Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

藻場の再生とブルーカーボン、磯焼けと温暖化対策、豊かな海の生態系保全

 

 かなり前のこと、岩手県宮古市や青森に仕事でよくでかけた。その頃は、東北 三陸には豊かな海があるというイメージがあった。海の幸、山の幸、食材の豊さが味わえると、出張しては宿泊することが楽しみでもあった。その海が荒廃していると聞くと悲しい。

磯焼け

 温暖化の影響なのだろうか、海水温が上昇し、「磯焼け」の被害が拡大しているという。

 岩手県の沿岸では、磯焼けした藻場の再生を目指す取り組みが広がっているそうだ。海水温の上昇によって活性化したウニの摂食量が増加し、一方、海藻は成長速度が低下して、磯焼けが生じ、その深刻さが増していることが理由という。

社説(11/29):藻場の再生/広域的な取り組みに期待 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS

陸前高田市沿岸の藻場は東日本大震災前の2005~11年平均で約290ヘクタールあった。震災の津波やウニの異常発生で磯焼けが進み、20年は41ヘクタールにまで減少。8割を超える消失率は沿岸市町村で最大だった。(出所:河北新報

 河北新報によると、磯焼けが全国でも問題となっているそうだ。沿海39都道府県への水産庁のアンケートで、8割近くが「藻場が衰退している」と回答したという。理由はウニの食害(26%)が最も高く、植食性魚類の食害(21%)と海水温の上昇(同)となっているという。

 

 

ブルーカーボン

「ブルーカーボン」、海洋生態系に取り込まれた炭素をこう呼ぶそうだ。そのブルーカーボン生態系には、海草藻場や海藻藻場、干潟、マングローブなどがある。

 国土交通省が、「カーボンニュートラルポート」の実現を掲げ、ブルーカーボン生態系の活用によるCO2吸収源対策に取り組むことで、その実現を目指しているという。

国交省、海草のCO2吸収量算出 全国125港湾で、温暖化対策 | 共同通信

 共同通信によれば、 全国125の主要な港湾で、藻場や干潟の保全、再生を進めるという。これに先立ち、海草や藻類が吸収する二酸化炭素(CO2)量を本年度内に算出するそうだ。来年度から港湾ごとに策定する脱炭素化計画に反映させる。

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 藻場は稚魚の成育の場であり、生物多様性の維持からしても重要と聞く。磯焼けした藻場のウニは実入りが悪く、食に適さないという。藻場が十分に回復して、海の豊かさが戻って欲しいと切に願うばかりだ。

 

 

海の豊かさ

 まだサンマが大量に水揚げされていたとき、宮古の土地の人は、その季節がやってくると、毎日がサンマになると嘆いていた。サンマを満載した船が返ってくると、山盛りのサンマを頂いては、はじめは刺身で食し、それが焼き物に変わって、次は干物...。そうすると、また次の船がやってきては、同じサイクルでサンマが食卓に上がると笑い話で聞かされた。サンマが終われば、次はサケ。サケも同じようなものですと笑っていた。

 マイカスルメイカ)の季節に青森むつ市に出張すれば、宿泊するホテルの朝の食卓にイカ刺しが並らぶ。早朝に水揚げされるマイカを一番美味しく食すためだと聞かされた。海の豊かさが当たり前にあった。

 こうした魚種の漁獲高が近年極端に減っているという。温暖化だけでなく乱獲なども原因なのかもしれない。豊かな海の生態系を維持していかなければならない。