投資家の成長期待を示すPBR 株価純資産倍率で、伊藤忠商事が総合商社トップを快走しているそうです。
伊藤忠商事・石井敬太社長「ゴールの風景」を仲間とみる - 日本経済新聞
「PBR (=Price Book-value Ratio)」、株価が割安か割高かを判断するための指標とも言われます。
現在の株価が企業の資産価値(解散価値)の何倍になっているのかを表し、PBRが1倍を切ると、企業の解散価値を下回っているということになり、市場で評価されていないということになるといいます。
PBR1倍割れ
日本企業のPBRは低く、TOPIX構成銘柄においては「PBR1倍割れ」が半数以上を占めているといいます。
その要因は、企業の内部留保が大きいことの他、資本を効率的に使って利益をあげることができていない点があげられるそうです。
バブル?ブーム?日本企業のPBRが注目されるワケ【経済コラム】 | NHK | コラム 株・円相場
こうした現状を鑑みてのことか、東京証券取引所は「継続的にPBRが1倍を割れている会社には、改善に向けた方針や具体的な取り組み、その進捗状況などを開示することを強く要請する」という方針を掲げたといいます。
これに呼応するように企業も動き出し、株価上昇となり、「低PBRバブルだ」という声も聞かれるほどであったといいます。
記事によれば、シチズン時計は自社株買いを行うと発表し、また、「事業の成長や合理化のための投資も続けていく」と説明したといいます。これを受けて株価は大きく上昇し、発表前に0.73倍だったPBRは、発表の翌週には1倍を超えたそうです。
個人も会社も老いる
ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営するコピーライターの糸井重里氏が、かつては職人や研究者に近い価値観で、いってみれば「包丁一本で勝負する板前さん」のような仕事をしていたといいます。
若い頃はそれでやっていけると思っていた。
でもそのうちに、板前さんの運命を左右するのは板前さん自身じゃないことに気づくわけです。(略)プレゼンで落ちる回数が段々と増えてきたんですよ。
それはやっぱり、世の中の価値判断が僕のそれとは違う方向に行っているということです。だから板前さんとして相対的に老いていくことは、最初から目に見えていたわけです。(出所:日立グループ)
糸井さんの言葉ではないですが、日本企業も老いて取り残されているのに、それに気づかないままだったということでしょうか。
老いて「あいつはもうダメだけど、義理があるから店に通ってんだよ」みたいに言われるようになるのも嫌だったと糸井さんはいいます。
本当は要らないのにこれまでの付き合いがあるから、という付き合いをされるのはあまりかっこよくないなと思ったそうです。
会社とは
その気づきを得た糸井さんは「包丁一本ではなくチームで仕事をするほうに気持ちが傾いた」そうです。そして、これをきっかけにして会社を作ることになり、「圧倒的にチームプレーのほうがおもしろくなって可能性も感じた」といいます。
「言葉にしない」ことの意味 分からないことを一緒に考える経営 【その1】「一番嫌じゃないものを選ぼう」 - Executive Foresight Online:日立
また、糸井さんの会社論には、「現実の進行に合わせて古いものを残したり、新しいものを取り入れたり取捨選択していく」というものがあり、それは「一番正しいものを選ぶというより一番嫌じゃないものを選ぶということといいます。
日本企業がチームプレーができていないとは言う気はありません。むしろそうではなくて、伊藤忠商事のように、一歩先行く外部の企業とスクラムを組んでみるのもいいのかもしれません。互いが自律し、そして共生できるスキームを作っていくべきなのでしょう。
どんなに優れたリーダーも、継続的な学びとアップデートがないと老いるということなのでしょう。それではサステナブルではありません。それを補うことができるのが多様性あるチームということでしょうか。
「関連文書」
「参考文書」
PBR/株価純資産倍率│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券