生乳が5000トンも廃棄されるかもしれないという。もったいない話である。もっと早く対応できなかったのだろうか。様々な業界が協力を申し出ているようである。価格維持のためなのかもしれないが、もっと智慧を使って対策しようとの気にならないのだろうか。
パンの耳から作るクラフトビール
アサヒビールは、サンドイッチの製造で発生する「パン耳」を使ってクラフトビールを作っているという。
「UPCYCLE B」プロジェクト、第二弾商品「蔵前WHITE」販売開始 | プレスルーム | アサヒグループホールディングス
アサヒビールによれば、サンドイッチ製造で活用しきれないパン耳を乾燥加工し、クラフトビール(酒税法上は発泡酒)の原料として使用するものだという。このパン耳は、蔵前のパン・サンドイッチ専門店の「マルセリーノ・モリ」が提供し、アサヒグループのクラフトビール醸造所「TOKYO隅田川ブルーイング」で製造、「蔵前WHITE」と命名された。アサヒグループの外食店舗8店で10月22日から販売している。
「マルセリーノ・モリ」は、サンドイッチを作る際に発生するパン耳のうち活用しきれないものを「蔵前WHITE」の原料として提供します。
知的障がい者施設「NPO法人つなぐ台東 たいとう第三福祉作業所」の利用者が、パン耳を「マルセリーノ・モリ」から回収し、乾燥加工し、コーヒー豆焙煎専門店の株式会社縁の木が、乾燥加工品の保管・品質管理を行います。
そして、アサヒグループでは、ブレッドクラフト「蔵前WHITE」の処方を作成し、クラフトビール醸造所「TOKYO隅田川ブルーイング」で製造します。(参考:アサヒビールホールディングス)
アサヒビールの「UPCYCLE B」プロジェクトは、台東区、墨田区の事業者が連携し、廃棄物の削減・有効活用を推進し、障がい者の就労機会の創出や地域経済活性化を促進させ、地域循環共生圏の創出(ローカルSDGs)を目指すものだという。
プロジェクト名の「B」はBeerと、「ECOALF」のブランドメッセージ「Because there is no planet B(第2の地球はないのだから)」、Band(団結する)を由来としているそうだ。
ハウス食品のスパイスから作られたクレヨン
ハウス食品が、製品に適さないスパイス原料を有効活用したクレヨン「彩るスパイス時間CRAYONS」を販売している。
ハウス食品によれば、スパイス製品を作る過程でどうしても製品にできない原料が出てしまう。この資源をなんとか有効活用したいと考えた研究員たちの想いからこの製品がうまれたそうだ。
スパイス活用クレヨン「彩るスパイス時間 CRAYONS」|ココロへ届く、社会へ広がる、価値づくり | ハウス食品グループ本社
このスパイスクレヨンは、規格外野菜から作られたクレヨンを販売する「mizuiro」との共創で出来上がった。
スパイスもまた規格外であっても、その特徴を残している。
クレヨンには、お米由来のワックスにスパイスを配合しており、10種類のスパイスそれぞれの個性をお楽しみいただけます。各色には、クローブ、シナモン、ターメリック、タイム、バジル、パセリ、パプリカ、ホワイトぺパー、レッドペパー、ローリエを使用しています。(出所:ハウス食品グループ)
出会い、共感、共創
生乳ももしかしたら、もっと違う使い道があるのかもしれない。手間を惜しまず、使い手を探してみれば思わぬ出会いがあるのかもしれない。今までと同じやり方だけであれば、そこからは新たなものは生まれない。
出会い、共感、共創。
そんな動きが地域発で増えればいいのだろう。
「関連文書」
「参考文書」
余った食材に価値、ロス削減 アサヒはパン耳をビールに: 日本経済新聞