Up Cycle Circular’s diary

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【脱炭素と経済安全保障】バイオマスプラスチックスの将来性と課題

 

バイオマスプラスチックス」、開発されてから長い時間が経過しましたが、ようやく自動車や家電、家具の分野で注目され、製品の訴求ポイントとなっているといいます。

バイオマスプラスチックス」、生物資源、トウモロコシやサトウキビ等から取り出される糖類、藻類などを原料にして作られたプラスチックスのことを指します。

トヨタ工場が脱炭素時期を前倒し、材料も設計もバイオマスへ急ぐ | 日経クロステック(xTECH)

「10年ほど前はバイオプラの話をしても、価格が高いと知ると顧客(自動車メーカーや1次部品メーカー)はそっぽを向いた。それが今では、むしろ聞かせてほしいと前のめりになっている」と、バイオマスプラスチックスを取り巻く環境が様変わりしてきたようです。

 

 

 日経XTECHによれば、材料メーカは顧客の先回りしてバイオマスプラスチックスを開発するようになったいるといいます。三菱ケミカルは全社的に石油由来製品を減らし、主力製品についても可能なものはバイオマスプラスチックスに置き換えていくといいます。

「コストが高くなってもバイオ化を進める。その分の価値を認めてもらえるようにしなければならない」(出所:日経XTECH)

 こうした「樹脂のバイオシフト」が進む背景には、企業が掲げる脱炭素「カーボンニュートラル」があると記事は指摘します。

「クルマの製造段階に発生するCO2排出量の9割以上は材料や部品の原料が占め、樹脂をはじめ原料の段階からCO2排出量を抑えなければ、自動車メーカーはカーボンニュートラルを実現できない」、そうした事情があるといいます。

 様々なバイオマスプラスチックスを日経XTECHが紹介しています。中にはバイオマス度が低いものも含まれますが、従来の100%石油由来よりは多少なりともCO2削減に貢献できるということでしょうか。

新素材でバイオシフトを切り開け、脱炭素の波に材料メーカー先回り | 日経クロステック(xTECH)

 これまではバイオマスプラスチックスは原料となる植物などの成長過程でCO2を吸収するため、カーボンニュートラル性を持つとされていました。しかし、現実での製造過程ではエネルギーを使用し、二酸化炭素を排出していることより、カーボンニュートラル性に疑義があるともいわれます。

 ただいずれにせよ、多くの材料メーカがカーボンニュートラルを目標とするようになったことより、この先、各プラスチックス材料毎のカーボンフットプリントが明らかになり、そのカーボンニュートラル性も明確になっていくのかもしれません。

 

 

 国際情勢の変化によって、石油価格が上昇するようになっています。化石燃料が時として、武器としても使われるようになっているようです。

 こうしたことから考えても、脱化石燃料は進めていかねばならないのではないでしょう。

「サーキュラーエコノミー」循環型経済が普及定着すれば、必要とする新規に採掘される資源の量を減らすことに貢献できるかもしれません。それに加えて、「バイオマスプラスチックス」が普及すれば、さらに必要となる石油の量を減らすこともできそうです。

 まだその普及拡大には多くの課題もあるのでしょう。中でも経済安全保障を考慮したバリューチェーンの構築は欠かすことのできないことではないでしょうか。それが実現できれば、今まで以上に低廉で、安定的な価格のカーボンニュートラルプラスチックスになっていくはずです。