ソニーが2050年にバリューチェーン全体におけるカーボンニュートラルの目標を、10年前倒し、2040年に変更したそうです。
日経ビジネスによれば、取り組みが順調に進んでいたことから、実現可能性を精査して決断したといいます。
ソニーが脱炭素を10年前倒しする狙いとは:日経ビジネス電子版
この10年前倒しはどのような過程を経て発表に至ったのでしょうか。
「トップダウンの至上命令だったのか、それともボトムアップでの提言を受けれてのことだったのか」。いずれにせよ、効率的に進めるのであれば、事業ラインとは別の専門チームを立ち上げ、管理推進していくことになるのでしょうか。
実態を常に把握、進捗管理ができれば、目標の修正は容易いのでしょう。
パナソニックは、2028年までに海外も含めた全ての生産拠点をCO2フリーにすると宣言しているといいます。
一方、欧州委員会は電池メーカーに対し、製品ライフサイクル全体のCO2排出量カーボンフットプリントの把握と開示を義務付け、それが2024年から始まるといいます。また、カーボン・フットプリントの上限値の導入は27年に始まるそうです。この上限値が低く設定されれば欧州で電池だ売れなくなる可能性もあるようです。その前に、パナソニックも目標の修正を行ったりするのでしょうか。
パナソニックエナジー、ニッケルレス電池投入へ | 日経ESG
こうした潜在リスクを考えると、今からCFPを下げる手段を想定しておく必要がある。現状、鉱山から採掘したバージン材よりも、リサイクル材の方がCFPが低いことから、材料のリサイクル率を高めることが重要なポイントになる。(出所:日経ESG)
こうした対応は誰が実行するのでしょうか。
やはり専門部署が設けられて対応することになるのでしょうか。しかし、それは内容次第では事業ラインに大きく影響し、開発ばかりでなく営業を含めてシェアされるべきなのかもしれません。
サプライチェーン全体でCFPを下げなくてはならず、日本は電力のCO2排出原単位が欧州に比べて大きいため生産拠点として不利な条件にある。政府にはCO2排出原単位の低い電力供給をこれからも求めていく。(出所:日経ESG)
いずれにせよ、規制に対応できなければ、事業を失ってしまいます。パナソニックは強い危機感を持っているといいます。小さなことから大きなことまで、企業総包みで対応していかないと、実現はできそうにありません。逃げることも言い訳することもできないのでしょう。
一方、同じように事業に大きな影響を及ぼすと言われるDX デジタル変革はそうはうまくいかないようです。
うわべだけの「キラキラDX」にだまされるな、取り組むべきは大企業病の治療だ | 日経クロステック(xTECH)
少し不思議なことのように思えてしまいます。記事は大企業病の弊害を指摘し、それは大企業ばかりでなく、公官庁を始め中小企業も大企業病を発症している組織は多数あるといいます。そして、この病気を平癒させるには、「アンラーニング」や「リスキリング」が求められるといいます。
いままで獲得した成功体験や知識をいったん手放し、新たな技術や知識を身に付けよう/身に付けさせよう。(出所:日経XTECH)
「どうもリスキリングのテーマがテクノロジーに偏り過ぎているきらいがある」と記事は指摘しています。確かにそうなのかもしれません。
今この時代、角を立てることなく、みんなが協力して業務できるようにする、そんなスキルが求められているのかもしれません。
「参考文書」
欧州委、循環型経済に向けたバッテリー規制の改正案発表(EU) | ビジネス短信 - ジェトロ