Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

燃料価格の高騰に、電力需給の逼迫、このエネルギー危機は誰が解決するのか

 

 エネルギー危機なのだろうと、意識せざるを得ない。遠い国での戦火は鳴りやまず、長期化しそうである。経済制裁は続き、一時的にせよ、燃料の供給量が減ずることで価格高騰も続くことになるのだろうか。

 脱炭素の余波で、火力発電所は更新されずに電力需給の逼迫が危ぶまれる。再生可能エネルギーの設置は進むが、必ずしも有効活用されているとは言い難いようだ。

 国のカーボンニュートラル宣言が受け、企業も積極的に取り組みを始めるが、その計画になぜか疑問符がつくようだ。

「政府が掲げた「2050年カーボンニュートラル」という目標に向けて、いかに「実行」していくかが問われている」とハフポストはいう。

脱炭素社会に向けて「廃止」されていく産業。でも、そこで働く人はどうなるの? 平田仁子さんに聞く「公正な移行」【SDGs】 | ハフポスト 特集

脱炭素社会に向けて本気で産業転換していく覚悟とともに、求められるのは“公正な移行”の議論だ。

産業の大変革によって失われかねない雇用の問題に向き合い、社会全体で対策を講じなくてはならない。(出所:ハフポスト)

 国も企業も全く信用されていないということであろうか。

 

 

 記事の指摘も理解できない訳ではない。国の計画にビジョンを感じることができず、また、企業は能動的というよりむしろ受動的で、やらされているという雰囲気を醸し出しているのかもしれない。

 国から補助金など資金を得ようと、それに見合う提言をし、国は予算付けの根拠に企業の提言に従ったストーリーを描かざるをえないのだろう。

「例えばアンモニア混焼にしても、政策の中心にいる人たちは胸を張って「正しい」と言うんです。でも、それはどの専門家に聞いたのでしょうか」と、ハフポストのインタビューで、平田仁子氏が疑問を投げかけている。

政府が作るロードマップを誰が決めているのかということと深く関係しています。既得権益をもった企業やお馴染みの専門家の会議で話し合いが進み、それが政策になっていく。今の利益システムを崩すようなアクターが政策決定のプロセスに入れる余地がありません。(出所:ハフポスト)

(画像:JERA)

 日本最大の火力発電所であるJERAは、アンモニア火力を推進する。電力の需給調整機能には火力は欠かせない。太陽光発電ばかり増えても、蓄電機能が十分でなければ、夜間はまだ火力に頼ざるを得ない。ただ火力としての発電量が減れば、JERAとしては経営が厳しくなってしまう。アンモニアという選択肢を残しておきたいという動機があるのも理解できない訳ではない。

 

 

 一方で、JERAは再生可能エネルギーの拡大にも力を入れる。太陽光発電開発のウエストホールディングスとの資本提携し、今後4年間で計100万キロワット以上の太陽光発電を開発するという。

JERA、ウエストHDとの資本提携を発表 36億円出資: 日本経済新聞

 火力発電量で国内首位のJERAが、太陽光発電でも国内最大規模の事業者になる見通しと日本経済新聞は指摘する。

 また、2023年度から新設の火力発電所をデジタル化し、無駄のない安定した電力供給の実現を目指すという。

JERA、発電所をDX 石炭火力コスト500億円減: 日本経済新聞

 日本経済新聞によれば、石炭火力の場合、コストを従来より約500億円抑えられるという。再生可能エネルギーが増える一方で、火力発電所をいかに効率的に運営できるかが重要になっているという。

 こう見れば、JERAも一通りのことをやっているように見える。そればかりでなく、カーボンニュートラル宣言もおこなっている。それでも石炭火力はやり玉に取り上げられ、批判される。

 なし崩し的に電力需給調整機能を大手電力に求めるのでなく、その責任を明確にすることが求められているのかもしれない。

 

 

 欧米はこうあるべきから始まって計画を練り、それをコミットとして公表するのだろう。それに反し、日本企業は確実にできることしかコミットしないのかもしれない。アンモニアの推進にはコミットするが、結果は別なのだろう。だから石炭火力の廃止にも今すぐにはコミットできないのかもしれない。立案する計画をやり遂げるという意識の差なのだろうか。

 もうそろそろ、能動的にあるべき姿について議論を交わすときになっていないだろうか。それができていないから、いつまでも成長戦略も不明確なものになってしまうのだろう。