Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

春になると増える再エネ出力制御、米国ではテスラが始めた電力平準化のためのVPPが人気

 

 中部電力の送配電子会社の中部電力パワーグリッドが、一部の太陽光・風力発電事業者の稼働を一時停止する「出力制御」を初めて実施したといいます。

中部電力・北陸電力など出力制御 三大都市圏で初 - 日本経済新聞

 記事によれば、三大都市圏では初めてで、東京電力パワーグリッド管内でも需給調整が限界に近づいてきているといいます。

 こうした「出力制御」は冷暖房の需要がおさまる春と秋に多く起き、特に工場の稼働などが止まる休日に制御が必要になる場合が多いといいます。

 需給バランスが崩れると、大規模停電が起こるリスクがあり、その対応には送電線増強などを急ぐ必要があると記事は指摘しています。

蓄電池など電気をためる技術がまだ広く普及していない。電気使用のピーク時間帯をずらす「デマンドレスポンス(DR)」の拡大や、製造時に電気を消費する水素の普及など官民をあげて対応を急ぐ必要がある。(出所:日本経済新聞

 それにしてももったいない話です。国も原発原発などといわずに、「出力制御」対策に役立つはずの「VPP(Virtual Power Plant 仮想発電所)」や蓄電機能としての水素製造にもっと着目し、早急に対応していくべきではないでしょうか。

参加者殺到の米テスラのVPP

 米国では、あのEVメーカのテスラが世界有数のVPP事業者になりつつあるといいます。米国カリフォルニア州で2022年6月に始めた商用のVPP事業に、参加希望者が殺到しているそうです。

 募集開始3カ月あまりで参加者は約5000世帯に達し、2023年2月末時点では6000世帯を超えたといいます。蓄電容量の合計は90MWh超で、出力は約30MW、短時間であれば40MW超で、中規模の火力発電所に相当するそうです。

テスラがVPPに本腰、中型“発電所”をほぼタダで構築 | 日経クロステック(xTECH)

 記事によれば、参加資格は、テスラ製の家庭用蓄電池「Powerwall」を自宅に導入していることで、参加したといってほとんど何もすることはなく、報酬が得られることが人気の秘密といいます。また、その報酬が意外と多く、推定額もアプリで見ることができともいいます。

(写真:テスラ)

 VPPとは、多拠点にある多様なエネルギー資源(太陽光発電風力発電、蓄電池、発電機など)を束ねて制御し、1つの発電所として運用管理する技術やシステムを指す。(出所:日経クロステック)

 テスラのケースで見えてきたことは、経済性度外視で導入されていた蓄電システムが、VPPでは優秀な稼ぎ手になると記事は指摘しています。

日本では 

 日本でも、VPPを商用化するケースが増えてきているそうです。ただ取り組み開始が早かったわりには、商用化が遅れているといいます。

日本でもVPPの準備着々、100社超が参入見込み | 日経クロステック(xTECH)

 一般に、VPPは、家庭に設置した太陽光発電や蓄電池などの分散型電源をRA リソースアグリゲーターが集約して、充放電を制御し、電力平準化を実現するといいます。

 また、電力事業者などがかなり大型の蓄電池システムを系統に直接連系させる場合などもVPPと呼ぶこともあるといいます。

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 テスラのようにVPPに参加する個人が報酬を得ることができるようになれば、日本においてももう少し家庭での蓄電池の設置が進むのかもしれません。そうすることで「出力制御」しなければならない日数が減じ、貴重な電力をムダなく使える一助になっていくのでしょう。

 国もこうしたことが容易に進められるよう料金を含め制度を柔軟に見直していくべきなのでしょう。しかし、国民より既得権益を優先する政権下ではなかなか進まないことなのかもしれませんけど。