米国も脱炭素に向けエネルギーミックスで苦慮しているのだろうか。「自然エネルギーの土地利用の問題、貯蔵の必要性、断続性の問題などから、自然エネルギーが国の主力電源になることに多くの専門家が夢物語と考えているとTechCrunchが指摘する。
広大な土地がある米国でさえそうならば、国内で、同じような議論があっても不思議ではないのかもしれない。そこに原発再稼働の問題が複雑に絡み合う。
EVメーカテスラのCEOイーロン・マスク氏が22日、Teslaのソーラーパネルは、バッテリーとのシステムとしてのみ販売されるとツィートした。
「家庭を分散型発電所にして、エネルギーの生成と蓄電、そして電力を電気会社へ売電できるようにしたい」と考えているとTechCrunchがその内容を解説する。
それは彼の信念なのかもしれない。「物理学的には、送電、定置用蓄電池、エネルギー生成には太陽光や風力が有利だ」と主張し、自然エネルギーを活用した蓄電システムに有用性を説いているという。
マスク氏の主張は、電力会社自身が再生可能エネルギーとストレージを使って脱炭素しようと思ったら、今よりももっと多くの送電線と発電所と変電所が必要になるというものだ。
それに対してテスラの製品を使う分散居住地区システムならもっと良い方法を提供できる (出所:TechCrunch)
この主張は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の最近の研究にも裏づけられているそうだ。
電力会社と規制当局は、住宅の屋根に設置されたソーラーパネルなど、いわゆる「分散型エネルギー資源」が大量に流入した場合に、どのように対処するかを解決する必要があるが、これは電力会社の長年のビジネスモデルとは相反するものだ。 (出所:TechCrunch)
どこかで聞いたことがあるような話だ。既存の電力システムを議論の起点にするから、問題が複雑化するのかもしれない。
テスラは、太陽光パネル(タイル)「ソーラールーフ」と蓄電池「パワーウォール」をセット販売し、EV電気自動車をこのシステムで充電すれば、ゼロエミッション「脱炭素」で走行することができる。
そこで生じる余剰電力を売電し、VPPでコントロールできれば、古ぼけたビジネスモデルにしがみつくより、脱炭素への近道になるとマスク氏は考えているのだろうか。個人宅用太陽光パネルと蓄電池が普及すれば、もしかしたら、テスラがVPPに進出することもあり得るのかもしれない。
脱炭素目標達成のため、太陽光発電など再生可能エネルギーを増やしていくことが求められている。しかし、その設置には景観問題など様々な問題があることも指摘される。
一方で、 国立競技場の屋根にはカネカ製のシースルー太陽光パネルが採用され、施工した大成建設は、ビルや建物の外壁・窓で太陽光発電する外装システムを開発し、都市型ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現を目指している。
AGC製の太陽光パネルは高輪ゲートウェイ駅に採用され、採光性を確保したデザインを両立させたという。
東芝は、透過型の高効率・低コスト化に対応したタンデム太陽電池の開発を続け、充電なしのEVの実現を目指しているという。目標は「シリコン並みの価格で効率30%台」だといい、実用化目標を2025年にしているそうだ。
高効率化ができれば、同じ出力であっても少ない面積で済み、設置場所の制約が軽減されるかもしれない。
国内メーカにもテスラのマスク氏のような発信力と創造力があれば、家庭など様々な分散型発電所を中心にしたビジネスモデルが想起に成立するようになるのかもしれない。
Starting next week, Tesla Solar Panels & Solar Roof will only be sold as an integrated product *with* Tesla Powerwall battery
— Elon Musk (@elonmusk) 2021年4月22日
「参考文書」