中国はまことに不思議な国である。大量な二酸化炭素を排出し、世界と対立するような人権問題を起こしはするが、その一方で、森林再生、緑化については積極的で、その規模の大きさとスピードには驚くことさえある。
中国のマングローブ林保護修復事業の効果は著しい 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
AFPによれば、中国のマングローブ林保護修復事業が着実に推進されているようで、その効果が著しいという。
中国は世界でマングローブ林面積が純増加した数少ない国の一つとなった。第3回全国国土調査のデータによると、中国のマングローブ林面積は現在40万60ムー(約270平方キロメートル)を保有するという。(出所:AFP BB NEWS)
そればかりでなく、広東省で展開された「湛江マングローブ林造林プロジェクト」が、市場取引メカニズムの役割を果たし、5880トンもの中国初のブルーカーボン取引プロジェクトになり、マングローブ資源の生態系保護と経済効果のウィンウィンの目標を実現したそうだ。
マングローブ林の保護活動が、観光資源の開発につながり、過去において、潮干狩りのための破壊行為から、今ではエコ教育、楽しみながら学ぶ方式に転じ、観光時間の延長、観光体験の向上、観光収入の増加にもつながっているという。
また、生態系の修復と漁業資源の増養殖を結びつけることも模索しているという。
廃棄されたエビ池をマングローブ林に修復し、天然の生産力と餌を利用し、林下の経済生物を増殖させ、持続可能な資源の採捕の実施により、生態系の継続的改善と経済生物の連続産出を実現できるという。(出所:AFP BB NEWS)
AFPによれば、マングローブ林を保護修復し、その生態系の機能を十分に発揮すれば、生態系の優位性を経済優位性に転換させ、マングローブを「黄金樹林」にできるとみている専門家もいるそうだ。一見効率的かと思われた養殖も、自然サイクルに委ねる方法に敵わないということなのだろうか。
これに反し、日本は停滞するばかりで、前に進むことが少なくなってはいないだろうか。
新しい資本主義と脱炭素
「新しい資本主義」の名の下、賃上げやデジタルなど多岐にわたる取り組みが求められるようになった。脱炭素も同様で、GX推進が大きな課題になっている。
政府のこうした看板政策を担う山際経済財政・再生相に日本経済新聞がインタービューし、日本経済や企業の競争力引き上げへの課題などを尋ねた。また、脱炭素の鍵とみられる原発について、「東日本大震災から10年がすぎたが、原発について政府は議論を避けてきた」と問うた。
もちろん政治の責任ではあるが、一方で民主主義国家なので、いかに国民が理解していくか納得感をもっていけるかが大事だ。そのために結果として10年間かかっているのが長いのか短いかは後世が評価していくことだ。
原発を使わないとカーボンニュートラル達成できないのはコンセンサスだ。
メーカーは予見性をもってもらわないと計画が立てられない。予見性を持ってもらえるようなものにしないといけない。(出所:日本経済新聞)
原発ありきとしながら、いっていることは、他人事になっていないだろうか。事故を起こした東電は実質的には国有化されているのだから、他人事にせず、自ら予見性をもって、ことにあるべきではかろうか。原発議論を置き去りにして、現有火力の延命で逃げていてはエネルギーミックスの問題を含め、カーボンニュートラルの実現が危うくなる。
「八方ふさがりに見える日本に食いぶちはあるか。社会的課題の解決をビジネスの目的に据えればイノベーションのネタはいくらでもある」と日本経済新聞は指摘し、蓄電池については開発で先行しながら中国に追いつかれ追い越されたという。敵対するばかりでなく、中国に学ぶべきことが多々あるのではなかろうか。