Up Cycle Circular’s diary

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円安、続く値上げ、高まる日銀批判

 食品の値上げが続いています。消費者物価指数は8月も3.1%上昇し、生鮮食品を除く食料は前年同月より9.2%上昇しています。伸び率が9%台になるのは5カ月連続で、この秋も食品の値上げは続くといいます。さらに家計は圧迫されるといわれています。

変わらなかった大規模な金融緩和政策

 円安が値上げの一因といわれ、その是正が求められる中、日銀は大規模な金融緩和政策を維持することを決定し、先行きの政策指針であるフォワドガイダンスについても、「必要があれば、躊躇なくなく追加的な金融緩和措置を講じる」との表現を変更しなかったそうです。

マイナス金利解除への距離感、すごく動いたわけでない-日銀総裁 - Bloomberg

 物価上昇の一因となっている円安については、将来の経済・物価動向にさまざまな形で影響を及ぼし、日銀の物価見通しにも影響を及ぼすとの観点から、「政府とも緊密な連絡を取りながら注視していきたい」と、植田総裁が金融政策決定会合後に記者会見で語ったそうです。また、「物価の下がり方が遅い中で実質所得が伸び悩み、あるいは低下して家計に負担がかかっていることは重く認識している」とも述べたといいます。

 

 

値上げ疲れ、鈍化の兆し

 総裁がそうは語っても、9月は調味料や冷凍食品、菓子など2067品目が値上げとなり、また、10月には酒やオリーブオイルなど4533品目の値上げも控えているといいます。

食品値上げ「もう限界」数字で鮮明に 価格に比べ支出の伸びは小幅:朝日新聞デジタル

 ただ、その後は値上げの動きが鈍るかもしれないといいます。

足元の生産コストは上昇しているが、メーカーは価格転嫁に慎重になってきている。値上げすると売れないから。消費者の『値上げ疲れ』は鮮明になってきている。(出所:朝日新聞

 植田総裁はこの動きを読んでいたということなのでしょうか。

円安と日銀批判

 一方、「国民生活を考えていない」と、日銀への批判が急増しているといいます。

日銀への批判急増「国民生活を考えていない」 金融緩和は継続、植田総裁は「家計の負担は認識している」:東京新聞 TOKYO Web

今年6月に国民から日銀に寄せられた金融政策への批判は112件に上り、緩和継続による円安・物価高が国民の暮らしを圧迫する現状が浮かび上がる。(出所:東京新聞

 これまで以上に日銀の政策に関心が高まってきているということなのでしょうか。しかし、マイナス金利政策の解除や長期金利政策の撤廃など政策の修正はされず、また、総裁の会見での発言で、円安の流れに変化は起きませんでした。

 

 

 もし、日銀が金融政策を転換させると、円安の是正が起きるのかもしれません。ただそれと引き換えに、ゼロ金利から、金利のある世界へ導かれ、これまでの常識が覆ることになります。住宅ローンも影響を免れず、低利による借入というメリットを享受することができなくなり、金利負担というコストを意識することになっていくのでしょうか。

こうした常識が変わる前に、賃上げを進めてくださいとのメッセージを植田日銀総裁は発信し続けているのでしょう。

 企業は常識を変えることができるのでしょうか。持続的な賃上げを実現しなければ、従業員を窮地に追い込む存在になってしまいます。

米国でスト拡大

 米国では、UAW 全米自動車労組が賃上げを求めストライキに突入していましたが、交渉が進展していないとして、ストを拡大させるといいます。

UAW、GMとステランティスでスト拡大-フォードとは交渉進展 - Bloomberg

 日本においても、この先、こうした方法で企業に要求を伝えていかなければならなくなるのかもしれません。