Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

鮮度もカーボンフットプリントも、農産物や魚の流通にそんなしくみはできないだろうか

 

「気候変動対応に遅れ、中小企業の大半がCO2排出量削減目標設けず」とNHKが報じています。

 それによると、中小企業の大半が二酸化炭素の排出量の削減目標を設けるなどの対応を取っていないことがりそなホールディングスの調査でわかったといいます。

中小企業の大半が気候変動対応に遅れ CO2排出量削減目標設けず | 脱炭素社会への動き | NHKニュース

気候変動対応を含む持続可能な開発目標=SDGsを取り入れた経営への課題を尋ねたところ、売り上げが50億円未満の企業の27%が「何をすべきか分からない」と答えたということです。(出所:NHK

大企業の間では、脱炭素などに向けた取り組みが進んでいるが、今回の調査で中小企業の対応の遅れが浮き彫りになったとNHKは指摘しています。

 

 

 一方、日本農業新聞がまとめた今年の農畜産物トレンド調査では、「持続可能性」が1位にあがり、環境に優しい取り組みが新たな商流をつくるといいます。

 また、「地産地消・国産志向」も急上昇し、昨年の圏外から6位に躍進したとそうです。商品価値を高められ、地域性のある国内産品への期待が集まるといいます。

22年農畜産物トレンド調査 「持続可能」へ移る商流 若者に訴求期待 「地産地消」も急伸 / 日本農業新聞

22年のキーワード(複数回答)は、今回新たに加えた「持続可能性」が49%で最多だった。

持続可能な開発目標(SDGs)、倫理的な消費行動(エシカル消費)などが浸透し、「環境など社会の課題を解決する商品が選ばれる」(乳業メーカー)と注目度が高く、若い人にも訴求できるテーマとみる。

「安さだけでは農産物の生産は続かない」(米穀店)と持続可能性のある取り組みで高付加価値化を探る業者もあった。(出所:日本農業新聞

 農畜産物がどんな地域で、どのようなこだわりを持って生産されたかの情報や物語性は武器になり、環境配慮の取り組みもアピール材料という。また、国内農家が消費ニーズをつかむには流通業者との協業が欠かせないと指摘、産地は流通業者との連携を高度化し、発信を強化すべきといいます。

 製造や流通、中食・外食といった各段階で価値を高め、国産が消費者に選ばれるようにしたいと、日本農業新聞のこの結果を解説しています。

 

 

 農業に限らず、物品を扱う産業においては流通が大きな役割を果たしています。流通が起点となって、SDGsや脱炭素の動きが活性化すれば、さらに広がりをみせることにならないでしょうか。

採れたての鮮度とカーボンフットプリント

 ANAホールディングスのグループ社員が、仲介業「日本産直空輸」を始め、新鮮な野菜や魚を各地の農家や漁師から直接仕入れ、旅客機で運んで、採れたての鮮度で首都圏のスーパーなどで販売するそうです。

ANAグループ社員提案制度により「株式会社日本産直空輸」が誕生|プレスリリース|ANAグループ企業情報

 ANAによれば、今回立ち上がった「産直空輸」では、従来の産地、卸売り、空輸、地上運送、小売り、消費者とつながる流通を、鮮度の価値を最重要視する流れに変革し、全体を一気通貫でコーディネートするといいます。

 旅客機貨物の空きスペースを活用し、既存の流通に乗らない少量生産の農産物、首都圏ではなかなか出回らない希少品や、地方に眠る逸品なども扱うことができるそうです。

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(写真:ANAホールディングス

 1次産業の持つ真の価値を最終消費者まで届けるには、全体をトータルにコーディネートする事業が必要であり、今回の事業化によって、従来の一次産業を活性化して儲かるビジネスにすることにつながるとANAは指摘します。

 一次産品はついつい「鮮度」を価値とします。これからはそれだけではなく、「カーボンフットプリント(炭素の足跡)」も価値に加え、それを消費者に伝えていくことも大切なことにならないでしょうか。そうしたことがまた農家のモチベーションにつながるようなしくみ作りも求められているような気がします。