米国では人手不足が一層の賃上げを促し、それがモノやサービスの価格に波及し、インフレの高止まりを持続させかねないということが、先日発表された雇用統計で明らかになったといいます。
コラム:米労働力不足が深刻、政策担当者に増す重圧 | ロイター
日本でも人手不足が顕在化し始めているようです。米国と同じように人手を確保するために賃上げを促進し、それで好循環につながっていけばと思うのですが、そうならないのでしょうか。
物価高騰を受けて賃上げ期待は膨らみますが、どこまで賃上げは進むことになるのでしょうか。
人手不足が深刻化している飲食業界では、ようやく調理ロボットの導入など機械化が進み始めているといいます。
プロントコーポレーションが新業態のスパゲッティ専門店「エビノスパゲッティ」を2022年6月30日にオープンさせたといいます。
調理ロボットにより自動化され、パスタを注文してから提供されるまでの時間が、これまで約3分から最速45秒に短縮できたといいます。プロントは自動調理の店を2027年内に50店舗へ拡大する計画といいます。
プロントが丸ビルに新業態 ロボットが最速45秒でパスタを調理:日経クロストレンド
店舗のコンセプトは「ローテク×ハイテク」。
何もかもロボットに任せるのではなく、ロボットでしかできない高速調理と、人間にしかできない美しい盛り付けを融合させているそうです。理想的な生産性の向上といっていいのでしょうか。
また肝心の味については、スタートアップのTechMagic社が開発したパスタ自動調理ロボット「P-Robo」の登場で向上し、導入コストも時給換算で人より安い実質800円程度に下がったといいます。この「P-Robo」を導入することで、1~2人の省人化が想定できるそうです。
記事によれば、プロント社内には高額な開発費を懸念し反対する声もあったそうですが、それでも導入に踏み切ったのは、プロントも深刻な人手不足が続き、希望する人数の半数も集まらない状態が続いていたことが背景にあったといいます。
2050年には日本の人口が1億人を割るともいわれており、外食産業の人手不足は今後、もっと深刻になると予想される。今は競合するよりも一致団結してアフターコロナに向けて外食産業を盛り上げることが重要。(出所:日経クロストレンド)
こうした動きがもっと活発化すればいいのではないでしょうか。
ロボットがもっと簡素化でき、低コスト化を図ることができるのであれば、より多くの店舗が導入することになっていくのかもしれません。そうすることで経済が活発化し、また新しい産業が起きることで、そこでの賃金体系が見直され、持続的な賃上げが可能となるような事業構造になればいいのでしょう。
社会にはまだまだ解決されていない課題がゴロゴロあるのではないでしょうか。こうした課題の解決こそが、新たな産業を生み、新たな成長機会にもなっていくのではないでしょうか。
「参考文書」
6月30日オープン!世界初のパスタ自動調理ロボット、「P-Robo」が実店舗での稼働を開始|TechMagic株式会社のプレスリリース
調理ロボ「時給」800円、人より安く 飲食店の新局面: 日本経済新聞
人手不足のニセコ「満室は諦めた」 稼働率抑えて冬営業: 日本経済新聞