気がつけば、国内のコロナの累計感染者が57万人を超え、累計者数も1万人を超えている。率に置き換えれば、小さな数字になるが、 その数だけ苦しみや悲しみが存在する。気が滅入る現実だ。
問題が生じれば、解決すべき課題が浮かび上がってくる。それが社会的な課題と認知されれば、ビジネスで解決しようとする人たちが現れる。
PCR検査の全工程(検体採取を除く)を自動化し、フル稼働時の処理能力12万件/日になるサービスを三菱重工が始めると日本経済新聞が報じる。
それによれば、約80分で感染の有無を判定できるという。費用は1件1万円前後で、5月中にサービスが始まるそうだ。
川崎重工は医薬業界向けのロボット製造の知見を活かし、初めて感染症の検査受託サービスに乗り出すことになるという。
国がカーボンニュートラルの達成を目標にすると、温暖化防止が社会課題として認知され、その解決に向け企業が一斉に動き出すようになる。
三菱UFJが既存の石炭発電設備の拡張にも融資を実行しないと発表した。
それによれば、「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」を改定、 改定前は新設の石炭火力発電所を対象に融資を実行しないとしていたが、今後は新設に加え、既存発電設備の拡張も対象とし、融資を実行しないという。
ただ、パリ協定目標達成に必要な「CCUS」、混焼等の技術を備えた石炭火力発電所に限定し、個別に検討、対応するという。
国内でも石炭火力新設を取りやめるケースが散見されるようになってきた。こうした活動の影響もあるのだろうか。
トヨタ自動車の豊田社長が、自動車工業会会長の立場で22日、会見を行ない、メッセージを発した。
「日本らしいカーボンニュートラルの道筋」に言及し、運輸における、EVなどの電動車によるカーボンニュートラル施策に疑問を投げかける。
その日、トヨタは「水素エンジン」技術開発にモータースポーツを通じ挑戦すると発表しているた。
トヨタによれば、水素エンジンは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させるものだという。微量のエンジンオイル燃焼分のCO2を発生させるが、走行時にCO2は発生しないという。
自工会の会見では、「カーボンニュートラル燃料」について言及、こうした燃料が今街中を走るガソリン車などのカーボンニュートラル化に必要と指摘する。
今、エネルギー業界では水素からつくる「e-fuel」やバイオ燃料など、「カーボンニュートラル燃料」という技術革新に取り組まれております。
日本の自動車産業がもつ、高効率エンジンとモーターの複合技術に、この新しい燃料を組み合わせることができれば、大幅なCO2低減というまったく新しい世界が見えてまいります。 (出所:トヨタイムズ)
ガソリン車の販売を禁じれば、いずれ電動車シフトは進み、脱炭素に近づく。そうした政策を実行できる国が増えればいいのかもしれない。ノルウェーのような先例もある。
ノルウェーでは、プラグインハイブリッドを含め昨年の新車販売の75%に達しているという。
一方で、まだ電化されず、電気を使うことが出来ない人々がいるのも現実だ。そうした地域にも、もしかしたら、車は走っているのかもしれない。一からインフラを整備し、普及させるのには膨大な時間がかかる。それよりは既存設備を流用できるシステムがあってもいいのかもしれない。
新しい技術が生まれ社会課題が解決が向かうのかもしれないが、そこには新たな課題が生じるのかもしれない。
EVでいえば、すべての人々がEVを利用できるとは限らない。それでいいのだろうか。
「サステナブルだけではなく、プラクティカル(実用的)でもあること」と豊田会長は話したそうだ。
EVシフトという計画を進めつつも、それが実現化されるまでの間、カーボンニュートラルを穴埋め技術も必要になる。バイオ燃料という現実解があるのだからその普及計画も必要なのかもしれない。
目標、目的が共有化されたなら、その次は現実的な解、確実に実行できることからやっていくことも求められるのかもしれない。