Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【研究進む気候変動】危機募らせる人々、楽観的に身構える若年層

「COP世代」、国連気候変動枠組み条約締約国会議 通称「COP」が初めて開催された1995年以降に生まれた世代は、気候変動よりも物価高への懸念が強いことが、39カ国・地域、3万人超を対象に行った意識調査で明らかになったそうです。

「COP世代」の約半数は気候変動に楽観的、物価高懸念-エプソン調査 - Bloomberg

世界各地で異常気象や自然災害が発生する中、若い世代の間では気候変動による被害を楽観視する声が目立った。(出所:ブルームバーグ

 年々深刻さを増しているとはいえ気候変動への慣れが、COP世代の危機感の低さにつながっているのではないかとの見方を、調査を行ったセイコーエプソンが示しているそうです。

「われわれが少し頑張ったところで世の中の大きなうねりにはならない可能性がある」と危機感を示し、また、足元の物価高が、人々の環境問題に対する意識をさらに低下させる恐れがあると指摘しているともいいます。

 

 

 そうなのでしょうか。もしかして若年層は、気候変動に悲観的でありながらも自分たちの手で何とかしなければならないと考え、それはできると信じ、しかし、喫緊の課題である物価高は自分たちではどうにもできないと感じていることはないでしょうか。

「COP世代」より上の世代はその逆なのかもしれません。

 物価高については自分たちで何とかできる、うまくしのげると考え、それに反して、自分たちが為すべき気候変動対策は「うまくいかないのではないか」と悪い意味で悲観的になり、不安を感じたり心配したりで、ネガティブな感情や結果を自ら招いているような気もします。

 

 

異常気象が745兆円もの莫大な経済損失を生むおそれ

 それにしても気候変動による悪影響がいよいよ現実化してきているように感じます。今年の夏が記録づくめの異常な夏であったことももちろんのこと、WMO 世界気象機関によれば、15-22年の8年間は観測史上最も暑い8年間だったといいます。それなのに温室効果ガスの抑制は進まず、IEA 国際エネルギー機関は22年の世界のエネルギー関連の二酸化炭素排出量は、約368億トンと史上最高を記録したと公表したそうです。

 このまま気候変動による異常気象が深刻化していくと、今後5年間で世界で生じる経済的な損失は総額5兆ドル(約745兆円)に上る可能性があるそうです。

異常気象の経済損失745兆円 今後5年、社会混乱リスク―英ロイズ推計:時事ドットコム

「穀倉地帯が被害を受け食料不足が深刻化すれば、各国は社会混乱に見舞われかねない」と、この調査をまとめた世界最大の保険市場を運営する英ロイズ・オブ・ロンドンが警告しているといいます。また「異常気象や気候関連リスクによる世界の経済的損失のうち、現在保険でカバーされているのはその3分の1にすぎない」と指摘したそうです。

 

 

研究が進む気候変動

 気候変動の研究が活発化になり、次々と新たな事実が明らかになってきています。山形大は、蔵王などで冬に見られる「樹氷」が今年1月、新潟県の 巻機(まきはた)山で87年ぶりに確認されたと発表したといいます。

87年ぶり樹氷観測、温暖化も一因…新潟県の巻機山 : 読売新聞

地球温暖化の影響で、山地の降雪量が減少して木々が雪に埋もれなくなったため、樹氷が成長できるようになったことも考えられるという。(出所:読売新聞)

 また、三重大と九州大の研究チームは、2010年ごろに北半球で急激な気候の変化「レジームシフト」が起き、北日本で近年猛暑が発生しやすくなったとの論文を発表したといいます。

2010年ごろに何が?…北半球の気候、急激変化 猛暑頻発にシフト | 毎日新聞

10年以降、平年より高温の年が10年以上継続しており、あまりにもきれいに境目が表れていて驚いた。この変化が続く限り冷夏が発生する可能性は低い。高温対策により重きを置いた農作物の品種改良などが必要だ。(出所:毎日新聞

コーヒー豆危機 

 コーヒー豆アラビカ種の産地が50年までに半減すると試算されているそうです。気温上昇や降雨量の変化など気候変動の影響といいます。

コーヒー豆に「2050年問題」 気候変動で産地半減危機 - 日本経済新聞

 産地の縮小は豆の国際価格を長期的に押し上げ、喫茶店や飲料メーカーのコスト増をもたらす可能性があるといいます。

「気候変動に伴うコーヒー豆を巡る問題は、1カ国、1企業の努力では解決できないものになっている」といいますが、悲観的になり過ぎてはいないでしょうか。気候変動はすぐに解決しないかもしれませんが、迫りくる気候変動に適合したコーヒー豆生産なら何とかできそうな気がしますが、そうはならないのでしょうか。

「なるようにしかならないが、なるようにはなる」、思い通りにならないことの方が多いですが、目の前の仕事を深刻になり過ぎることなく取り組み、淡々とやり続けば、なるようになっていくのかもしれません。「COP世代」もそう考えているかもしれません。

 

「参考文書」

人生や仕事はうまくやろうと気負ってはいけない…「良い人生」が実現する3つの条件 やり抜く力も、レジリエンスも不要 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)