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【国連IPCC 6次評価報告書】疑いのない地球温暖化、激しさ増す異常気象、その原因に人間の活動を指摘

 

 国連のIPCC気候変動に関する政府間パネル)の地球温暖化の科学的根拠をまとめた最新報告書(第6次評価報告書)が公表されました。

人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。 (出所:BBC

「大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」と強い調子で、従来より踏み込んで断定したBBCは説明しています。

Heat Spike(ヒートスパイク)

「地球の過去12万5000年間で、最近の10年間は恐らく最も気温が高かったとも報告書は指摘、過去200万年間で大気中の二酸化炭素濃度を最高に押し上げた要因には、化石燃料の燃焼と森林破壊もあると説明し、メタンや亜酸化窒素の大気中濃度は少なくとも80万年間で最高の水準にあり、農業や化石燃料がこれに寄与していると続けた」とブルームバーグはその内容を説明します。 

温暖化は人間活動が原因、「疑いの余地ない」-IPCCが最新報告書 - Bloomberg

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(資料:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書
第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠)
政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)
経済産業省

 政策決定者向け要約(SPM)の概要によると、「世界平均気温は、全ての排出シナリオにおいて、少なくとも今世紀半ばまでは上昇を続ける。向こう数十年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21 世紀中に、地球温暖化は 1.5℃及び 2℃を超える」と指摘し、「気候システムの多くの変化は、地球温暖化の進行に直接関係して拡大する。この気候システムの変化には、極端な高温、海洋熱波、大雨、いくつかの地域における農業及び生態学的干ばつの頻度と強度、強い熱帯低気圧の割合、並びに北極域の海氷、積雪及び永久凍土の縮小を含む」といいます。 

 

 さらに、「継続する地球温暖化は、世界全体の水循環を、その変動性、世界的なモンスーンに伴う降水量、降水及び乾燥現象の厳しさを含め、更に強めると予測される」と指摘し、「二酸化炭素(CO2)排出が増加するシナリオにおいては、海洋と陸域の炭素吸収源が大気中の CO2蓄積を減速させる効果は小さくなると予測される」といいます。

過去及び将来の温室効果ガスの排出に起因する多くの変化、特に海洋、氷床及び世界海面水位における変化は、百年から千年の時間スケールで不可逆的である」とし、海面水位が今世紀末までに2メートル上昇する可能性も「排除できない」としているといいます。

 IPCC報告:将来への影響について

  • 温室効果ガス排出量がどう変化するかによる複数のシナリオを検討した結果、どのシナリオでも、地球の気温は2040年までに、1850~1900年水準から1.5度上昇する
  • 全てのシナリオで北極海は2050年までに少なくとも1回は、ほとんどまったく海氷がない状態になる
  • 1850~1900年水準からの気温上昇を1.5度に抑えたとしても、「過去の記録上、前例のない」猛威をふるう異常気象現象が頻度を増して発生する
  • 2100年までに、これまで100年に1回起きる程度だった極端な海面水位の変化が、検潮器が設置されている位置の半数以上で、少なくとも1年に1度は起きるようになる
  • 多くの地域で森林火災が増える (出所:BBC

www.bbc.com

「温暖化が進むごとに、変化も同時に起こり、私たちはそれをさらに経験することになる」

 BBCによると、気候変動がもたらす悪影響について、この報告書は今までになく明確に断定しているといいます。

しかし、多くの科学者は、2030年までに地球全体の温室効果ガス排出量を半減できれば、気温上昇を食い止め、あるいは反転させることができるかもしれないと、以前より期待を高めているそうです。

 

温室効果化ガス実質ゼロ(ネットゼロ)を実現するには、まずクリーンエネルギー技術の利用で可能な限り温室効果ガスを減らした後、残る排出を炭素隔離貯留技術によって回収する、もしくは植林によって吸収するなどの取り組みが必要となる。 (出所:BBC

かつては、たとえネットゼロを実現しても、気温上昇は続くと考えられていた。しかし今では、自然界が人間に優しくしてくれると期待している」。

もしネットゼロを実現できれば、それ以上の気温上昇はおそらくないだろうと」

温室効果ガスのネットゼロが実現できれば、いずれは気温上昇を反転させて、地球を少し冷やせるようになるはずだ」と、英リーズ大学のピアス・フォースター教授が述べたそうです。

地球温暖化対策計画

 国が、「地球温暖化対策計画(案)」と「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の構成(案)」の検討を進めています。 また、日本のNDC(国が決定する貢献)案も検討されています。

www.meti.go.jp

温室効果ガス削減目標:「2050 年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、我が国は、2030 年度において、温室効果ガスを 2013 年度から 46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく」。

さらに検討され、日本のNDC(国が決定する貢献)として、国連に提出されるようです。

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(資料:経済産業省「日本のNDC(国が決定する貢献)(案)」)

www.nikkei.com

非常事態

 国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「IPCCの6次評価報告書は、人類にとって非常事態だ」と発言したといいます。

 

  経済産業省によると、AR6(第6次評価報告書)/WG1報告書のSPM(政策決定者向け要約)は、政府が日本語訳を作成し、8月下旬頃に気象庁のウェブサイトにて公開する予定といいます。また、報告書本体各章の概要等についても、IPCCから公表された後、同様に気象庁のウェブサイトにて日本語訳を公開するといいます。

 

「参考文献」

www.meti.go.jp

 

「関連文書」

dsupplying.hatenablog.com