Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【脱炭素はビジネス機会】サービス開発が進む一方で、家庭用蓄電池の勧誘トラブルが増加

 

 東京ガスが、VPP 仮想発電所バーチャルパワープラントの実証を始めたという。東京ガスによれば、全国で最大3,000台規模の家庭用燃料電池エネファーム」と、首都圏で最大10台規模の家庭用蓄電池を対象に、直接通信による「群制御(※1)」するシステムの技術検証を実施、電力需給バランスの調整等、電力市場での活用を目指すという。

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(資料:東京ガス

(※1 群制御:遠隔からの指令により、多台数のエネファームの起動・発電・停止などの運転計画をコントロールする技術、あるいは多台数の家庭用蓄電池の充放電計画をコントロールする技術)

 この実証は経済産業省補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)を活用し、VPPやデマンドレスポンスを用いて、小売電気事業者の電力調達、お客さま設備の最適利用による収益化などを確認していくそうだ。

 

 

 一方で、ここ最近、家庭用蓄電池の訪問販売のトラブルが増加傾向にあるという。国民生活センターによると、家庭用蓄電池購入に関する相談が、2019年度には1,000件を超え、2020年度には1,314件になったという。

 その背景には、2009年に始まった「余剰電力買取制度」と、2012年の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」による太陽光発電の固定価格での買取が10年で終了、2019年以降、買取期間を満了する家庭が増えたことがあったようだ。

www.kokusen.go.jp

 事業者が突然訪問し、「太陽光パネルの無料点検」を装うケースや、虚偽の説明をするケースもあったという。「必ずしも余剰電力の売電より自家消費する方が経済的なメリットが大きい」とは限りませんと国民生活センターは注意喚起する。 

 

 

「脱炭素」、地球温暖化防止に役立つはずの太陽光発電や蓄電池が、このようなことに利用されることが残念でならない。設置が増えれば、脱炭素に貢献するかもしれないが、悪知恵を果たらすのではなく、より有意義に活用できるよう、良い方向に創意工夫してもらいたいものだ。

 分散化電源を切り口に様々なサービスの開発が続いている。吟味して購入する方がベターなのだろう。

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(画像:テスラ)

 欧州では、 石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが、オランダの裁判所から計画よりも早く大幅に温暖化ガス排出量を減らすよう命じられた。

 ブルームバーグによれば、シェルは温暖化ガス排出量を2030年までに20%減らし、50年までに実質ゼロとする計画を公表していたが、それでは不十分だとして、ハーグの裁判所は30年までに19年比で45%の排出量削減を命じた。

 この判決を受け、シェルはエネルギー移行戦略を加速し、温室効果ガスの排出量を一段と削減する方法を模索すると表明したという。石油・ガス事業の大幅な縮小につながる可能性が高いとロイターは指摘する。

jp.reuters.com

 シェルのバンブルーデンCEOは「今後は、目標と収益性を維持しながら、排出量をさらに削減する方法を模索していく。今後数年間にわたり、大胆かつ慎重な措置を講じることになるだろう」と述べたという。

 脱炭素化に苦しみ、生き延びるためにその対応を模索する企業がある一方で、それに乗じ、モラルに反してまで業績を伸ばそうと目論む輩もいる。

 このままでいいのだろうか。未来に不安を感じるときもある。