、気候危機などの喫緊の課題も解決に向かっていくのかもしれない。
Forbesによれば、気候変動や格差拡大の解消に向けて動いているのは、まだ企業の2~3割だという。企業が喫緊の問題だけでなく、公的問題にも取り組むためには大きな変革が必要であり、リスクが付きものだとその理由を指摘する。
オールバーズが提唱するように、簡便にカーボンフットプリントが算出でき、業界みなが共通の指標で結果を公開し、それが新たな競争のネタになれば、地球の浄化が進んでいくのかもしれない。日本から参加する企業があればいいのだろう。
環境省も「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」を公開、LCA排出量算定に活用できる算定支援ツール(Excelファイル)を公開している。
この他、国際的な取り組みとしては、SBT(Science Based Targets)があり、このSBTでは、パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことで、世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの。国内では多くの大企業が参加している。
身近なファッション業界で共通指標のカーボンフットプリントの公開が始まればいいのかもしれない。
「参考文書」