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【32年ぶりの円安水準】ファーストリテイリングは過去最高益を更新、一方で増え始めた企業倒産

 

 止まらない円安に少々不安を覚えます。米国のCPI消費者物価指数が発表になると、円が32年ぶりの水準まで下落したといいます。急激な円安にどこまで日本経済が耐え得るのでしょうか。政府・日銀の態度は相変わらずのようです。

10月ロイター企業調査:145円超の円安、75%が対応不可能に 新たな施策必要 | ロイター

 ロイターによると、145円台に突入した為替円安について、従来の対応でカバーできる水準を超えているとの認識を示した企業が75%にのぼったことが企業調査で明らかになったといいます。

販売価格への転嫁や固定費削減などの対応を進めているものの、企業は限界と感じ始めている。一段と円安が進んだ場合には、新たな対応を迫られることになる。(出所:ロイター)

 あまり芳しくない状況になってきたようです。

 

 

 そんな中、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの業績が好調のようです。2022年8月期連結決算で、2期連続で過去最高を更新、純利益が前の期比61%増の2733億円となったそうです。

ユニクロのファーストリテイリング、海外好調で最高益: 日本経済新聞

 経済の再開が進む欧米で販売が伸び、また円安による為替差益などを1143億円計上し、これらが増益の要因になっているそうです。

 ただ、柳井社長はこの状況を厳しく見ているようです。

日本経済について問われると、「本当にひどい。構造的に転換しないとだめでしょう。小手先のお金を配ることだけ。こんなことでいいんですか」と語気を強めた。

「日本経済だけじゃなく、社会全体が悪い方向に行って、取り返しがつかないことが起きるんじゃないか。民間企業や個人ががんばっていかないといけない時代になっている」とも語った。(出所:朝日新聞

 また、急速に進む円安の影響について問われた柳井社長は「円安でメリットを感じている人がいるのか。製造業でもほとんどいないと思う。むしろ、デメリットだ」と語ったといいます。

 円安のメリットを感じるよりも、円安のデメリットに対応することの労力の方がはるかに大きく、対応策に頭を悩ます日々が続くということでしょうか。

 

 

 この高騰の折、「物価上昇に見合う賃上げが実施されるかどうかが、日本経済にとって重要になってくる」とロイターは指摘しています。

 来年度の賃上げについて、全体の80%が前向きに検討しているということが企業調査で明らかになったそうですが、定期昇給にどの程度上乗せできるか、今後の企業業績がカギを握っているといいます。

 一方、2022年度上期(4―9月)の倒産件数が3年ぶりに増加したそうです。新型コロナでの資金繰り支援の効果が希薄化し、物価高に伴うコスト上昇が追い打ちをかけているといいます。

ついに増加に転じた企業倒産、特に目立つ二つの業種|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 燃料費や資材費の高騰などを受けて運輸業や建設業で倒産件数の増加が目立っているそうです。

「資材高や人件費上昇など懸念材料が山積している」と調査会社のTSR東京商工リサーチは指摘し、またTDB帝国データバンクは「大幅な倒産増加が目立つ建設・運輸・サービスの3業界の動向に注意が必要」と述べているといいます。

 インバウンド需要の回復に期待なのでしょうが、どこまでカバーできるのでしょうか。

 いよいよ企業の「奇特」な行いにかかっているのかもしれません。

 

「参考文書」

9月の米コアCPI、40年ぶりの大きな伸び-大幅利上げに道筋 - Bloomberg