Up Cycle Circular’s diary

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【過干渉という重圧】JAXA H3ロケット、異次元緩和、成功しなかった理由

 

 打ち上げに失敗した新型ロケットH3初号機は、第2段エンジンの内部で過電流が発生し、電源供給が遮断され着火しなかったとみられるとJAXA 宇宙航空研究開発機構が明らかにしたそうです。

H3ロケットの原因は過電流か H2Aとの共通機器に異常の可能性も:朝日新聞デジタル

 過電流は現在の主力のH2Aロケットでも使われている機器で起きた可能性もあり、JAXAH2Aへの影響についても調べるそうです。

 記事によれば、この過電流を検出した装置はH3になって取り付けられたといいます。もう少し詳細な確認が必要なのかもしれません。

スペースXとの違い

 今回の打ち上げ失敗で地球観測衛星「だいち3号」を喪失し、今後の観測活動にも影響があるといいます。また、その開発費用は約280億円だったともいいます。

民間企業スペースXは61回成功、日本は成功ゼロ…日本のロケット開発が高価で失敗続きである根本原因 SNSでは成功したと勘違いする人が続出 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 記事は、失敗を繰り返しながら成功した米スペースXとの違いを指摘しています。

国の研究開発法人のJAXAは、先端技術と完璧さを目指し、それを成し遂げてから打ち上げ市場への売り込みを図ろうと考える。一方、スペースXは走りながら完成度を高めていく。国費で開発する研究開発法人と、米ベンチャー企業との発想の違いだろうが、日本とは対極的だ。(出所:プレジデントオンライン)

 そうなのでしょうか。高い目標を掲げ、石橋を叩いて進めるスペースXに対し、完璧さを求めながらも無謀なJAXAとの印象を受けます。

 単にプロジェクトマネジメントの差のような気がします。

SpaceXの新型ロケット「Starship」、初回打ち上げ成功率は「5割」とイーロンマスク氏 - UchuBiz

 スペースXは何度もプロトタイプを打ち上げて試験し、安全性能を確認しているようです。

(写真:ソニーグループ)

 JAXAの失敗の背後には、開発延期による政治家や産業界からのプレッシャーがあって、もうこれ以上遅らせてはならないという危機感がで高まっていたとプレジデントオンラインは指摘します。過干渉が委縮を招いたのでしょうか。

 こうしたことを含めてコントロールする力がプロジェクトに求められていたのではないでしょうか。

 何事も、目的を成就させるためには、日々改善に努めるという必要な手順と手続きがあるのでしょう。それが無謀な要求によって、正しく運営できなくなると、思わぬ失敗につながったするのではないでしょうか。

 

 

異次元緩和

 ロケットの打ち上げ失敗は誰の目に見ても明らかですが、これとは逆に政策の評価を的確にすることは難しいようです。それゆえになかなか改善されずに悪影響が長引いたりするのかもしれません。

 4月に任期満了となる日銀の黒田総裁が、衆議院財務金融委員会に出席、異次元緩和について「半ば成功した」とし、「今後もさまざまな手段を有効に組み合わせて適切な市場調節運営をすることで、時間はかかるものの市場機能は改善していく」と答弁したそうです。

後継者のために最善でないことするのはあり得ない=黒田日銀総裁 | ロイター

 質問に立った立憲民主党野田佳彦議員に「せめて国債市場のひずみぐらいは直していってほしいと思った」と指摘されたといいます。

 また、2%の物価目標を掲げ異次元緩和を推進することで人々のインフレ期待に働きかける戦略は「だめだったのではないか」と正したそうです。

「成功」「失敗」と一言で断じるのは難しいのかもしれません。長く続けた政策で、目標が達成されることはなかったとしても、効果のあったこともあったでしょうし、また副作用もあったということのような気がします。

日銀の黒歴史が終わる。白川氏とインド人の示唆

 記事によれば、異次元緩和の歴史的功績は、限界まで金融緩和をして、限界を世の中に見せたことと複数の識者が口々にしているといいます。

 もうこれ以上ないところまで緩和を拡大させれば、「もっと金融緩和しろ」と迫る政治家はいなくなり、もはや追加緩和を求める世論も聞かくなったともいいます。

日銀が量的緩和を拡大しても効果はないと、いくら説明しようとも、量的緩和を求める論者を言い負かすことはできない。緩和の規模が不足している(中略)と反論されてしまう。(中略)したがって日銀は、追加緩和を求める声が上がる前に、先手を打って追加緩和を進めるしか、非難を回避するすべはない。(出所:NEWSPICKS)

 過干渉、重圧ということでしょうか。そうせざるを得なくなれば、うまくいくはずもありません。失敗の理由は得てしてこういうところにあるのかもしれません。

 いずれにせよ、日々の金融政策の運営で、より良い状態が保たれ、人々の気持ちが上向くようになればいいことであって、それが究極な目的ような気がします。

 今後も、専門家たちによる検証で評価されることになるのでしょう、また、新総裁の下での政策とその結果により、異次元緩和もまた意味付けされていくことにもなるのでしょう。

 

「参考文書」

【直言】緩和効果「あった vs. なかった」因縁の対決

大規模緩和の副作用、今後も適切な対応考える必要-黒田日銀総裁 - Bloomberg

高性能センサーで災害把握期待 H3搭載のだいち3号:時事ドットコム