75年ぶりの路面電車の新路線として開業した栃木県宇都宮市のLRTに関心が集まっているようです。
LRTとは
LRTとは、「Light Rail Transit(ライトレールトランジット)」の略称で、次世代型路面電車とも呼ばれるそうです。低床式で、車体の床面の高さがホームの高さに近づいてバリアフリー化を図っているといいます。
構想から約30年を経てついに実現した「宇都宮の新しい交通システム」はいったい何が凄いのか(川辺 謙一) | マネー現代 | 講談社
LRTには「まちづくりと連携した公共交通システム」「都市を再生するための装置」などの意味合いもあるといいます。
先行する欧州
その例をフランス ストラスブールで見ることができるそうです。1994年に市内の交通体系を大幅に刷新し、トランジットモールやパークアンドライドとセットになって導入され、欧州におけるLRT導入の火付け役になったといいます。
ストラスブールは、中心街での自動車の乗り入れを禁じることで、長年渋滞に悩まされた中心街の再生と環境保護を実現した。中心街の道路は、自動車の乗り入れを禁じた歩行者天国として、歩行者とLRTのみが通行できる構造にした。また、郊外にはパークアンドライド専用の駐車場を設け、マイカーの利用者がここで駐車してLRTに乗り、中心街にアクセスできるようにした。(出所:マネー現代)
持続可能な街づくり
宇都宮市もまたストラスブール同様、渋滞の頻発、市街地の衰退と空洞化、歯抜けのような街になってしまうことへの懸念などの問題を抱えていたといいます。これらの解消と都市再生などの目的でLRT導入されたといいます。
持続可能な街を作るために魅力ある拠点を作り、その拠点同士を結ぶ交通の基軸にLRTを導入し、これを含めた公共交通ネットワークを充実させることにしたといいます。
今までバス交通しかなかった宇都宮に初めて軌道系で背骨となるLRTが誕生し、背骨(LRTや幹線バス)と小骨(支線バス)のネットワークが出来上がる。(出所:PR times)
LRTのような公共交通は都市の核となり、車だけしか使えない街ではなく、車や公共交通、自転車も、最終的には歩いて楽しい街へとつながり、街の持続性を担保するようになると専門家も語っています。
かつて賑やかに人が集まった宇都宮駅周辺のオリオン通りは今ではシャッター街になっってしまったそうですが、LRTが開業することで、車以外の移動手段が機能し、人が動き始めて、再び活性化することにも期待が持てるともいいます。また、人の住む場所や働く場所が、長い時間をかけて変わり始めることに期待ができるそうです。事実、既にLRT沿線にマンションや高層ビルが建ち始めているといいます。
LRTで宇都宮市と結ばれた芳賀町では、社会や町の状況が大きく変化したことを踏まえ、町振興計画を見直していくことになるといいます。
LRT生かし未来につながる計画に 芳賀町が次期振興計画策定へ議論|県内主要,政治行政,地域の話題|下野新聞「SOON」ニュース|発進LRT 宇都宮―芳賀 8月26日開業|下野新聞 SOON(スーン)
LRTの開通で、町は大きな転換期を迎え、町の最上位計画に当たる第7次計画は、LRTを生かしながら「未来につながる持続可能な計画」とする方針といいます。
多くの人に喜ばれ、賛同を得るからこそ、長い時間をかけながら持続可能な街が実現していくことになるのでしょうか。
反対運動続く神宮外苑再開発
一方、東京神宮外苑の再開発は反対の声が続いているようです。次々と文化人たちが反対運動に賛同しているようです。
サザンオールスターズ桑田佳祐さん、神宮外苑再開発に疑問「アスファルト・ジャングルに変わっちゃうの?」 | ハフポスト NEWS
一方、再開発を進める三井不動産は広瀬すずさんをイメージキャラクターに採用して、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」、街の人と一緒に街づくりに取り組んでいるメッセージを訴求しています。
画一的にならず、その土地土地の特性を活かす再開発になれば、また異なる展開になりそうな気がします。
「参考文書」
構想から30年を経て、歴史的な開業を迎える芳賀・宇都宮LRT。開業により宇都宮市に起こる変化と運行会社が抱える想いとは?|宇都宮市のストーリー|PR TIMES STORY
宇都宮市のLRTなぜ整備 計画と狙いは 路面電車開業は国内で75年ぶり | NHK
宇都宮LRT、延伸の秘策は単線化と欧米の街並み - 日本経済新聞