Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【大豆由来の代替卵と脱炭素】キユーピのタマゴにかける情熱~認知症予防の研究も

 

 マヨネーズのキユーピーが「代替卵」の販売を始めるという。「ほぼたま」との商品名になるそうだ。原料は大豆。独自技術で卵の風味や食感を再現したそうだ。

www.nikkei.com

 日本経済新聞によれば、まず業務用としてホテルや飲食店に販売するという。価格は通常の業務用スクランブルエッグの約3倍。国内食品メーカーで代替卵の商品を販売するのは初めてで、一般消費者向けの商品は今後、検討するそうだ。

 

 

 そんなキユーピーに少しばかり興味を持ち、調べてみた。

 創立者中島董一郎氏。若いころにアメリカ留学、そこでマヨネーズと出会い、1919年に会社を設立、1925年に卵黄タイプのキユーピーマヨネーズを作り、販売を始めたそうだ。そこには「滋養に富むマヨネーズを生活必需品になるまでに普及させ、日本人の体格向上に貢献したい」との思いがあったという。

 そのキユーピーは、今では日本の鶏卵生産量の約10%扱う会社になり、その卵を販売する。その背景には、創始者中島董一郎氏の「食を通じた社会貢献」があるのだろうか。そして、それが今回の「代替卵」の開発にもつながったのだろうか。

f:id:dsupplying:20210610144708j:plain

 そればかりでない。キユーピーは、鶏卵の機能性に関する研究も行い、鶏卵摂取による「認知機能改善効果」を今後3年間で明らかにしていくという。

 キユーピーによれば、鶏卵の摂取が認知症の発症リスク低減に寄与している可能性があり、その改善に関与する成分を特定し、その効果をヒト試験で確認していくという。さらに、機能性成分を高含有する付加価値卵の開発にもつなげたいそうだ。

www.kewpie.com

 

 先日、エーザイが開発したアルツハイマー病の治療薬がFDAで認定されたというが、あまりにも高額だと聞く。認知症予防に物価の優等生「卵」が役立つなら、ありがたいことではなかろうか。

f:id:dsupplying:20210610111313p:plain

(資料:キユーピー

 そのキユーピーは、創始者中島董一郎氏の仕事に対する考えを社風として今に受け継ぐという。

志を同じくする人と業を楽しんで悦びをともにする、そこに仕事のやりがいがあると思います」。

まず心がけなければならないのは、道義を重んずること。つまり目先の損得ではなく、何が本当か、正しいかということを判断の基準にすることです。しかし、それだけでは目的を実現することはできません。

そこで次に大切なのは創意工夫です。世の中は存外公平なものであり、もし公平でないと感じることがあれば、道義を重んずることに問題はなかったか、創意工夫に欠けていたからではないかと反省をしてみてください。

そしてもう一つ、親孝行をしてください。わが子を思う親の気持ちをありがたく感じ、それに報いようとする気持ちが親孝行です。したがって親孝行のできる人とは、人の好意をありがたく感じ、それに報いることのできる人です。そういう人の周囲には、また好意を持って接してくれる人が集まり、その会社はおのずから発展するはずです。 (出所:キユーピー

 この社風が新たなものを生み出す原動力なのだろうか。

 キユーピーは、気候変動への対応を重点課題に取り上げ、2030年では35%以上のCO2排出削減を目標にする。十分な目標ではないかもしれないが、確実にできることを目標にしているのかもしれない。

 

 

 国・地方脱炭素実現会議が9日開催されたという。その中で、ふるさと納税の返礼品に、自治体が地元の太陽光発電所などでつくった電気の活用を認める方針を決めたそうだ。 

ふるさと納税を希望する人は、再エネで発電した電気を売る新電力会社と契約した上で、その地域の自治体に寄付をする。支払う電気料金のうち、寄付額の3割までの金額を割り引く仕組みを想定している。再エネの電気を買ったことを示す「非化石証書」の活用も検討している。 (出所:朝日新聞

www.nikkei.com

 また、商品の製造から廃棄までの温暖化ガス排出量を消費者にわかるように包装などに表示する環境を整えるそうだ。食品のカロリー表のように排出量を確認して、消費者が環境にやさしい商品を選べるようにするという。

 出遅れていた思われた気候変動対策も少しづつ挽回されつつあるのだろうか。キユーピー創始者中島氏が言われる通り、世の中は存外公平なものなのかもしれない。創意工夫次第で何とかなるのかもしれない。

 

 

「関連文書」

forbesjapan.com

 

dsupplying.hatenablog.com