国の総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会が開催され、「エネルギー基本計画(素案)」が示されたといいます。
総発電量に占める各電源の割合を示す「電源構成」の30年度見通しも示し、現行計画では22~24%の再エネは36~38%に大きく引き上げた。原発の新増設に関する記載は見送ったが、30年度の原発の比率は現行の20~22%を維持しており、再エネと原子力を合計した非化石燃料の比率を現行の4割強から6割に積み増した。(出所:毎日新聞)
新たなエネルギー基本計画(素案)の全体像では、2050年カーボンニュートラル、2030年の46%削減、更に50%の高みを目指して挑戦を続ける新たな削減目標の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すことが重要テーマだとしています。
再エネ主力電源化
今回の素案では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応のポイントが記され、2050年に向けては、温室効果ガスの8割を占めるエネルギー分野の取組が重要とし、「再エネについては、主力電源として最優先の原則のもとで最大限の導入に取り組み、水素・CCUSについては、社会実装を進めるとともに、原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」とした。
電力部門は、再エネや原子力などの実用段階にある脱炭素電源を活用し着実に脱炭素化を進めるとともに、水素・アンモニア発電やCCUS/カーボンリサイクルによる炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電などのイノベーションを追求。
非電力部門は、脱炭素化された電力による電化を進める。電化が困難な部門(高温の熱需要等)では、水素や合成メタン、合成燃料の活用などにより脱炭素化。特に産業部門においては、水素還元製鉄や人工光合成などのイノベーションが不可欠。 (出所:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画(素案)の概要」)
また、最終的に、炭素の排出が避けられない分野については、DACCSやBECCS、植林などにより対応するとしています。
静岡県熱海市での土石流災害の影響があるのでしょうか、再エネの「具体的な取組」として、「地域と共生する形での適地確保」をあげました。この他にも「事業規律の強化」をあげ、地域共生を円滑にするための条例策定の支援などに取り組むとしています。
原子力
発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発については、与党の一部で東京電力福島第1原発事故後の方針を転換し、国による新増設の後押しを求める声が高まっていた。だが改定案では、東電柏崎刈羽原発の不正入室問題などを踏まえて、原発は「社会的な信頼は十分に獲得されていない」と明記。新増設は見送られたが、「必要な規模を持続的に活用する」と記載された。 (出所:毎日新聞)
19年度の実績では再エネは18%、原発に至っては6%に過ぎず、改定案を実現するには10年程度で割合を大幅に高める必要があると、毎日新聞は指摘し、国際公約でもある「脱炭素目標」の達成に向け、新たなエネルギー基本計画の実効性が今後も問われるといいます。
エネルギー基本計画は3年に一度見直されています。計画立案者としての国のリーダーシップに期待を寄せるのは当然のことなのでしょうけれども、その実効性を高めるのは各事業者の行動によるところが大きいのではないでしょうか。どこかで国に依存したいとの甘さがあると、その実現が危うくなるのではないでしょうか。
「参考文献」