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アマゾンのふるさと納税参入、問われる既存サイトの存在意義

 アマゾンが、ふるさと納税の仲介事業に参入する方向で準備を進めているそうです。「アマゾンふるさと」の名称で仲介サイトを立ち上げ、仲介手数料を一定期間引き下げるプランを用意しているといいます。

アマゾンがふるさと納税仲介事業 25年3月にも参入へ | 共同通信

 初期手数料250万円、仲介手数料は約2年間3.8%の好条件。自治体にとってはアマゾンの高い集客力や独自の配送網が魅力で、寄付する側も利便性が増すといいます。サービスや手数料を巡って他のふるさと納税サイトとの競争が激化しそうといいます。

 

 

 アマゾンの参入について、賛否が分かれるようです。「日本の税金に関わることを外資企業にやらせていいのか」、自治体に納められる税金の一部が、外資系企業に手数料として流れることを懸念する声もあるそうです。

「外資にやらせていいのか」ふるさと納税、アマゾン参入に懸念の声 | Business Insider Japan

「運送網を武器に、従来よりも低い手数料を設定するとなれば、既存のポータルサイトの手数料に関してはこれまで以上に厳しい目が向けられる可能性がある」と、ポータルサイト関係者は警戒し、アマゾン参入で「ふるさと納税という制度が、ECでほしい商品を選ぶような傾向がさらに強まってしまうのではないか」と話すふるさと納税の関係者はいるそうです。

  一方、既存のポータルサイト側は10%程度を手数料として寄付先の自治体から徴収してているといいます。単純比較すれば、多額の手数料を得ていることになります。

 それを原資にして、広告合戦したりしていないでしょうか。顧客争奪戦なのかもしれませんが、どうなのでしょうか。原資が自治体が納める手数料=税金であるなら、要らぬところに過剰に使っているようにも感じます。

 これまでもふるさと納税を巡っては、返礼品競争が批判されてきました。ポータルサイトが、お得な返礼品の自治体をアピールするような掲載をしたりして助長してきた面があるともいわれます。アマゾン参入でそんな風潮が見直される契機になればいいのかもしれません。

 

 

 ECが日本に定着したのもアマゾンの存在があってのことではないでしょうか。「置き配」や「独自物流網構築」、こうしたこともアマゾンが先陣を切り、道を拓いてくれたおかげなのかもしれません。また「置き配」については、アマゾンがロビー活動を展開してくれたおかげで社会に定着するようになったそうです。

「置き配」を生んだアマゾン ロビイスト─その極秘任務、政界との交接点 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

渡辺氏は物流政策上、省エネルギー政策上の観点から、宅配便の再配達率削減は政府にとっても重要課題だったことを活用して国土交通省経済産業省を味方につけ、「置き配」の法令規定を提案、実現したのだ。(出所:Forbes)

「置き配」の他にも、「アンチ巨大IT」の逆風下、アマゾンがロビー活動で政界に働きかけることによって、岩盤規制を打ち砕いたりしてきたといいます。

既存の国内ポータルサイトは、アマゾンに手数料などの競争面で優位に立つのは難しい面があり、よりその存在意義が問われることになる。既存サービスは『人口減による財政難に苦しむ地方の自治体を救う』という制度本来の目的に沿ったサービス訴求できるかどうか、その点も重要になるのではないか」(出所:Business Insider Japan)

 国の制度に乗っかり利用して、金儲けするためのビジネスを考えるのではなく、その制度の趣旨に合致するよう既存のポータルサイトの努力が欠かせないのでしょう。時にはアマゾンとタッグを組み、国を上手に動かし、使いこなせるようにしていくのもよいのかもしれません。いつまでも競争原理ばかりで語っているようであれば、ふるさと納税の趣旨からさらに外れていくように思えてなりません。

 

「参考文書」

ふるさと納税大手、アマゾン参入に“異例”対応。専門家「既存サービスの存在意義が問われる」 | Business Insider Japan