Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

昨年の化石賞がトラウマか、COP27参加見送りを決めた首相の惑い

 

 ロシアによるウクライナ侵攻で深刻化しているエネルギー危機や食料危機、これらは気候変動との関わりも深い問題です。COPの場でも議論されるテーマになるようです。

 COP27への参加を首相が見送ったそうです。残念なことです。

 物価高騰の主要因であるこうした問題に積極的に関わろうとしない態度に疑問を感じます。

ロシアのウクライナ侵攻で先進国に石炭回帰の動き、約束不履行に不満募らせる途上国 COP27、エジプトで開幕:東京新聞 TOKYO Web

 これまで欧州が気候変動対策や脱炭素をリードしてきましたが、ウクライナ侵攻の影響を受けて、そう一足飛びには欧州が追い求める理想に近づいていかないことを突きつけられています。

今回のCOPで各国は、20年代中の排出削減を強化する作業計画を取りまとめる予定だ。しかし、ウクライナ侵略以来のエネルギー不安から、排出量の多い石炭火力発電に回帰する国が相次いでおり、合意は容易ではない。(出所:読売新聞)

 現実的な解を求める場になればと願うのですが、どう進展していくことになるのでしょうか。

 

 

 昨年のイギリスグラスゴーで開催された「COP26」では、岸田首相の発言をもとに「化石賞」を頂くことになりました。

 そのときは、石炭火力の段階的廃止が優先事項とされていたにもかかわらず、まだ実現見込みのない「ゼロエミッション火力」を主張したことが理由でした。アンモニアや水素などを活用する技術は未熟でコストも高いとの指摘を受けました。

 しかし、ウクライナ侵攻で状況は一変していないでしょうか。一時的にせよ、どの国も石炭火力に戻るようになっています。ウクライナ情勢が長引けば長引くほど、その傾向が強まる可能性があるのかもしれません。

 日本最大の火力発電を運営する「JERA」が、アンモニアによる「ゼロエミッション火力」の実現に一定の目途を立てたようです。アンモニアを安価に製造するサプライチェーンの構築が課題して残っていますが、化石燃料への依存を低減することが期待できる技術になるのかもしれません。

排出ゼロ火力に前進 「安い発電」へ供給網 小野田聡JERA社長: 日本経済新聞

 いずれにせよ、現在の苦しい状況からすれば、JERAは二酸化炭素を排出しない「ゼロエミッション火力」を推進し、なおかつ国是であるカーボンニュートラルへの貢献に努めようとはするのでしょう。

 昨年不名誉であったことも、状況次第では求められる技術になるのかもしれません。

 慎重に検討し、進める必要があるのかもしれませんが、批判した国際環境NGOなどと手を携え協力できるのか模索し、推進できるか否かを探り直してもいいのではないでしょうか。

 粘り強く交渉すれば、新たな道を見出せるのかもしれません。参加を見送るのでなく、自ら率先してアクション起こすべきだったようにも感じます。

 

 

 異常気象による災害リスクを、気象観測などで事前に伝える「早期警報」を今後5年で全世界の人が利用できるようにする、そのための行動計画を、国連がCOP27で発表したといいます。

日本の豪雨「早期警戒システム」技術、途上国に提供…COP27で政府表明へ : 読売新聞オンライン

 読売新聞によれば、豪雨対策として、気象観測によって各地の災害発生リスクを知らせる「早期警戒システム」の導入支援を、政府が会期中に表明するといいます。

政府は、雲の発達状況から局所的な集中豪雨を予測できる民間気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)の小型レーダーを活用し、住民らに災害リスクを知らせる仕組み作りを検討している。(出所:読売新聞)

 西村環境相が読売新聞のインタビューで「優れた技術やノウハウを持つ国内企業と連携し、途上国支援に貢献したい。企業の海外展開にもつながる」と語ったといいます。

 そうできれば、今回のCOPの議題である「損失と被害(ロス&ダメージ)」にも貢献できるのでしょう。いやそうしなければならないのでしょう。そうせねば、危機が去ることはありません。

 まずは多くの国から支持を取りつける努力を続け、慎重にことを進めていって欲しいものです。

 

 

 遠回りになるのかもしれませんが、こうした行動の積み重ねで、国際社会における脱ロシアの機運が高まるのかもしれません。ロシアへの無言の圧力となるようにしていかなければならないのでしょう。

 平和裏に情勢の変化を起こすようにしなければ、足下の危機が去ることはありえません。

 重ね重ねではありますが、首相のCOP27への参加見合わせは残念でなりません。日本できる国際貢献の機会を自ら潰していないでしょうか。

 

「参考文書」

環境団体、岸田演説に反発「ゼロエミッション火力妄信」 化石賞も | 毎日新聞

異常気象による災害「早期警報」5年で普及へ 国連が行動計画 | 毎日新聞