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インフレ環境下で見直されるエネルギー基本計画、社会の要請、国の思惑

 エネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」が3年ぶりに見直されるといいます。

政府「エネルギー基本計画」見直しへ 電源構成の目標が焦点 | NHK | 経済産業省

3年前とは国際情勢も異なるものとなり、ビジネス環境もまた変化しています。これらも鑑みた上で、この先何がベターであるのかを指し示すことができればよいのでしょうが、現在の自民党岸田政権下ではそれも期待できず、偏ったものになりそうな気もします。

 

 

 首相が突如原発政策の方針転換したことは記憶に新しいことです。またCOPの会議の場でもアンモニア発電を活用する力説したことも思い出されます。こうした首相の発言がエネルギー基本計画に反映されても不思議ではないのでしょうが、それでよいのかとの疑問が残ります。社会の要請、そして民意を網羅していくのが政治の務めではないでしょうか。

求められる再エネ、アマゾンの警告

 日本はいまだ発電の70%超を化石燃料に依存し、また今後も石炭やガス火力発電を温存させる計画といわれています。一方、多くの企業が、社内の排出削減目標や顧客の要求を満たすためにグリーン電力を必要としていますが、十分に利用できるクリーンエネルギーの総量が足らず、企業にとって日本は難しい市場となっているといいます。

日本は再エネ供給不足、企業ニーズ満たさずとアマゾン-化石燃料依存 - Bloomberg

 世界最大のクリーン電力購入企業でも米アマゾンが日本のエネルギー政策に関して、民間部門への再生可能エネルギーの供給ペースが十分でないとの判断を下しているそうです。

アマゾンのような規模の企業が日本で大規模な電力を調達できないのであれば、増大する需要を満たすのに十分なペースで新たなプロジェクトを稼働させる方法がうまくいっていないということになる。(出所:ブルームバーグ

 AWSのアジア太平洋担当エネルギー・環境政策責任者がこう語り、「日本には再生可能エネルギーを求める企業がたくさんある。こうした需要を満たすには供給を増やす必要がある」と、都内で今月開かれた自然エネルギー財団のイベントで主張したといいます。アマゾンに依存している現実からしても、顧客の声として真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。

 

 

 円安が続き輸入インフレで化石燃料も高値で購入を続くことになります。それに紛争の影響も加わり、価格の問題だけでなく安定した供給確保も課題となっています。

 こうした現状を口実にして政府は原発を推進したいのかもしれません。しかし多くの課題を抱え、いまだ解決の道筋は明瞭ではないようです。能登半島地震では、志賀原発で変圧器破損による油漏れの事案が発生し、大きな規模の地震に対する脆弱性が露呈したのではないでしょうか。再稼働においては、東電柏崎刈羽原発を政府の思惑通り進めることはできるのでしょうか。近隣住民の合意は避けることができないハードルになっているはずです。

 風力発電など再生可能エネルギーに課題がないというわけではないでしょうが、社会の要請からしても、その課題の解決をはかりつつ、導入拡大を進めるのが最良のように思えてなりません。

 

 

 それとも国内重工業を保護したいとの思惑があったりするのでしょうか。防衛産業とかぶる企業も多そうです。また再エネ拡大では、中国製に頼らざるを得なくなることにわだかまりがあったりするのでしょうか。

EVよりバッテリーとソーラーが深刻-中国の過剰生産能力を分析 - Bloomberg

 さて国はどんなエネルギー基本計画を作るのことになるのでしょうか。

 色々異次元なことが増え、正常化しなければならないことも多そうです。エネルギーもそのひとつといっていいのかもしれません。

 

 

「参考文書」

震災を経て改めて問われる日本のエネルギー計画 |WWFジャパン

世界のCO2排出、80%が57の化石燃料・セメント生産者に起因=報告書 | ロイター

歴史的利上げでも円を救えぬ4つの理由、金利や変動率の低空飛行響く - Bloomberg

白神山地のブナ林、温室ガスたっぷり吸収|世界遺産|青森ニュース|Web東奥