Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

本格化するCOP26の議論、参加した首相はもう帰国、COPに合わせ動き出す人々

 

 英国グラスゴーでCOP26が始まりました。短期滞在で済ませた岸田首相が「脱炭素社会の実現に向けた日本の強い決意を発信し、各国から高い評価を得たとして日本の存在感を示すことができた」と強調したといいます。

 日本の存在感が薄れることを危惧して参加したのであれば、その目的は達成されたのかもしれません。しかし、それでよかったのでしょうか。

 今回のCOPの焦点は、平均気温の上昇を1.5℃に抑え込むため、世界各国が削減目標を引き上げることで一致できるかと言われています。短期の滞在で、世界の国々と、こうした危機感を共有することはできたのでしょうか。

 

 

森林破壊を食い止める

 COP26の議長国英国が、2030年までに森林破壊を食い止め、荒廃した土地を回復させるため協力するとの共同宣言を発表したといいます。日本を含む100か国以上がこの宣言に参加したそうです。

COP26 “100か国以上 森林破壊食い止め協力” 共同宣言を発表 | COP26 | NHKニュース

 NHKによれば、プーチン露大統領が、COP26の森林と土地利用に関するセッションにおよそビデオメッセージを寄せ、ロシアとしても森林保全に力を尽くし、温室効果ガスの削減に貢献する姿勢を強調したそうです。

この中でプーチン大統領は「世界の森林のおよそ20%がロシアにある。森林保全に向けて、違法伐採や森林火災と闘い、森の再生に取り組む。そのために必要な資金を拠出するなど、最大限の対策を講じていく」とロシアの立場をアピールしました。 (出所:NHK

 温暖化の影響は緯度が高くなるほど深刻と指摘され、シベリアでは森林火災が多発するようになり、永久凍土が溶けだす危惧があるといいます。

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 ロシア同様、温暖化対策に後ろ向きとあるとされていたブラジルにも変化があるようです。

Brazil's greenhouse gas emissions rose 9.5% in 2020 with Amazon deforestation -study | Reuters

 アマゾンの森林破壊を擁護していたブラジルのボルソナロ大統領が4月、バイデン米大統領主催のアースデイサミットで、「2030年までにアマゾンでの違法な森林伐採を終わらせること」を約束し、カーボンニュートラルの目標を2060年から2050年に引き上げたといいます。

 日本の行動はドラスティックに変化したといえるのでしょうか。前の政権が打ち出したカーボンニュートラル目標をさらに前進させる気概があってもよかったのではないでしょうか。

 

 

中国アリババが「環境にやさしい消費」を推奨

 COP26と直接関係ないのかもしれませんが、中国では11月の独身の日のセールで異変が起きるといいます。

中国アリババ、今年の「独身の日」セールは過去最も低調か | ロイター

 独身の日に売上を競い、過剰消費を煽っていたあの中国アリババが、「持続可能な発展」と「インクルーシブネス(社会包摂=誰も排除しないこと)」を推進すると表明し、優先するのは「環境にやさしい消費」と「足場の弱い人たちへの支援」だと打ち出したそうです。

 世界の消費行動に変化を及ぼす可能性はあるのでしょうか。

WFPの食糧支援の呼びかけに、イーロンマスク氏は応えるか

 長者番付世界一で、米テスラやスペースXを経営するイーロン・マスク氏が、WFP世界食糧計画の支援の呼びかけに、「60億ドルで世界の飢餓を正確にどのように解決できるのか、証明できれば、今すぐテスラ株を売却する」とツイートしたといいます。

マスク氏、テスラ株売却も-60億ドルで飢餓解決と国連が証明できれば - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、世界食糧計画の事務局長が、マスク氏らを名指して、超富豪に支援呼び掛けたのを受け、イーロンマスク氏が、どのように資金が使われるか分かるよう透明でオープンな形で示されなければならないとツイートしたといいます。

 イーロンマスク氏がWFPの呼びかけに応えることはあるのでしょうか。それをきかっけにして、富豪たちが行動変容を起こすことはあるのでしょうか。

求められる食糧生産の温暖化適応 稲作の再生二期作

「最新の予測では世界の穀物収量に対する気候変動影響の将来見通しが顕著に悪化」、「気候変動への適応の正念場、従来の想定より早い時期に」との内容の研究結果を農研機構が発表しています。

最新の予測では世界の穀物収量に対する気候変動影響の将来見通しが顕著に悪化 ~気候変動適応の正念場、従来の想定より早い時期に~|2021年度|国立環境研究所

 それによれば、気候変動が進行した場合、今世紀末(2069-2099年)の世界の平均収量は、現在(1983-2013年)に比べて、トウモロコシでは24%減少するとの結果だった一方、コムギでは18%増加するとの結果だったといいます。

 これらの時期は前回の予測より10年以上早まっており、気候変動への適応をこれまでの想定よりも早く進めることが必要と指摘しています。

 

 

田植え1回で2回収穫! 温暖化で注目「再生二期作」 通常と比べ3倍近い収穫量、輸出や業務用を低コストで生産 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

 一方、温暖化の影響で、お米は、稲作できる期間が長くなる可能性があるそうで、田植え1回で二度収穫できる「再生二期作」の研究が進んでいるといいます。通常と比べ3倍近い収穫量になるようです。

 こうした気候変動への適応の取り組みがますます求められることなるのでしょう。

渋谷で始まった「渋谷COP2021」

 英国のCOP26に合わせ、「渋谷COP2021」が開催されているそうです。主催は一般社団法人のSWiTCHといいます。

若者がCOPに合わせ「渋谷COP2021」を開催 1.5度目標達成に向け呼びかけ - WWDJAPAN

 WWD Japanによれば、渋谷区と連携し、一般参加者や協賛企業などから集めたアイデアを元に「SFプロトタイピング」と呼ばれる手法を用いて、「2050年のサステナブルな渋谷区の姿」を提言することに取り組むそうです。

地球が危機的な状況にある今、世界中の若者が気候変動を本気で止めようとしている。

私たちは安定した地球に住めるのか、灼熱化に進んでしまうのか大きな分岐点の上に立っており、ここ3〜5年が勝負所と言われている。日本にいると気候変動の影響を感じづらいが、南半球の友人たちはすでに多くの影響を受けている。

日本でも1.5度目標を待ったなしで達成しなければいけないということを、ダイナミックに変化し新しい時代を作るシンボリックな街渋谷から広く伝えていきたい。(出所:WWD Japan)

 今回のプロジェクトを企画した一社 SWiTCHの佐座代表は、渋谷パルコで行われた記者会見でその思いを語ったそうです。

渋谷COP2021|公式サイト

 渋谷がサステナブルな街のシンボリックな存在になり、情報発信の場になればいいのかもしれません。

 こうした声に、聴き上手な首相に耳を傾けてもらいたい、そう願わずにはいられません。