Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【逆風の脱炭素】資源高、リスク増す素材調達と循環経済、リサイクルの重要性

 

 鉄鉱石に原料炭、銅などの資源高で総合商社の業績が改善しているといいます。世界経済が力強い回復を示す一方で、資源高の影響があちらこちらで顕在化しているようです。

 中国ではリン酸肥料が高騰しているそうです。リン鉱石の生産が減少しているうえ、肥料工場の稼働率が低く、需要を満たせないといいます。

 太陽光パネルも昨年比で20%ほど値を上げているといいます。パネル生産に欠かせないガラスやポリシリコンの価格上昇の影響があるようです。蓄電池の生産では、リチウムやニッケル、レアアースなどの高騰が影響しているといいます。

 素材の高騰が、脱炭素に悪影響を及ぼしそうです。

 

 地球温暖化の影響も深刻さを増しているようです。北海道大学の研究によると、北海道の大雪山にある永久凍土のほとんどが消失の危機にあるといいます。地球の平均気温が2℃上昇すると、2100年で2000年代の10分の1まで永久凍土が縮小するという結果が出ているそうです。

univ-journal.jp

 矛盾のようなものを感じます。温暖化防止のため、脱炭素を進めようにも、資源高が足枷になり、それでまた資源の争奪戦も起こりそうです。

 化石燃料の依存から脱却し、再生可能エネルギーへの移行が進んでいこうとする中、今度は、太陽光パネルやEV電気自動車の生産が天然資源によって縛りを受けそうです。

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 循環経済 サーキュラーエコノミーがもっと注目されていいのかもしれません。

 新たな採掘に頼らず、できる限り今ある資源を再利用していく。それでも不足するものだけに限定して新たな採掘する。そんなしくみができればいいのでしょう。

国際エネルギー機関(IEA)は5月公表のリポートで、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにするにはリチウムなど重要鉱物が40年時点で現行の6倍必要と指摘。

レアアース以外でもニッケルなどで精製品生産の35%以上が中国に集中するリスクに警鐘を鳴らしたほか、資源開発の促進を求めた。 (出所:ニュースイッチ)

newswitch.jp

 こうしたリスクを鑑みても、自国内で再資源化、リサイクルする重要性が増しているのかもしれません。

 

 

バッテリーに含まれるリチウム、ニッケル、コバルト、銅は、すべて地中から採掘される」。

 「現在、その採掘地はロシアやインドネシアコンゴ民主共和国などに集中しているが、環境監視が行き届かない、労働基準が曖昧、地域社会との対立があるなど問題も多く抱えている」日本経済新聞ナショナルジオグラフィック)は指摘します。

 脱炭素に必要なものだからといって、こうした現実に目を閉じたままでよいのでしょうか。

www.nikkei.com

気候変動の問題に取り組もう、新たな鉱床を開発しよう、できるだけ早く採取しよう』というやり方は、短期的には機能するかもしれません。

しかし、長期的な問題にはより注意の行き届いた解決策を考える必要があります (出所:日本経済新聞

 資源に強い総合商社は、この問題にどう対応していくのでしょうか。

 商社の強みの一つにスペキュレーション(投機)があるといわれます。たとえば、継続的に資源価格の高騰が見込まれれば、新たな鉱山に投資し、そこから採掘される資源を供給する。そんなモデルが従来だったのではないでしょうか。

レジリエンス強化のための取組は、個々の企業の危機時における事業継続のみにとどまるものではない。例えば、今後ますますの市場拡大が見込まれるグリーンやデジタルの分野においては、半導体や蓄電池、川上の各種マテリアルなどが、製品やサービスの品質向上に向けて重要な役割を果たすこととなる。すなわち、これらの分野における技術開発やサプライチェーンの構築・強靭化が、国内に優れた製品やサービスを生み出す基盤であり、我が国製造業全体の競争力強化に直結することとなる」と、ものづくり白書は指摘しています。

  商社に、都市鉱山(リサイクル)を開発する気はあるのでしょうか。これも立派なスペキュレーションのような気がします。 

 

www.nikkei.com

 

「参考文献」

太陽光パネル値上がり 中国での人権問題でさらなる価格上昇も | 環境 | NHKニュース

中国リン酸肥料が高騰 環境保護策で生産量減 世界シェア4割、日本に影響も / 日本農業新聞