Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

経済活動は企業が担っているのに、政府主導で経済は再生するのか

 

 日銀が異次元緩和の継続を決めました。その前日には欧州ECBが金融引き締めを決定し、金融政策の国際的な孤立が際立ちます。

 戦前もそうでしたが、どうも国際的に孤立する道を選択することが多くなっていないかと危惧します。

日本経済が孤立している。その孤立していることに気づかず、あるいは孤立していることを諸外国が日本経済の発展をやっかんでいるとしか思わない、そういう人間を白洲は「イヤシイ奴だ」と言っていた。(引用:「風の男 白洲次郎」青柳恵介)

 昭和期、日本が発展を遂げていたいたときの堤清二氏の言葉です。吉田茂元首相の側近にして、日本国憲法発布、サンフランシスコ講和条約の調印に導いた白洲次郎氏を回顧し、当時の現状を嘆き、白洲こそ真の国際人だったと振り返っています。

 

 

「人が困っているときは助けるもの」という、「プリミティブな正義感」を白洲は旨として、私利私欲をもってつき合おうとする人間を白洲は敏感に見抜き、それに対し厳しい反応を示したそうです。

 黒田バズーカで、それまでの円高基調が円安に転じ、株価は上がり、総花的な成長戦略にほだされて、日本企業がゆでガエルのようになってしまったといわれます。自律的に企業改革は進まず、海外投資家から見はなれる事態になってしまいました。

 安倍元首相亡き後、アベノミクスという大きな課題を遺りました。日本が物価高騰に苦しみ始め、そこに円安が追い討ちをかけています。

 独創的な政策も時の情勢を鑑みて、軌道修正されるべきだったのでしょう。同じことを続けては独善的となり、孤立化するだけです。

 あてにならない政府施策に頼るだけではなく、日本の企業が独立独歩で、自らの事業を育てようとの気概が求められているのでしょう。盲目的な政府補助金利用では、手足を縛られかねないのかもしれません。政府を動かしつつとの姿勢が求められそうです。

 

 

 長く低迷を続けていたパナソニックに変化があるのでしょうか。

本社が先導していたクロスバリュー(事業連携)は残念ながら、どこかの事業が得をして、どこかが我慢する場合も多かった。持ち株会社制になった新体制では事業会社間の連携ができなくなると言われるが、むしろ本当のクロスバリューができる体制になったと考えている。今後はお互いがウィンウィンになる連携しかやらないし、成功確率も高まるはずだ(出所:日本経済新聞

パナソニック事業トップ「標準生み出す」「代替を開発」: 日本経済新聞

 パナソニック持ち株会社制に移行し、各事業会社の独自性が求められるようになり、その中でいち早く独立色を高めた「パナソニックハウジングソリューションズ」の山田社長は、「自ら稼いだ分は自分達で投資できるようになった」と話しています。

「原材料高もそうだが、調達リスクの方が怖い」といい、これまで住宅設備に使っていたロシア産木材の入手が困難になり、国産などへの切り替えるを進めているそうです。

 足元では目先の課題に対応しつつ、独自性のある新規事業に挑戦する風土が醸成し、その中から、アブラヤシの廃材を活用した新素材開発や、従来の枠にとらわれない販売方法を模索するなどして新たなヒット商品が生まれているといいます。

 コロナ禍以降、世界が劇的に変化したようです。日々起こる変化に対応していくことは求められるのでしょうが、そればかりを気にかけていたら何もできなくなってしまいます。

 結局、「社会課題」と呼ばれるものは、人間の中の歪みが大きく育ち、生い茂ったもので、どんなに法律を厳しくしたところで根絶することではないでしょうか。最近、起きる事象を見てはそう感じます。

 しかし、制度さえが整えば豊かで幸せな境遇が手に入ると信じる者が多いともいうそうです。

 政府が本来の役割以上に、あれこれと指図し、援助をすれば、企業が自ら努力しようという動機をなくすのも当然の成り行きなのかもしれません。そうしたことが続けば個人までその考えに染まっていくのではないでしょうか。

国の価値は、長い目で見れば、それを構成している個人の価値に他ならない。J・S・ミル(引用:イギリス流大人の気骨 サミュエル・スマイルズ

 もしかしたら、企業とその構成員で個人がもう少し力を発揮さえすれば、この苦境を乗り越え、経済は再生していくのかもしれません。