Up Cycle Circular’s diary

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【揺れる米国のESG】ぶれないアップルの脱炭素、サプライヤーとの関係を一段と強化へ

 

 ESG投資が曲がり角になってきたのでしょうか。

 ESGの重要性について、欧州やアジアは楽観的な見方を示しているのが欧州のに対し、米州は、これら地域に比べてその割合が低いといいます。ただ金融業界では大多数がESGは定着しているとみているといいます。

ESGの重要性は批判浴びても低下せず、大規模投資家は重視-調査 - Bloomberg

 記事によれば、米国では、政治面や規制面での逆風があり、企業幹部らは1年前に比べてESGを語らなくなっているといいます。

ブルームバーグの)調査では、企業の利益を高める上で重要だからESGに取り組んでいるとする回答者が半数超に到達。また、顧客の要請でESGに対応しているとする回答は約62%に上った。一方で、主として企業の評判を守るために対応しているとの回答も、約6割に上った。(出所:ブルームバーグ

 こうした声を反映してのことなのでしょうか、ESGのラベルが付いたファンドへの懐疑的な見方もあるそうです。ブルームバーグの調査では、こうしたファンドが来年、市場ベンチマークを「少し」または「大きく」アンダーパフォームすると予想が約3分の2になっているといいます。

 

 

 一方、米アップルはこうしたことに構わずということなのでしょうか、自身が掲げるカーボンニュートラルの目標に向け、歩みを止めていないです。

Apple、グローバルサプライチェーンに対して2030年までに脱炭素化することを要請 - Apple (日本)

「気候変動に対する取り組みはAppleだけで終わらせず、より大きな変化を起こすための波及効果を生む決意」と、Appleのティム・クックCEOは述べ、Appleは10月に、グローバルサプライチェーンに対して、温室効果ガスの排出に対処するための新たな措置を取ること、および脱炭素に向けた包括的なアプローチを取ることを求めたといいます。

 具体的には、Apple製品の製造に関連するスコープ1とスコープ2の排出削減に向けた進捗状況の報告を求め、毎年の進捗状況を追跡および監査するといいます。また、脱炭素化に対して緊急性を持って取り組み、一定の進展を遂げているサプライヤーと協力するとしています。アップルの要求に対応できないサプライヤーとの取引は行わないとの意思表示なのでしょうか。

(写真:アップル)


 この実現のために、サプライヤー支援としてクリーンエネルギープログラムを展開、無料Eラーニングリソースとライブトレーニングを提供するそうです。またゆくゆくはアップルのサプライチェーンに含まれる企業にとどまらず、あらゆる企業が、100パーセントクリーンエネルギーへの移行とカーボンニュートラル化を加速させるために必要なリソースと支援ネットワークにアクセスできるようにするといいます。

 

 

 ESG投資が一大ブームとなり、それが本流になっているからといって、環境問題に取り組むのではなく、アップルのように企業活動を通して気候変動の問題の解決に貢献することが自然であって、そうできるようESG投資が後押し、そのために規制が強化されていくのが理想的なことかもしれません。

中間選挙後の米国ESG投資政策はどうなるか 2022年11月25日 | 大和総研 | 鳥毛 拓馬

 しかし、そうならないのが現実のようで、米国では共和党が下院で過半数をとったことで、民主党政権下で進められた政策の巻き戻しの可能性も否定できないようで、今後少なくとも2年間は、民主党によるESG投資政策の推進は困難になるとみられるといいます。要注意なのかもしれません。しかし、それにぶれることなく企業は脱炭素のアクションを止めてはならないのでしょう。