国産小型ジェット旅客機「スペースジェット」のプロジェクトが頓挫したといいます。
三菱重工がこの事業からの撤退を決めたといいます。
ついえた「日の丸ジェット」 露呈したノウハウ不足:時事ドットコム
『技術』を『事業』にするところの十分な準備や知見が足りなかった。(出所:JIJI.com)
航空部品の分野では豊富な実績を持つ三菱重工が、完成機の組み立てではノウハウ不足が露呈したと記事は指摘します。また、今後の脱炭素対応で、SAF 持続可能な航空燃料や電動化への対応なども要求され、設計の見直しが必要になることも撤退の理由のひとつに上がったようです。
ただ、この開発で得た知見は、次期戦闘機の開発に生かすそうです。
たいへん残念なニュースです。
防衛産業
その三菱重工は防衛産業の一角を担い、自衛隊向けの戦闘機や潜水艦などを生産しています。
国産小型ジェット旅客機からの撤退を発表した泉沢社長は昨年末、防衛費増額に関して、「予見性が高まることによって事業の継続性が高まり、非常に良いことだ」と述べたといいます。
防衛費増額「前向きに捉えたい」 三菱重工社長 - 産経ニュース
また、防衛産業について「国の方針に従ってやっていく事業だと思っている。比率が高いわけではないが、しっかりと取り組んでいく」と語ったそうです。
防衛産業から撤退する企業が相次ぎ、生産基盤の低下が問題となっているといいます。国会でもこの産業を擁護する必要性も議論されています。
次世代原子炉
また原子力についても、三菱重工は昨年、新型原子炉「革新軽水炉」の開発を本格化すると発表しました。
新型原子炉「経済合理性は十分ある」 三菱重工業・泉沢清次社長|【西日本新聞me】
基本設計は8割ほどまでできており、めどが付いてきた。具体的な発電所が決まれば、そこに向けて進めていく。安全性を高めても、既存の電源に対して経済合理性は十分あると考えている。(出所:西日本新聞)
泉沢社長は、西日本新聞のインタビューで、「安全設備を強化すると建設費が膨らむのでは」との質問にこう答えていました。
日本経済新聞によれば、三菱重工で原子力部門のトップを務める加藤顕彦氏は、日本の原子力産業について「一民間企業での対応は限界に近づきつつある状況」と漏らしていたそうです。
国もこのままでは原子力建設ノウハウが継承されないと危惧し、それが原子力回帰の一要因とも言われます。
自動車産業
一方、国の基幹産業である自動車メーカと政府政策面での一致をみることがないようです。確かに、EV 電気自動車がメインストリームとなり、次の成長分野でなおかつ地球にも優しいと言われています。その流れに乗るのも悪くはないのでしょう。
ただ、多くの人々が自動車産業を支えています。
政府が「サスティナビリティ」に後ろ向きとは言うことはできないのかもしれませんが、違和感を感ずるところが多々あるようです。
「参考文書」
「EV時代」の今こそ問われるホンダの存立意義 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
三菱重工、スペースジェット開発中止を正式発表 泉澤社長「機体納入できず申し訳ない」