Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

経産省が構想する「GXリーグ」とは何か、進まぬGXを活気づけるか

「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」、経済産業省が今年22年秋をめどに創設することを検討している。その名称に興味をそそられる。これに合わせて、二酸化炭素(CO2)の排出量を売買できる新たな取引市場を始めることを想定しているという。

供給網の脱炭素支援、排出量取引の参加条件に 経産省: 日本経済新聞

経産省が制度設計を進める排出量取引市場は企業が自主的に参加する仕組みだ。

企業が掲げる(カーボンニュートラル)目標より排出量の削減が先行すれば売り手として収益を得られ、自社だけで削減しきれない企業が買い手となる。(出所:日本経済新聞

 経済産業省の資料を読んでも、中途半端な印象をぬぐえないが、何もせず漫然としていることもできず、今できることから始めるということなのだろうか。

 懸案のカーボンプライシング導入に向け、後ろ向きな業界もあり、積極的に推進できない経産省の苦肉の策にようにもみえてしまう。これでGXは進むのだろうか。

 

 

「参加企業だけでなく供給網全体での対応を求めるのは、製品の部品供給を担う中小企業には排出削減を進めるためのノウハウが乏しいためだ」と日本経済新聞が指摘する。

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(資料:経済産業省「”GXリーグ”の基本構想案について」

 資料を読めば、日本企業は自主的な活動に弱く、国による制度整備が進まないとGXもDXも進められないと感じてしまう。

 一方、米アップルは、再生可能エネルギーを活用するための知見をサプライヤーと共有していると日本経済新聞は指摘する。そのアップルは30年までに供給網も含めた脱炭素をめざしている。

 

 

進む半導体製造装置業界の脱炭素

 国内の半導体製造装置メーカの脱炭素化の動きをニュースイッチが紹介する。各社自社製品の環境性能を高めるほか、事業活動における温室効果ガスの低減に取り組んでいるという。背景には米アップルの要求があるそうだ。

アップルの波及効果で「脱炭素」加速、半導体装置メーカーの危機感|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 ニュースイッチによれば、東京エレクトロンは21年6月に、持続可能なサプライチェーン(供給網)構築に向けたイニシアチブ「E-COMPASS(イーコンパス)」を立ち上げたという。

約1000社にも上る取引先とともに、環境負荷低減に取り組む方針だ。具体的には、トラックから鉄道輸送へ切り替えたり、梱包(こんぽう)材使用量を減らしたりすることで、調達物流二酸化炭素(CO2)を削減する。加えて、環境有害物質フリーの装置の提供、プロアクティブな装置環境技術開発も行う。(出所:ニュースイッチ)

アップルに、部品や部材を納めるサプライヤーの内、生産に使う電力を全て再生可能エネでまかなうと表明した取引先は既に175社に達し、半導体受託製造世界最大手のTSMC 台湾積体電路製造など半導体メーカーも賛同しているそうだ。 

 TSMCは25年までに温暖化効果ガスの排出量の伸びをゼロにする計画で、米インテルは30年までに再生可能エネ100%に切り替えるという。

 半導体メーカーが温室効果ガスの削減に取り組む理由は、アップルの要請に応えるためだけではなく、半導体生産に使う電気や水などの消費エネルギーの拡大も背景にあるという。

 後ろ向きな業界のペースに合わせていれば、何ごとも前に進むことはない。経産省の整備を待っていてはGXが進むことはないのだろう。「GXリーグ」で、後ろ向きな業界を説得し、「X」、トランスフォーメーションを加速させることはできるのだろうか。

 国内にも先駆的な事例はあるようだ。まずは模倣するところから始めてみてはどうだろうか。