Up Cycle Circular’s diary

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【脱炭素】求められる資金、危機的なアマゾン熱帯雨林と新たなカーボンリサイクル技術

 

 大気中の二酸化炭素を吸収する役割を担ってきたはずのアマゾン熱帯雨林二酸化炭素の吸収源から排出源に転じているといいます。

 ブラジル国立宇宙研究所の研究チームによる研究論文によると、アマゾン熱帯雨林の南東部では二酸化炭素の排出量が吸収量を上回り、二酸化炭素吸収源から大気への炭素排出源に転換しているそうです。

 

 過去40年にわたり、アマゾン熱帯雨林の東部は西部よりも森林破壊や高温、干ばつにさらされてきたといいます。特に乾季の間、南東部ではこの傾向が最も強くみられていたそうです。

研究チームは「厳しい乾季と森林破壊の増加により生態系に負荷がかかり、森林火災の発生が増え、炭素排出量が増加したのではないか」と考察している。 (出所:Newsweek

www.newsweekjapan.jp

 ブラジルでの研究の他にも、2010年から2019年までの二酸化炭素吸収量が139億トンであった一方、その排出量は166億トンであったという研究論文もあるそうです。

 アマゾン熱帯雨林、世界最大で全体の約半分を占めています。その熱帯雨林二酸化炭素の吸収機能を劣化させています。その原因のひとつに、また人類のエゴが指摘されました。

 自然環境を元の通りに回復させることが急務であり、喫緊の課題になっているのでしょう。

 

 

 海水にも二酸化炭素を吸収する機能があるといいます。

 大気と海洋は平衡状態にあり、海水から二酸化炭素を抽出すると、大気中の二酸化炭素が海水に溶け込むといいます。

 その海水は、単位体積当たりで、大気の約150倍もの二酸化炭素を保持しているそうです。海水は、既に容量いっぱいまで二酸化炭素を吸収したスポンジのようなもので、そこから二酸化炭素を取り除くことができれば、海水が大気中の二酸化炭素をまた吸収できるようになるといいます。

 これを目的とした研究があるといいます。

 Fabcrossによると、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校が「シングルステップ炭素隔離貯留(single-step carbon sequestration and storage:sCS2)」と呼ばれる手法を開発し、提案しているといいます。

この技術は、原料を継続的に流路に流し込み流通(フロー)させながら反応物を生成するシステムであるフローリアクターを組み込んだものだ。

海水はメッシュを通過することで電荷を帯び、アルカリ性になる。これがきっかけとなって一連の化学反応が始まり、最終的には、海水に溶けている二酸化炭素が海水に含まれているカルシウムやマグネシウムと結合し、貝殻の形成と同じプロセスによって、石灰石やマグネサイト(菱苦土石)が生成される。

その結果、流れ出る海水は、水中に溶けていた二酸化炭素が減少し、より多くの二酸化炭素を吸収できる状態になる。また、この反応により、固体の鉱物以外の副産物としてクリーンな燃料である水素も生成される。

この手法の利点は、まず、数十億トン規模で実施できる可能性があるということだ。(出所:Fabcross)

fabcross.jp

 Fabcrossによると、人類は年間370億トンの二酸化炭素を排出していると推定されているそうです。気候変動の緩和ためには、年間100億~200億トン程度の二酸化炭素を大気中から除去する必要があるといいます。

 様々な二酸化炭素の回収方法が検討されていますが、これがもっとも効率的な方法のひとつのようです。

 ただ、毎年100億トンの二酸化炭素を回収するには約1800基のsCS2プラントが必要になるとのことで、そのコストは数兆ドルになるそうです。

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 みずほフィナンシャルグループが、世界銀行グループが管理する温暖化ガス排出枠(カーボン・クレジット)を企業が購入できる仕組みをつくるそうです。

 世銀グループの国際金融公社(IFC)が森林保護など複数の環境プロジェクトを通じて排出枠を保有しているといいます。日本経済新聞によると、日本企業は1社あたり数億円を拠出することで、このIFCとの排出枠取引に参加できるようになるそうです。

排出枠は、足元で二酸化炭素(CO2)1トンあたり数千円が相場で、30年ごろまでに累計100億~200億円の取引を見込む。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 こうした枠組みの資金が新たなカーボンリサイクルの開発に使うことができるようにならないのでしょうか。

 人類のエゴを叡智に変え、一刻も早く気候変動対策を進めることが求められています。