Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

日本の未来を憂う企業トップ、もう衰退するしかないのだろうか

 

「欧米や中国では自国の国力を上げるため官民一体となって取り組んでいるが、日本政府の政策には一貫性がなく、企業任せで国家としての戦略が弱い」と、スズキの鈴木社長が講演で指摘したといいます。

 政府は産業界と一致団結して国力強化に取り組むべきで、今すぐにでも行動を起こさなければ「たぶん日本は滅亡する」と警鐘を鳴らしたそうです。

節電要請する政府がEV推進、政策の一貫性のなさを指摘-スズキ社長 - Bloomberg

 記事によれば、鈴木社長は一貫性のあるエネルギー政策の必要性を訴えたといいます。

 政府はEVの普及を促す一方で、この冬も電力需給に余裕がなく節電要請を出しています。「節電しろって言っているのに、EVを普及させるってどういうことなのか」と疑問を呈したそうです。

 鈴木社長の嘆きも理解できます。このままでいけば、早晩そうなるのも現実なのかもしれません。

 

 

 なぜこんなことになってしまったのでしょうか。政府にしろ企業にしろ、国民生活を第一に考えれば、その対応はひとつの解へと集約されていくはずですが、そうならずに悪い方向へ悪い方向へと誘われているようです。

顧客志向の理想と現実 半数は「顧客のためにやりたいことができない」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 とある企業の「顧客との関わり方に関する理想と現実」についての意識調査で、「顧客の成功を支援することが、結果として自社の成功にもつながっていくと考えるか」の質問で、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」という意見が合わせて約8割を占め、顧客の成功と自社の成長を紐づけて考えている人が多いとの結果が明らかになったといいます。

 一方で、「本音では仕事相手のためになる行動をしたいと思っているものの、そうできなかった経験があるか」の質問には、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」との顧客志向に反する行動をした経験がある人も約半数あったといいます。

理由として最も多かったのは、「人間関係を悪くしないため」で27.9%。次に「会社の指示に従わなければ解雇や昇進の遅れなどのリスクがあると思うから」(19.8%)、「本音に従っていると業務上の目標を達成できないから」(19.2%)の回答が続いた。(出所:Forbes)

 企業で働く人だけはなく政府で働き人たちもまた、こうした思いを抱えて仕事をしているのでしょうか。

 自分の意見と上司の意見が常に一致していれば仕事は上手く進むのでしょうが、そうでない場合は苦労することになります。自分の意見を述べ理解されればよいのでしょうが、相違がある場合は、常識的に考えれば、上司の意見に従うのが最善なのかもしれません。

 しかし、それがどうしても仕事相手のためにならないことが明らかであれば、上司を説得しなければ、良い仕事はできません。

 

 

 国の政策決定プロセスが官邸主導になり、選挙で多数を占めた政党の意見がより反映されるようになったのでしょうか。

 高い規範意識を持ち、国民第一で考えてくれれば、問題が生じることはないのでしょうが、ここ最近においてはそうでなく多くの国民の意見と乖離するケースが増えました。

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 日本の電力事情はいまだ火力発電に依存したままで、「今の流れだと原子力発電というのが一つ重要になってくる」と、鈴木社長が指摘します。これもその例なのでしょう。

原発が危険視されたことで同分野を専攻する学生や技術者は減少しており、原発が将来必要になったときに中国勢などのメーカーや海外の労働者に頼ることになってしまうことに危機感を示した。(出所:ブルームバーグ

 課題解決ができない国になってしまったようです。国が課題解決をリードするのでもなく、逆に問題ばかりを生じさせるから、混乱となるのでしょう。鈴木社長の憂慮も的を得ているのではないでしょうか。

 

 

 失敗をするときはその場の雰囲気にずるずると押し流されて、誰も意見を言えなくなるときだったりするのかもしれません。失敗に気づいたとき、あのときあの人を意見を聞いていればよかったのかと理解できたりします。失敗が始まるのは、誰の声も耳に入らなくなったときなのでしょう。

 耳障りのよい言葉だけを聞くことは聞く力があるとはいえないのでしょう。

 取返しがつくうちに、軌道を修正できなければ、失敗の痛手は大きなり、その回復には長い時間を要することになります。今、その重要な局面を迎えているのかもしれません。