SDGsの達成に向けた取組を加速化させ、新しい資本主義の下、「誰ひとり取り残さない」持続可能な経済社会システムを作り上げていく。
こうした決意の下、政府が「SDGsアクションプラン2023」をSDGs推進本部会合で決定したといいます。
持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第13回)及び第6回「ジャパンSDGsアワード」表彰式の開催(結果)|外務省
首相はこの会合で、社会の変革の実現に向けて、取組を加速化させなければならないといい、「新しい資本主義」の下、成長と分配の好循環を実現し、民間の力を活用した社会課題の解決を図ると述べたといいます。
さらに「誰一人取り残さない」社会の実現のため、多様性に富んだ、包摂的な社会を実現し、日本が国際社会の先頭に立って未来を切り拓いていきたいと語ったそうです。
また、5月に開催されるG7広島サミットやSDGサミットの機会を活用して日本の取組を発信していくそうです。
募る不信
一方、報道によれば、早くも石炭火力の廃止やLGBT関連について、G7参加各国から批判があるといいます。
日本除いた「G6」からLGBTQの人権守る法整備を促す書簡 首相宛てに駐日大使連名 サミット議長国へ厳しい目:東京新聞 TOKYO Web
この報道に対して、松野官房長官は書簡を受け取ったか否かの明言を避け、「多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、さまざまな国民の声を受け止め、しっかりと取り組む」と強調し、「G7議長を務める日本政府として、こうしたことを国の内外に丁寧に説明する努力を続けたい」と話したそうです。
どうなのでしょうか。ほんとうに誠意をもって、誠実にしっかりと取り組んでいるのでしょうか。
そう見えないからこそ、価値観を共有するはずのG7参加国からの批判があるのでしょう。
こうした政府の態度が不信感を生むのではないでしょうか。政府自らSDGsウォッシュしているようなものです。
続く不正、不祥事
企業の不祥事に続いているようです。
大手ゼネコンの大成建設が建設する札幌の「ハイアット セントリック 札幌」などが入る大型複合ビルにおいて、事業主に対し、各種計測記録の虚偽報告をしていたといいます。事業主でNTT都市開発は、この事態を重く受け止め、工事中の建物を撤去、再度建設するとの判断を下したそうです。
札幌の26階複合ビル、施工不良で竣工2年超延期 大成建設が虚偽報告 - Impress Watch
また、トヨタ自動車グループの豊田自動織機では、フォークリフト用のエンジンにおいて、排出ガス認証に関する法規違反の可能性を確認したといいます。このエンジンを搭載するフォークリフトを出荷停止させたそうです。
残念なことです。この国のモラルとか規範はどこにいってしまったのでしょうか。SDGsどころではないような気もします。
低下する品質意識
日本の製造業において品質問題が頻発する中、本当に日本のモノづくりの力は落ちてしまったのだろうかと、MONOistが疑問を投げかけています。
「品質力は落ちている」と半数強が回答、現場担当者が懸念する3つの要因とは:品質不正問題(1/3 ページ) - MONOist
MONOistが実施したアンケート調査では、「品質に関する力について落ちていると感じていますか」という問いに、「落ちている」の回答が半数以上を占めたそうです。
記事を読むと、これが実態なのかとがっかりする内容です。進歩が止まっているというか、ただ停滞、劣化しているところもあるといってよさそうです。
当事者の意識やスキルの低下、マネジメント力の低下などがその原因に上がっているようです。
「人に依存する部分がどうしてもなくならない。また、人を教育しても認識レベルや理解度がまちまちであり、人によって品質のばらつきも発生する」「カンコツの標準化、伝承」など、属人的な状況に対する悩みが多く、また「作業者の品質に対する理解が低い」「結果良品だけを求めて、製造プロセスでの信頼性や作り込み品質への意識が希薄になっている」「意識、心理的要素への動機付け」など、担当業務をこなすだけでなく、高い意識でモノづくりへの幅広い理解を求める声も多かったそうです。
深刻のようです。誰ひとり取り残さないどころか、多くの人が取り残されていそうです。政府推奨の「リスキリング」だけでは不十分なような気がします。
企業の問題なのでしょうが、どう対策し、挽回していくか問われているのでしょう。
「参考文書」
「明らかにすることは差し控える」と官房長官 「G6」からLGBTQの人権守る法整備を促す書簡:東京新聞 TOKYO Web
SDGsアクションプラン2023~SDGs達成に向け、未来を切り拓く~(SDGs推進本部)
政府のSDGs推進本部 “新しい資本主義”のもと社会課題解決を | NHK
フォークリフト用エンジン認証での法規違反に伴う国内出荷停止について | 株式会社 豊田自動織機