Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

気候アクションガイドで学ぶ身近な脱炭素

 

「気候変動の危機感が日本では人々に伝わっていない」と、IPCC 気候変動に関する政府間パネルの第5、6次評価報告書の執筆者である江守正多氏がいう。

もともと災害が多く、大雨が続いてもインパクトが小さかったり、災害のニュースで気候変動の影響や脱炭素の重要性を強調しなかったりすることが要因として挙げられる。(出所:日本経済新聞

「日本では気候変動の対策を「我慢や不便」として捉え、負担と感じやすいことも背景にある」と江守氏は指摘する。こうしたことを危機感を覚えるのだろうか、江守氏らが「気候アクションガイド」をまとめ、TBWA博報堂が発行している。

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(画像:TBWA博報堂「気候アクションガイド」

 地球の温暖化が進み、気候変動が起こり、異常気象が頻発するようになった。異常気象による災害は自分には関係ないものと思いがちだが、そのリスクが自分の身にも迫ってきているのだろうと感じるようになった。果物や野菜の産地が変わり、漁業では魚種によっては漁獲量が大幅に減少している。こうしたことも温暖化の影響なのだろう。

 

 

気候アクションガイド

 この「気候アクションガイド」には、個人できる対策が記されている。それによれば、「住宅と移動の対策効果が大きい」という。自宅に太陽光パネルを設置するか、または電気を再エネプランに変更することの効果が大きいそうだ。足元のエネルギーミックスの影響ということなのだろうか。

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(画像:TBWA博報堂「気候アクションガイド」

脱炭素への課題

 日本の二酸化炭素など温室効果ガスの排出は85%がエネルギー由来だといい、脱炭素のキーはこのエネルギーにおける対策にあるといわれる。しかし、どれをとっても課題があってなかなかスムースにエネルギーミックスが改善していくことはないようだ。

  2030年に向け、再エネをベースロード電源にするべく、その比率を36~38%に引き上げるというが、メガソーラーは環境破壊が問題視され、企業倫理の低さに問題がある。屋根上や耕作放棄地など代替策もあるが、そのスピードはまだ遅々とした動きで、普及速度も課題なのかもしれない。太陽電池自体も海外製が多く、地政学リスクをはらんでいるという。かつて世界一と言われた太陽電池も今では見る影も薄くなった。

 

 

 石炭火力発電への依存を早期に解消すべきなのだろう。しかし、安定供給の維持という見地からいえば、そうはなかなか進められない。アンモニアとの混焼が脱炭素への鍵とされるが、そのアンモニア化石燃料由来であったり、海外からの輸入ではあまり意味をなさなくなる。

 旭化成などが国内で再エネ由来のアンモニア精製に乗り出しているという。

再生エネで水素・アンモニア製造 化学産業を脱炭素化: 日本経済新聞

 タイムラインを明確にして、いつから本格供給できるのかを明らかにすることが求められる。そうなれば、脱石炭にコミットできるのではなかろうか。

スマートホーム

 太陽電池からの撤退を表明しているパナソニックのソーラーシステムが米国では高評価を得ているという。

パナソニックが狙う、北米ソーラー事業の次の一手(Newsweek)

 高性能な太陽光パネルに、蓄電池を組みあわせたシステムが現地の業界専門誌で高く評価されているという。

 しかし、パナソニックは評価されている太陽電池から撤退し、ソリューションプロバイダーとして、役割を変えていくそうだ。この時期の撤退は正しい判断だったのだろうか。単純な事業判断であれば、そういうことなのかもしれないが、これだけ世界が脱炭素を求めているだけに残念でならない。何とかならないのだろうか。

 記事は、米国では「スマートHEMS」、ホームエネルギーマネージメントシステム、かしこい電気の利用による省エネを強化していくという。進化した「スマートHEMS」が日本に逆輸入されてもいいのかもしれない。

 日本の電機メーカはこうした省エネ分野で貢献できるところが大ではなかろうか。低価格を本格普及を目指してもらいたいものだ。