Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【モルディブの切実な訴え】先送りされるカーボンプライシング、気候変動対策に後退はあっていいのか

 

 このままのペースで温室効果ガスの排出が続けば、今世紀末に海面上昇が1メートルを超える可能性がある。そんな記述が、IPCC「海洋・雪氷圏特別報告書」にあったという。世界各地で甚大な被害になることが容易に想定できる。

 80年も先のこととなると、あまり実感がないのかもしれない。ただ、これによって、国が滅びるかもしれない国々にとっては深刻なことだ。

 COP26の最終日の全体会合で、モルディブのショウナ・アミナス環境相が「他の国々にとって「バランスの取れた」「プラグマティックな」結論は、モルディブが気候変動に適応する助けにはならない」と述べ、「モルディブにとっては、手遅れになるでしょう」と話したという。

「1.5℃と2℃の違いは死刑宣告」最終日にモルディブ環境相が悲痛な訴え【COP26スピーチ】|TBS NEWS

結論を申し上げれば、議長殿。
この成果文書案を承認するかと問われれば、「はい」と答えます。

その代わりモルディブは懇願します。みなさんがこの合意を受け入れ、単なる対話だけでなく、実行に移し、私たち小島嶼国が手遅れになる前に気候変動に対処するために必要な支援が提供されることを。

ここにいる皆さんに思い出して頂きたい。
世界の排出量を半減させる(目標の2030年いっぱい)まであと98か月です。
1.5℃と2℃の違いは私たちにとっては“死刑宣告”なのです。 (出所:TBS NEWS)

 切実な訴えだ。こうした声を見過ごしてよいのだろか。

 

 

森林環境税

 2024年度から「森林環境税」が始まるという。

 CHANTO Webによれば、森林環境税は、1人あたり年間千円、住民税とあわせて納めることになるそうだ。

2024年度開始「森林環境税」は何のため?森林の今とこれから | CHANTO WEB

これは、地球温暖化を防止するための温室効果ガスの排出削減目標の達成や、災害の防止などのために、手入れの行き届いていない人工林の間伐や、人材の育成、あるいは木材利用の促進や普及啓発といった森林整備及び、その促進に市町村などが取り組むために用いられます。(出所:CHANTOweb)

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 今まで人工林が放置されてきたという問題はあるのかもしれないが、強く反対することもないのだろう。森林を荒廃させるべきではないのだから。

カーボンプライシング・炭素税

 菅政権の肝煎りで検討が加速したカーボンプライシングがトーンダウンしているのだろうか。

炭素税、22年にも制度設計 温対税改正を環境省提案: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、ここまで検討を進めたが、慎重な意見が相次いだため具体的な議論に踏み込めず、22年度の本格導入は見送るもようという。

カーボンプライシングの本格導入は鉄鋼業界や中小企業の代表者から慎重意見が相次ぐ一方、温暖化対策に積極的な企業は導入に前向きで、意見が分かれている。委員からは「アジア各国で導入する動きがあり、日本も急ぐべきだ」「議論を炭素税に絞るのは唐突だ」といった賛否両論が出た。(出所:日本経済新聞

 地球温暖化対策として、また、新たな経済構造を目指して、税負担のあり方の抜本的な見直しがあってもいいのかもしれない。

 

 

気候変動対策に後退はあっていいのか

 今年6月、「成長戦略実行計画」が閣議決定され、「カーボンプライシングなどの市場メカニズムを用いる経済的手法は、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長に資するものについて躊躇なく取り組む」とした。

 また、「国際的に、民間主導でのクレジット売買市場の拡大の動きが加速化していることも踏まえて、我が国における炭素削減価値が取引できる市場(クレジット市場)の厚みが増すような具体策を講じて、気候変動対策を先駆的に行う企業のニーズに早急に答えていく」とあり、気候変動対策に積極的な企業を支援しようとの姿勢がうかがえた。

 さらに、「我が国は、自由貿易の旗手としての指導力を存分に発揮しつつ、これと温暖化対策を両立する公正な国際ルールづくりを主導する。その際、炭素国境調整措置に関する我が国としての基本的考え方を整理した上で、EU等の議論の動向にも注視し、戦略的に対応する」とあった。

 今回の日経の報道を見る限りでは、明らかに後退しているように感じてしまう。周回遅れと言われた日本の気候変動対策の巻き返しを図ろうと菅政権が前のめり過ぎていたのだろうか。