Up Cycle Circular’s diary

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【脱炭素の見える化】脱炭素を日本の強みにできるのだろうか

 

 脱炭素化の見える化が進み始めてきたのでしょうか。

 三井物産の子会社e-dash(イーダッシュ)が、電気やガスなどの請求書をスキャンしてクラウド上にアップロードすると、月々の使用量や費用をデータ化し、拠点ごとのデータを集計、CO2排出量を把握する仕組みを提供しているといいます。

脱炭素「見えてますか?」 排出量算定、TCFD開示が急務【けいざい百景】:時事ドットコム

 こうしたサービスの中堅・中小企業への普及に、地方銀行信金中央金庫が一役買っているといいます。信金の企業ネットワークは全国124万社におよび、地域の中小企業との結び付きが強いといわれます。各地の信用金庫で導入支援の動きが広がっているそうです。

 

 

 化学系専門商社の長瀬産業が2021年9月より、温室効果ガス排出量算定・可視化クラウドサービス「zeroboard」を始めたといいます。

 この「zeroboard」は、Scope1・2だけではなく、Scope3も算出・可視化できるサービスといいます。

これからは社会・環境価値を提供できる企業だけが成長する ――化学系専門商社「長瀬産業」が描くサステナブルなサプライチェーン | GEMBA - "現場"の未来を切り拓くメディア

各企業・業界の一次データが流通するようになれば、環境価値がよりダイレクトに企業価値に反映される社会がやってくると思います。

金融機関ならば「一次データを提供してくれる投融資先であれば優遇金利の枠組みを提示できる」、自治体ならば「一次データを提供してくれる企業を補助金の対象に優先される」——このような動きは徐々に、そして、確実に進んでいます。(出所:GEMBA)

 またこの他にも、長瀬産業は、化学品特化型の共同輸送マッチングサービスの実証実験を始め、自社のサプライチェーンにおけるScope1・2の目標を達成を目指しているといいます。

 

 

国内回帰

 製造業の国内回帰が進んでいるといいます。日本国内で製造してもコスト競争力を維持できると判断する企業が増えているそうです。

円安で進む製造業の国内回帰、長期視点のノウハウ蓄積に期待 | 日経クロステック(xTECH)

 スタートアップの国内回帰も進んでいるのでしょうか、農業・建設土木向けの搬送用ロボットを開発・量産する「CuboRex(キューボレックス)」は、中国に多くの部材を外注していたが、足元の円安によるコスト増を受けて、日本で製造の割合を増やしているそうです。

「これまでは中国で製造するのが当たり前だった」。

「質の高い中国メーカーに委託すると日本メーカーよりもコストが高くなる。日本であれば困ったときにすぐ工場に出向いて相談でき、ノウハウも蓄積しやすい」(出所:日経クロステック)

 記事によれば、アセットライト・ハブライト経営のCuboRexではものづくりの知識が限られ、製造委託先といかに意見を共有できるかが成功のカギになっていたといいます。

いつの間にか、日中における技術力が逆転したのでしょうか。また安かろう、悪かろうの日本に戻ったということでしょうか。残念なことです。

 

 

 サプライヤーチェーンを見直すなら、このタイミングで、スコープ3の脱炭素にチャレンジしてもいいのかもしれません。アセットライト・ハブライトであればなおさらです。

 前出のように様々なサービスが立ち上がり、温室効果ガスのモニターが容易になっています。

 CO2の排出量の多さはエネルギーの浪費を疑ってみるとよいのでしょう。ムダが排除でき、効率化が進めば、コスト低減にも役立つはずです。

 これを機会に、もう一度日本の強みを作らなければ、国内回帰を進めても生き残ることが難しくなってしまうのかもしれません。「脱炭素」などを基軸にした強み作りがあってもよさそうです。

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 技術やノウハウの蓄積を犠牲にしコストを優先させて海外移転を進めたことが、日本の衰退を招いた要因になったといわれます。 技術もノウハウも結局、人に帰属します。それを正しく評価せずに、拠点を海外に移してしまえば、技術の進化が途絶え、競争力を失っていくのは自然な流れです。たとえ設備があって人がいたとしても技術とノウハウがなければ、それを正しく稼働させることはできないのですから。

 ここでも人材が求められていそうです。人づくりが急務になっているのでしょう。