九州南部でも梅雨が明けました。いよいよ夏本番といいたいところですが、少なくとも7月いっぱいはまた猛暑の日々が続き、熱中症に警戒だそうです。
世界は厳しい熱波へ備えなければならないと、WMO世界気象機関も警告を出しています。こうした現象が今後も増えていくそうです。
世界は「より厳しい熱波」に備えを WMO 写真25枚 国際ニュース:AFPBB News
世界各地で温暖化の影響とみられる猛烈な暑さが続き、WMOの猛暑アドバイザー(←こんなアドバイザーがおかれているのですね)が、健康リスクが急速に高まっていると警鐘を鳴らしているといいます。
また、日中の最高気温よりも、夜間の最低気温の高さを懸念すべきだと指摘しているともいいます。
「夜間に高温が続くと、持続的な熱から体を回復させるのが難しくなり、極めて危険」だとし、心臓発作や死亡の増加につながる可能性があるそうです。
線状降水帯
今年の梅雨においても、線状降水帯が各地で発生し、豪雨によって大きな被害が続きました。
こうした被害がもたらす豪雨が近年増加傾向にあることが、1976~2020年の観測データを用いた調査で明らかになっているそうです。
九州北部で豪雨災害発生、「線状降水帯」の名付け親に聞く:日経ビジネス電子版
線状降水帯の名付け親である気象庁気象研究所の加藤輝之部長が地球温暖化と大雨の関係を解説しています。
空気は気温が高いほど多量の水蒸気を含むことができる性質があります。地球温暖化で地上の気温が上がれば、空気中に大雨の基となる多量の水蒸気を含むようになり、平均降水量は増加するのです。また、集中豪雨や線状降水帯を発生させる水蒸気は海上から流入します。その水蒸気量が地球温暖化に伴う海面水温の上昇で増加しています。今後、さらに気候変動が進めば、現在は日本列島の西側で発生しやすい集中豪雨の頻度が増えるだけではなく、より北の地域でも線状降水帯の発生が多くなることが考えられます。(出所:日経ビジネス)
日本の気候変動
文部科学省と気象庁が共同で発表したレポート「日本の気候変動2020」では、集中豪雨の増加は地球温暖化の影響と考えられるとしているといいます。
近年、気温の上昇や大雨の頻度増加等、気候変動が各地域で進行してきており、今後更に深刻化していくことが予測されています。(出所:文部科学省)
文部科学省は、国や地方公共団体、事業者等において、気候変動に関する政策や行動の立案・決定を行うにあたり、基礎資料として本報告書を活用することを勧めています。
こうしたレポートがまとめられているのに、まだまだ活用しきれていないのでしょうか。政府も脱炭素と口にしますが、政策はまだ経済成長に寄り過ぎているようにも感じます。また、繰り返し起きる災害で国民の命が奪われている現実に目が向けているのでしょうか。危機意識の薄さも感じます。
2014年8月20日に広島で発生した大雨事例。大きな人的被害が起きた。本来建てることを避けるべき沢筋に家屋があったため、多数の死者が出てしまったのです。このとき現地に視察に行ったのですが、住民自身がどのような災害リスクがあるところに住んでいるのか日ごろから理解しておくことが重要だと強く感じました。(参考:日経ビジネス)
政策に活かされない限り、豪雨による激甚災害、また猛暑による熱中症被害はますます拡大していくことになりそうです。
ゼロエミッション東京
東京都は「ゼロエミッション東京戦略2020」を掲げ、2050年のCO2排出実質ゼロの実現に向けて2030年までの10年間が極めて重要とし、2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」を表明し、新たに2030年に向けた社会変革のビジョン「カーボンハーフスタイル」を提起しています。
東京都が路駐しながら充電できる事業に取り組むワケ | 自動車情報・ニュース WEB CARTOP
政府目標よりも一歩踏み込み、攻めたロードマップを東京都は掲げ政策を進めていると記事は指摘します。
神宮外苑の再開発では批判される東京都ですが、完全ではないにしてもやるべきことをやっているとも感じます。国もこうした姿勢を見倣って欲しいものです。
「参考文書」
気象庁|日本の気候変動2020 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—