Up Cycle Circular’s diary

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気になる線虫くん、疑義を投げかける調査報道

 ユニコーン企業、企業評価額が10億ドル以上で、設立10年以内の非上場ベンチャー企業を指します。現在、日本では6社にとどまり、世界と比して大きく遅れているといわれます。評価額を1000億円以上としても12社、現在の国情を表しているのかもしれません。

線虫くん、がん一次スクリーニング検査 N-NOSE

 CMでのおなじみの線虫くん「尿1滴でがんリスクがわかる」とうたう「がん一次スクリーニング検査 N-NOSE(エヌノーズ)」、これを開発したのは、2016年8月の創業のHIROTSUバイオサイエンスという会社です。創業からわずか5年で評価額1000億円を突破したそうです。

 

 

 この先の成長産業といわれるヘルステック、バイオテック企業ということもあるからでしょうか、総合商社など多くの大手企業が業務提携などしているようです。

 一方で、その検査精度に疑義を投げかける報道も散見されます。

【データで見る】線虫がん検査「N-NOSE」は偽陽性・偽陰性が多い?衝撃の学会発表と、内部資料の図はこちら

“N-NOSEは怪しい。偽陽性偽陰性の多い、問題のある検査だ。”

もしそれが本当なら、検査の高い精度を信じて利用した50万人が、水面下で被害に遭っていることになる。被害には、命に関わるがんの見逃しも含まれるだろう。(出所:NEWSPICKS)

 HIROTSUバイオサイエンスの代表の広津氏は、Forbesのインタビューでこう語っています。

尿1滴でがんリスクを判定 5年でユニコーン入りしたヒロツバイオの戦い方 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

この検査の位置づけについても「一次スクリーニング」という見せ方を思い付きました。「がん検査の入口」という概念を作り出したわけです。すると、がん種は特定できないが、全身網羅的に、しかも安く精度の高い検査ができるという見え方になる。市場は大きく、しかも毎年受けるべき検査なので、多くの人たちが利用してくれるだろうということになったのです。(出所:Forbes)

 線虫くんには科学的なポテンシャルはあるのかもしれませんが、ヘルステックとしてこれをビジネスに展開しようとしたときに科学より商業主義的になっていないかと、少々気になります。

 

 

 国会議員もこれらの調査報道を気にしてのことか、厚労省に確認を取り、医学的意味での「検査」ではないとのコメントを得たようです。

「消費者行政的に問題があると思います」、次回国会で議論の対象にしたいともいいます。

 調査報道で、疑義の指摘ある以上、こじれて問題となる前に、価格的根拠の明確性、許認可の要否、ビジネスモデルなどを見直した方がよいような気がします。また関わりをもつ企業もこうした働きかけをすべきではないしょうか。

 今や街中に不正に不祥事、犯罪が蔓延るようになっています。こうした過ちが繰り返されないためにも、様々な機会を使って正せるとき正しておくことが肝要な気がします。

 

「参考文書」

「尿1滴でがんリスクがわかる」は本当か。50万人超が受けた「線虫がん検査」衝撃の実態(NewsPicks) - Yahoo!ニュース

「尿一滴でがんがわかる」で話題 線虫がん検査「精度86%」は問題だらけ | 文春オンライン

尿一滴でがんが判明!?線虫がん検査の「意外すぎるデメリット」とは?【書籍オンライン編集部セレクション】 | 40歳からの予防医学 | ダイヤモンド・オンライン

日本発のがん検査サービス「N-NOSE」が世界へ進出 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

HIROTSUバイオサイエンスと双日が資本業務提携 | 双日株式会社

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